サステナビリティ・マネジメント
シャープのサステナビリティ方針
サステナビリティに対する基本的な考え方
シャープは、経営理念において掲げている「広く世界の文化と福祉の向上に貢献する」「全ての協力者との相互繁栄を期す」という創業以来の精神のもと、社会やステークホルダーからの期待や要請に応え、当社と社会の相互の持続的発展を目指すことをサステナビリティに対する基本的な考え方としています。
企業行動憲章・行動規範
経営理念・経営信条を具体化するために、グループ企業の行動原則として「シャープグループ企業行動憲章」を、全ての役員・従業員の行動の規準として「シャープ行動規範」を定め、シャープグループにおける基本方針として徹底し、あらゆる業務遂行において、法令遵守はもとより高い倫理観をもって適切かつ真摯な行動に努めています。
シャープグループ企業行動憲章・シャープ行動規範は、シャープ(株)の他、主要な国内外の子会社および関係会社の取締役会の決議の基、これらを適用しています。また、適用している海外拠点においては各国語に翻訳し、徹底・浸透を図っています。
シャープグループ企業行動憲章・シャープ行動規範は、その内容の改定要否を毎年検討しています。
サステナビリティ方針の体系
行動規範浸透の取り組み
シャープ行動規範への理解を一層深め、全役員・従業員一人ひとりが行動規範に則った正しい行動をしていくことを目的として、日本国内においてはeラーニング形式にて「シャープ行動規範に基づくコンプライアンス学習」を毎年実施しています。
2022年度は、行動規範に則った業務遂行、内部通報制度の周知、労働時間や賃金および福利厚生など労働・人権関連、景品表示法の遵守、インサイダー取引規制、会計不正の防止などコンプライアンス関連、情報セキュリティや秘密情報管理における課題と対処、ESG推進についてなど幅広いテーマで実施し、シャープ(株)、国内関係会社、労働組合などを対象に約18,000人が受講しました。また、海外の各拠点においても行動規範の周知を図っており、その一助としてeラーニングの学習コンテンツを配付して、グローバルに徹底しています。
今後もコンテンツを拡充しながら継続して実施し、従業員の理解の浸透と、問題発生を未然に防ぐマインドの醸成を図っていきます。なお、これらの取り組みは「内部統制に関する基本方針」に基づく社内施策として実施し、代表取締役社長 兼 CEOが委員長を務める内部統制委員会および取締役会に報告しています。
サステナビリティ戦略と推進体制
シャープは、サステナビリティに対する基本的な考え方に基づき、2015年9月に国連で採択され、企業へも大きな期待が寄せられている持続可能な開発目標(SDGs)の達成へ貢献することを中長期ビジョンに据え、取り組みを進めています。
2018年度には、この中長期ビジョンの実現に向けて「事業や技術のイノベーションを通じた社会課題の解決」と「サステナブルな事業活動による社会・環境に対する負荷軽減」を両輪として、SDGs達成に向けた貢献を目指すことをサステナブル経営の基本戦略として取り組みを加速してきました。
さらに、2022年度に公表した「ESGに重点を置いた経営」方針の下、「技術力の更なる強化」「グローバルマインドの醸成」「人を活かす経営」の3つに重点的に取り組むとともに、新規事業の創出を加速しています。
こうした取り組みを通じ、脱炭素社会の実現や医療・介護問題の解決、労働力不足の解消、多様なライフスタイルの実現等、現代社会が直面する様々な社会課題の解決に貢献することで、人や社会に寄り添い、常に新たな価値を提供し続ける「強いブランド企業 SHARP」の早期確立を目指しています。
シャープは、これらの戦略を実行施策レベルに落とし込み、PDCAサイクルでマネジメントしていくため、代表取締役社長 兼 CEOを委員長とし、経営幹部、環境・人事・調達などの本社機能部門、事業本部・子会社などで構成する「サステナビリティ委員会」を設置し、ビジョンや方針の徹底、各種施策についての審議・推進、社会課題に関する最新動向の情報共有などを実施しています。また、重要な方針や決定事項については、取締役会に報告しています。
今後も、SDGs・ESG分野の取り組みを継続して強化し、当社のESGレーティング・格付の向上を図りながら、持続的成長を支える強固な経営基盤を構築し、サステナブルな社会の実現に貢献していきます。
サステナブル経営の基本戦略
サステナビリティマネジメント推進体制(2023年8月現在)
イニシアティブへの参加
シャープは、グローバル社会の一員として、国際的な指針や規範を尊重しながら企業経営を行っています。
国連グローバル・コンパクト
2009年9月に「国連グローバル・コンパクト」に署名参加しました。国連グローバル・コンパクトとは、持続可能な成長を実現するための世界的な枠組みづくりに参加する自発的な取り組みです。「人権」「労働」「環境」「腐敗防止」の4分野10原則を踏まえて各種施策を展開しています。
RBA(Responsible Business Alliance)
2021年12月にグローバルサプライチェーンにおいて社会的責任を推進するRBAに加盟し、RBAのビジョンとミッションの支持を表しています。
RMI(Responsible Minerals Initiatives)
2021年12月に責任ある鉱物調達の国際的なイニシアティブであるRMIに加盟し、鉱物調達におけるデュー・ディリジェンス活動を積極的に行っています。
TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)
2022年8月にTCFDの提言への賛同を表明するとともに、TCFDのフレームワークに沿って、気候変動に関する情報開示の拡充を図っています。
SBTi(Science Based Targets イニシアティブ)
2020年1月にパリ協定に準拠した科学的根拠に基づいた温室効果ガス排出削減目標の「SBT WB2℃」認定を受けています。
GXリーグ
2023年4月に経済産業省が推進する「GXリーグ」に参画しました。産・官・学の連携により、温室効果ガスの排出削減に貢献しつつ、外部から正しく評価され成長できる社会(経済と環境および社会の好循環)を目指します。
その他の主なイニシアティブ
- 一般社団法人 日本電機工業会(JEMA)
- 一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA)
- 一般社団法人 ビジネス機械・情報システム産業協会(JBMIA)
- 日本機械輸出組合(JMC)
- 一般社団法人 ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)
マテリアリティ(重要課題)
マテリアリティの特定とモニタリング
SDGsやパリ協定※などのグローバルでの社会課題解決を目指した国際的な中長期目標が相次いで発表され、またグローバルサプライチェーンにおける強制労働などの人権問題への関心が集まる中で、企業のサステナビリティ取り組みへの期待はより一層高まっています。
こうした背景から、グローバルな社会課題解決への貢献とシャープグループの中長期的な成長との両立の視点から、サステナブル経営推進のためのマテリアリティ(重要課題)を特定し、取り組みを進めています。
マテリアリティの特定に当たっては、当社の経営方針・事業戦略に加えて、国連グローバル・コンパクト、SDGs、RBAのビジョン・ミッションなどの国際的なガイドラインや原則、さまざまなステークホルダーからの意見や期待、事業活動がステークホルダーに及ぼす影響、ESGレーティング・格付機関などによる評価結果などを踏まえ、マテリアリティを抽出しています。
抽出したマテリアリティは「ステークホルダーからの期待度」と「シャープグループとしての重要度」という2つの観点でマッピングし、全社レベルで優先的に取り組むテーマを「サステナビリティ施策」として決定しています。
各事業本部・子会社は、施策ごとの目標・GOAL、評価指標(KPI)、実行計画などを設定し、半年に一度開催される「サステナビリティ委員会」において、実績や取り組み状況のレビューを行っています。
- ※ 2015年にパリで開催された第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)で採択された、気候変動抑制に関する多国間の国際的な合意協定。世界の平均気温の上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求することが掲げられている。
マテリアリティの特定プロセス
2023年度全社サステナビリティ施策
サステナビリティ施策 | 貢献するSDGs |
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製品の省エネルギー化の推進 |
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製品・包装材のバージンプラスチック使用量の削減 |
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持続可能な製品の創出 |
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事業活動に伴う温室効果ガス排出の削減 |
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事業活動に伴う廃棄物排出の削減 |
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国内外自社工場のESGリスクの低減 |
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サプライチェーンのESGリスクの低減 |
国際基準に沿ったリスク評価
シャープは、グローバルなビジネス展開に当たって、事業の拡大と持続可能な社会の構築を両立していくためには、国際基準に則して取り組むことが極めて重要と認識しています。
2015年度から、国際的な業界基準の1つである「RBA行動規範」に準拠した「シャープサプライチェーンCSR推進ガイドブック」を作成し、当社グループの取り組み指針として活用するとともに、国内外の生産工場を対象とした自己評価調査を継続的に実施しています。
この調査は、RBAの自己評価調査票に基づき自社工場の取り組み状況を確認・評価するもので、調査への回答対応を通じて現地担当者の国際基準への理解促進を図っています。
2022年度は、国内外の28生産工場を対象に調査を実施しました。調査後はRBAの評価基準に沿って「Low Risk」「Moderate Risk」「High Risk」の3段階で評価し、各工場に総合評価および分野別評価をフィードバックしています。
また、各工場からの回答内容は、本社機能部門がレビューを行い、取り組みが不十分な点や潜在的なリスクが残る点については、個別ヒアリングを実施するなど、各工場への指導を通じて改善活動を促しています。
こうした取り組みの結果、2022年度の全生産工場の平均スコアは91.2ポイント(前年は90.6ポイント)と継続しておおむね良好な評価となっています。全体としては総合評価が「Low Risk」となった工場が約93%を占め、グループ全体として直ちに大きなリスクにつながる問題は確認されませんでした。
2023年度からは、顧客要請や製品認証基準への対応の一環として、国内外の一部の工場がRBAのVAP※監査を受審し、リスク評価の客観性と透明性の向上に取り組んでいます。
今後も継続して調査・監査を実施するとともに、RBAのリスク評価の仕組みやツールを活用し、取り組みのレベルアップを図っていきます。
- ※ Validated Assessment Program。RBAが認定する第三者監査会社による現地監査。
総合評価の構成比
分野別評価の分布状況
ステークホルダーエンゲージメント
ステークホルダーエンゲージメントの推進
当社の経営理念の中で掲げている「株主、取引先をはじめ、全ての協力者との相互繁栄を期す」を実現するために、お客様、お取引先様、地域コミュニティの皆様など多様なステークホルダーに対して情報開示を適切に行っています。
また、昨今のESG投資の高まりを受け、さまざまな機会を通じて、株主・投資家とのコミュニケーションを図り、ESGの取り組みを更に改善しています。
今後も、ステークホルダーの皆様の意見を企業活動に反映して、社会課題の解決への貢献と当社の持続的な成長を目指していきます。