SHARP

市場のニーズに応えるワンストップの提案

”デジタルサイネージ”とは、液晶ディスプレイなどを用い、広告など様々な情報を配信(表示)するネットワーク化された情報表示システムのことです。紙のポスターのように、内容が変わるたびに取り外す手間がなく、一度設置すると、ネットワーク経由でタイムリーに情報が表示できるシステムで、身近な場所で見掛けることが増えてきました。

デジタルサイネージ事業にシャープが参入したのは、2005年のこと。当時はプラズマディプレイによる大型化が主流の中、1973年の電卓への採用以来、磨きをかけてきた液晶での挑戦でした。加えて、ディスプレイの発売と同時にコンテンツ配信システムやネットワーク、サポート体制の構築など、情報配信に関連する様々なソリューション開発も進めました。それは、公共スペースや店舗における情報量の拡大と多様化に応えるためでした。

外国人観光客(インバウンダー)に対応する「多言語化」された情報提供や、壁面全体を使ったマルチ表示システムなど、スペースを最大限に有効活用するためのハードの開発とともに、インタラクティブに変化する情報を一括管理できる配信システムの提供や、表示コンテンツの企画や制作支援といった運用に関するコンサルティング、設置工事、メンテナンスに至るまで、ワンストップでお客様に対応してきました。

シャープのデジタルサイネージ事業は、このようなビジネスモデル構築への挑戦の歴史なのです。

※ 写真はイメージです。画面はハメコミ合成です。

薄く、軽く、堅牢で、大きく、使いやすいプラットフォーム

公共の場所や店舗では設置スペースが限られているため、ディスプレイを天井から吊り下げたり、柱を巻き込む(柱巻き筐体を利用する)ことで周辺環境との調和を図ります。そのため「薄さ」「軽さ」に加えて、さまざまな環境での使用に耐える「堅牢性」が求められます。また、多くの情報を表示するため、高精細な画質による大型化の需要も高く、サイズや機能、性能など、ディスプレイ開発に求められる様々な要素をすべてクリアする必要がありました。

地図などの細かな情報を表示する場合には、近くで見てもクリアな画質でなければいけません。ここでは、4Kディスプレイ※1などの高精細化が求められました。触れることでユーザーが直接情報を操る場合には、「タッチセンサー」の感度や操作性といった、分かりやすいインターフェースの設計も重要な要素になります。

需要が高まるごとに増える様々な課題を複合的に解決するため、営業、ディスプレイ開発、ソフトウェア開発、サービスなど横断的なチームを編成し、顧客ニーズと技術開発への挑戦を続けました。

  • ※1 4K:HD(フルハイビジョン)の4倍の画素(3,840×2,160)

使いやすさを求めて「e-Signage」への挑戦

この10年でデジタルサイネージを取り巻く環境は大きく変化しました。公共施設や交通機関だけでなく、店舗や全国展開のチェーン店などのリテール業界、さらにオフィス環境での需要が加速してきています。

そうした市場のニーズを受けて、シャープ独自の「e-Signage(イーサイネージ)」というコンテンツ配信システムをさらに進化させる必要がありました。「e-Signage」とは、静止画や動画などの情報をディスプレイに表示・配信するソフトウェアで、ネットワークを介して遠隔での管理が可能です。10年の歳月をかけて、「誰でも」「手軽に」「正確・安全に」情報を表示できるよう改良されてきたものです。

パソコンにあまり詳しくない方でも“30分で覚えられる”ことをコンセプトに、研究を進めました。ディスプレイを数台繋げたマルチディスプレイでも簡単にコンテンツを表示させることが可能で、電源の管理から遠隔地からのディスプレイの状態監視まで、基本的な機能は揃っています。

また、お客様の業態や規模に応じた対応も進めてきました。小売店舗向けには、USBメモリをディスプレイに差し込むことで表示する簡易型をご提供し、大規模の展開を検討されているお客様向けのシステムでは、ネットワーク経由で最大1,000か所へのコンテンツ配信が可能です。

また、シャープビジネスソリューション(株)※2が提供するクラウドサーバを用いることで、お客様が自らサーバを構築・管理する費用や時間を削減できるなど、きめ細かな対応も可能になっています。

さらに、ディスプレイに接続するパソコンがなくても情報が表示できるように、コンテンツ制作支援サービス「iSignWeb(アイサインウェブ)」を提供。テキストを好みのフォントで表現性の高い文字コンテンツに変換し、手元にある静止画を動画に編集できるWebサービスで、1,000種類以上のテンプレートを用意しています。シャープ製品を導入したものの、コンテンツの検討や日々の管理にお困まりのお客様には、「楽々サイネージ体験セミナー」にて、本システムの使い方などをご紹介しています。

ハードウェアの開発はもちろん、こうしたソフトウェアの開発を続けることで、大規模な配信管理システムから小規模なコンテンツマネジメントまで、トータルソリューションとして提供できるようになったのです。

  • ※2 シャープビジネスソリューション(株):システム機器・業務用ディスプレイ・ドキュメント機器等の販売、コンサルティング・システム企画・開発・構築に至るトータルソリューション、サポート・サービスを主要業務とするシャープの国内関係会社。

迷うことなく快適に観光できるように - JR新宿駅「西口広場」サイネージ

こうしたトータルソリューションの開発を元に、現在、全国で大型デジタルサイネージシステムを納入しています。その一つがJR新宿駅です。JR新宿駅は海外からの利用者も多く、世界トップクラスの乗降客数を誇るなど、都内に住んでいる人でも迷ってしまう巨大な駅です。デジタルサイネージによる地図案内への高いニーズがありました。

シャープに、JR新宿駅「西口広場」での大型サイネージシステムの話が持ち込まれました。多くの方の目に留まる場所です。『シャープのサイネージで、行き先に迷われる方を少しでも減らすことができないか』。営業担当者は、ディスプレイやシステムの担当者などと検討を重ね、画面の美しさだけでなく、「機能性」「利便性」「操作性」など、多くの利用者や観光客にとって実用的なプランを提案しました。

中央部分に60V型液晶ディスプレイを12台繋ぎ合わせた227インチ相当の大型マルチ液晶ディスプレイを設置。両サイドには文字などが鮮明に表示でき、簡単なタッチ操作で地図情報を検索できる4K対応32V型液晶ディスプレイを配置し、検索した地図情報を拡大して映し出せる大型4K対応70V型液晶ディスプレイなど、多種のディスプレイを統合したシステムです。急増する海外からのインバウンド需要に対応して、英語はもちろん、中国や韓国の言語にもワンタッチで変更できます。

中央の227インチ相当の大型マルチディスプレイでは、公共スペースでの大型広告表示システムとしては業界で初めて※3、行政情報や交通情報などの公共情報のみを配信することにしました。緊急時には、半分の6台(面)でNHKのテレビニュースを、もう半分で緊急案内情報を提供します。

こうした独創性の高い提案が評価され、2015年4月に設置されました。設置されて以来、外国人観光客を始め多くの方に、このサイネージをご活用いただいています。

  • ※3 当社調べ(2016年4月25日現在)

※ 画面はハメコミ合成です。

JR品川駅「自由通路」に44台のデジタルサイネージ

次は、JR品川駅「自由通路」への設置事例をご紹介します。JR品川駅の中央改札口から新幹線乗り場や港南口へ向かう「自由通路」には70V型液晶ディスプレイが44台設置され、品川駅を往来する人々に、新たな映像空間として様々な広告情報を提供しています。

駅構内は、朝晩の出勤や帰宅時の時間帯にはとても混雑するエリアであり、人の流れを止めて、映像を見入るようなことは難しい場所です。広告に目を留めてもらうには、ディスプレイが大画面であることが求められます。また、ディスプレイの重みで接続部分が破損し、落ちることがないよう、薄型で軽量なディスプレイが必要です。

当社はディスプレイの豊富なラインアップの中から、70V型の大画面・薄型の<PN-R703>を提案することにしました。省エネモデルであり、多数のサイネージシステムを管理するお客様にとって、電気代の削減にも繋がります。

44台ものサイネージが、通路の先から最後まで一列に表示される状景は壮観ですが、光の加減などが変わっても、どのディスプレイでも同じように画像が見えるよう細部にわたって調整することが求められています。従来より設置されていたシステムとの連携が重要となりますが、様々な場所でサイネージの導入を行ってきたシャープのノウハウはここでも真価を発揮しました。色彩や輝度など、検証と細かな調整を重ね、美しい映像で迫力のあるコンテンツを表示させることができました。

※ 画面はハメコミ合成です。

「街の景観を変える」

シャープはデジタルサイネージで「街の景観を変える」ことに取り組んできました。現場を訪問し、行き交う人々の動線を分析、設置イメージを作成することで、サイネージ導入後の街の全体像をお客様と確認。それを元にディスプレイや配信システム等の概要を決定しています。表示する内容には、そこに集う人々が求める様々な情報を提供することで、「街」の利便性を高めています。さらに、空間デザインと配信コンテンツを組み合わせることで、「街」の雰囲気までを改善するような取り組みを進め、地域の価値向上に貢献しています。

今後も、デジタルサイネージの進歩によって、街の景観が大きく変わるとシャープは信じています。さらなる可能性を求めて、曲面ディスプレイの実証実験や、臨場感あふれる16面マルチディスプレイ(フルハイビジョンディスプレイ×16台)による8K画質※4へのチャレンジなど、人に感動を与える「空間映像」を創出すべくシャープの挑戦はまだまだ続きます。

  • ※4 8K(7,680×4,320画素)
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