SHARP

2004年、シャープは「過熱水蒸気」を使い「水で焼く」という新発想の健康調理が可能な家電として、ウォーターオーブン「ヘルシオ(HEALSIO)」を世界で初めて※2世に送り出しました。
後にお茶メーカー「ヘルシオお茶プレッソ」や水なし自動調理鍋「ヘルシオホットクック」など「健康調理」のジャンルを確立する礎となった「ヘルシオ」の誕生から12年。家電をインターネットでつなぐ「IoT」技術にAI(人工知能)を組み合わせることで、「ヘルシオ」はさらにお客様に寄り添う存在へと進化しています。
今回は「ヘルシオ」誕生とこれまでの進化におけるシャープのチャレンジをご紹介します。

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  • ● ヘルシオロゴおよびヘルシオ、HEALSIO は、シャープ株式会社の商標です。
  • ※1 「AIoT」とは、AI(人工知能)と、IoT(モノのインターネット)を組み合わせたシャープの新しいコンセプトで、『家電やIT機器をクラウドに接続して人工知能化することで、もっと人に寄り添う存在にする』という意味が込められています。
    「AIoT」はシャープ株式会社の登録商標です。
  • ※2 2004年9月に世界で初めて過熱水蒸気を使用した家庭用調理器を発売。シャープ調べ

効率最優先から豊かさの時代へ

以前は便利さや手軽さが最優先されていましたが、2000年頃を境に健康や環境への配慮など、人々の意識が少しずつ変化してきました。シャープも「食」の観点から、健康についての新しいアプローチを模索しており、「過熱水蒸気」を使う新しい調理技術に着目しました。過熱水蒸気による調理には「ビタミン保存(栄養素の残存)」や「(油を落とす)脱油」「減塩」など、従来の加熱調理にはない魅力がたくさんあります。しかし、当時すでに業務用として利用されていたこの技術も、一般家庭用へ応用するとなると一筋縄ではいきません。ここから、健康調理が可能な家電「ヘルシオ」開発におけるシャープのチャレンジがはじまります。

健康調理という考え方

家庭用過熱水蒸気技術の開発にあたり、以前から交流のあった大阪府立大学に相談を持ちかけました。ちょうどその頃、大阪府立大学では環境リサイクルをテーマに過熱水蒸気技術の研究を行っていたこともあり、共同研究をスタート。まずは業務用200Vによる過熱水蒸気技術の基礎的な実験を行い、検証によって多くの事実を知りました。

過熱水蒸気で調理すると、マグネトロンを用いる電子レンジの加熱調理に比べて栄養素の分解が少なく、素材の味もしっかり味わえたのです。ヘルシーかつおいしい食事を家庭で手軽に作れる「健康調理」が可能な調理機器の開発に大きな意義を感じ、「ウォーターオーブン」プロジェクトを発足。開発をスタートしました。

“水だけで焼く”ことの難しさ

すでに業務用として存在していた過熱水蒸気による調理技術は、食品加工場など大掛かりな設備での使用を前提としたもの。家庭のキッチンに収まるサイズや低い電圧(業務用200Vの半分の家庭用100V)で、いかに効率良く水蒸気を発生させ、栄養素を壊さないように調理できるか。高温の水蒸気を大量に発生させられれば、その水蒸気により庫内の酸素が追い出され、栄養素が壊れにくい低酸素調理の環境も実現できます。
まずは、300℃の水蒸気を発生させるため、4つのヒーターを搭載した「蒸気加速ユニット」を開発。100Vを超えないよう各々の出力配分の調整に苦労しましたが、大量の過熱水蒸気を発生させることに成功しました。同時に、動物性の食材から多量の油が流れ出すことに着目し、「脱油」効果が確認できました。さらには、開発・実験を通じて「減塩」効果も確認できました。
次なるチャレンジは、いかに水蒸気の密度を高めて低酸素の庫内で効率よく食材に熱を伝えるか。まず、大量の水蒸気を扱うだけに、さびにくいステンレスの一枚板で庫内を隙間なく成形しました。また、水蒸気の圧力でドアが開いてしまわないように独自の高密閉ドアシールドを開発。最低酸素濃度1%以下の低酸素庫内で調理できる「ウォーターヒート技術」を生み出すことに成功しました。
さらに、電子レンジ並のサイズ<庫内26L(リットル)タイプ>を実現させるため、「蒸気加速ユニット」を改良してできるだけ小型化。一方でパワーを強くすることで、大容量の庫内を実現しました(2016年12月現在では30Lタイプも商品化)。

※ 第1号「ヘルシオ」

「まかせて調理」-これ1台で手軽に夕食の献立調理を実現

「ヘルシオ」は健康調理が可能な新しい家電なので、これまで電子レンジの開発で培ってきたノウハウの多くは通用せず、調理メニューの開発も一からのスタートになりました。一つずつ検証を繰り返し、本体メニューを補完する調理ガイド本「COOK BOOK」を含めて、2004年に第1号「ヘルシオ」を発売することができました。翌年の第2世代「ヘルシオ」からは、お客様の要望に応えて電子レンジの機能も搭載しました。
しかし、「ヘルシオ」を数年ご使用いただいたお客様に調査を行うと、過熱水蒸気より、追加した電子レンジの機能をメインに使っている方がいらっしゃいました。「COOK BOOK」を見て料理を決めても、レシピに記載された食材が自宅になかったり、分量が不足していたり、冷凍肉の解凍を忘れた場合など「COOK BOOK」通りの下準備ができなかった時に、慣れ親しんだフライパンなどで料理をしている方が多かったのです。

「ヘルシオ」を使いこなして、1台で手軽にヘルシーでおいしい料理を作ってほしいとの思い-。そこで目指したのが、「COOK BOOK」に書かれた食材の種類や分量の多少、また食材の状態が冷凍・冷蔵・常温に関わらず、「焼く」「蒸す」「炒める」「揚げる」のさまざまな調理が手軽に行える「まかせて調理」機能の開発です。
「まかせて調理」を実現するには、電子レンジで使われている、食材の温度や分量を認識する「赤外線センサー」が必要不可欠でしたが、庫内が水蒸気で覆われる「ヘルシオ」ではセンサーが曇り、当初は使い物になりませんでした。そこで思いついたのが、食材の状態を測定した後、庫内の密閉度を保持しながらセンサーを庫外へぐるりと回転させる「赤外線ムーブセンサー」です。
この技術と「ヘルシオ」独自の過熱水蒸気技術の融合により、ストレスなく、手軽にヘルシーかつ美味しい料理が作れる「まかせて調理」が誕生しました。

さらなる調理時間の短縮や手軽さを目指して

初期の「ヘルシオ」では、過熱水蒸気を作り出すのに時間を要し、調理時間が長くかかっていましたが、過熱水蒸気を発生させるエンジンの高効率化を図り、調理時間短縮の取り組みも進めています。
近年の30Lタイプには、約10分でおいしく仕上げる、スピード「焼き」「蒸し」100メニューの搭載や、今年9月発売の新製品<AX-XW300>の「まかせて調理」には、上段で夕食のおかずを作るのと同時に、下段でご飯が炊ける機能を搭載するなど、別メニューを効率良く調理できるように進化させました。
さらに、空いた時間に“ほったらかし”で栄養とおいしさが凝縮したドライフードを作れる機能も搭載しています。

相談できるパートナーへ

「ヘルシオ」はさまざまな進化を続けてきましたが、実は、主婦の最大の悩みは解消できていませんでした。それは、「毎日の献立を考える」ということ。そこでシャープは、家電をインターネットでつなぐ「IoT」技術にAI(人工知能)を組み合わせた「AIoT」というコンセプトのもと、「ヘルシオ」を料理のパートナーへと進化させました。
「COCORO KITCHEN(ココロキッチン)※3」は、インターネットを通じてクラウドサーバーに繋がることで、お客様の利便性を高める機能です。「ヘルシオ」本体や「COOK BOOK」を補完するだけの料理レシピ集ではありません。調理時間や設定カロリー、冷蔵庫にある食材などを「ヘルシオ」に話しかけるだけで、調理履歴や季節、天気なども考慮しておすすめの料理メニューを提案してくれます。また、家族の嗜好をAI(人工知能)が自動的に学習し、使えば使うほど、その家族に合った「ヘルシオ」に成長していきます。
開発当初は、定型のおしゃべりしかできませんでしたが、料理に特化したアルゴリズムの採用や、話しかけた言葉の意味を理解する意図解析プログラムの進化等により、お客様の自然な話しかけにもスムーズに答えられるようになりました。「結婚して下さい」などと話しかけると、遊び心を持った回答もしてくれます。
これからの家電は、家事を手伝うだけでなく、お客様のパートナーとなってともに進化していく存在であると、シャープは考えています。

ほかにも、管理栄養士が多く在籍する株式会社ファンデリーと協業。開発いただいた糖尿病など疾病別のメニューを「ヘルシオ」に搭載し、病気で悩む方やご家族の負担軽減にも努めています。
今後、シャープは「健康って、おいしい」をコンセプトに、ウォータオーブン「ヘルシオ」や焼きに特化し過熱水蒸気の手軽さをより高めたウォーターオーブン専用機「ヘルシオグリエ」、お茶メーカー「ヘルシオお茶プレッソ」、水なし自動調理鍋「ヘルシオホットクック」などの健康調理が可能な家電製品群を国内外へさらに広く展開し、世界中のお客様の健康寿命を延ばすお手伝いをしたいと考えています。「輝けるグローバルブランド」になることを目指して、シャープはこれからも挑戦し続けます。

  • ※3 「COCORO KITCHEN」のご利用には、無線LAN接続並びに常時接続のブロードバンド回線が必要です。

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