事業経営の方向性

強いブランド企業“SHARP”の確立に向けて

当社は、2017年度から3年間にわたって、「事業」「市場」「オペレーション」の3つのトランスフォーメーションを推進し、早期の業績回復を実現するとともに、将来に向けた確かな基盤の構築に取り組んできました。さらに、2020年度は、次々と起こる環境変化に機敏に対応することで、さらなる業績改善やフリーキャッシュフローの黒字化を果たすとともに、デバイス事業の分社化やM&A等、成長の加速に向けた布石を着実に打ってきました。

2021年度からは、こうした成果を土台に、「強いブランド企業“SHARP”」の確立に向け、「ブランド事業を主軸とした事業構造の構築」、「事業ビジョンの具現化」、「社債市場への復帰」の3つの取り組みを重点的に推進していきます。

1. ブランド事業を主軸とした事業構造の構築

当社は、コアとなる3つの「ブランド事業」と、それらを支える2つの「デバイス事業」が、One SHARPとなって事業を推進しています。

ブランド事業では、2020年11月に、B2Bディスプレイ事業のグローバル拡大や新規事業の創出、コスト競争力強化等を狙いに、同事業で欧米市場に強みをもつシャープNECディスプレイソリューションズ(株)を子会社化しました。また、AIoT戦略のさらなる高度化を狙いに、AIoTプラットフォーム事業を担う(株)AIoTクラウドを、パソコンを主力にIT事業を展開するDynabook(株)の100%子会社とし、ICTグループ内の連携強化を進めています。ブランド事業においては、今後も引き続き、M&Aや協業を積極的に展開するとともに事業間連携をより一層強化することで、特長的な機器やサービス、ソリューションの創出を加速し、グローバルに事業を拡大していく方針です。

一方、デバイス事業では、2019年4月の電子デバイス事業に続き、2020年10月にディスプレイデバイス事業を、2021年4月にカメラモジュール事業を分社化し、全てのデバイス事業の分社化を完了しました。また、次世代ディスプレイの展開加速も視野に2020年10月に(株)ジャパンディスプレイの白山工場を取得し、2021年2月より、まずは液晶パネル生産ラインの稼働を開始しました。デバイス事業においては、今後は他社との協業を梃子に競争力をより一層強化し、ブランド事業の優位性を支える革新的デバイスの創出に取り組みます。

  • ※ 「AIoT」は、AI(人工知能)とIoT(モノのインターネット化)を組み合わせ、あらゆるものをクラウドの人工知能とつなぎ、人に寄り添う存在に変えていくビジョンです。「AIoT」は、シャープ株式会社の登録商標です。

2. 事業ビジョンの具現化

当社は、事業ビジョンの具現化に向け、8K+5GやAIoT等の先端技術を搭載した“特長機器”を創出し、グローバルに販売を拡大するとともに、こうした機器とソフトウェアやサービスを融合した“システム”の創出、さらには、それぞれのシステムを連携させた当社グループならではのプラットフォームを構築し、さまざまな分野で独自の“ソリューション”の提供を目指しています。

当社はこれまで、8Kテレビ、8Kカメラ、8K PC、8K+5Gスマートフォン等のさまざまな8K+5G機器や、累計11カテゴリー/567機種(2021年6月31日時点)ものAIoT機器を創出し、日本を中心に販売を拡大してきました。一方、海外では、将来の8K+5G及びAIoTビジネスの展開を見据え、ASEANにおいて、商品カテゴリー・ラインアップの拡充による事業拡大に取り組むとともに、欧州、米州、中国において、販売体制の見直しやブランドビジネスの再構築を進めてきました。

今後、日本では、これまで構築してきた事業基盤を有効に活用し、「Smart Home」「Smart Office」「Entertainment」の分野を中心に、新たなサービスやソリューションを本格展開するとともに、健康・医療・介護分野における新規事業の創出や工場の自動化ソリューションの展開、GIGAスクールを契機とした教育向けビジネスの拡大など、新たな分野においても事業を着実に立ち上げていきます。一方、海外においては、欧米や台湾、ASEANなどを中心に、8K+5G機器やAIoT機器のグローバル拡大をより一層強化し、将来に向けた基盤構築を加速します。

3. 社債市場への復帰

当社が今後も持続的に成長していくためには、より強固な財務基盤を構築することが不可欠であり、現在、「“量から質へ”の徹底」、「運転資金の圧縮」により営業キャッシュフロー(CF)の最大化を図るとともに、安定した収益が見込める「ブランド事業への投資拡大」、「デバイス事業における外部資金の獲得」など、投資効率の向上に向けた取り組みを加速しています。今後はこのような取り組みを通じて、毎期、安定的にフリーキャッシュフロー(FCF)を創出し、適切な株主還元を行うとともに、有利子負債の削減など、財務体質の改善を進めていきます。そして、将来的には、社債市場への復帰を目指します。

また、当社は、ESGの取り組みを通じて、サステナブルな社会の実現に寄与するとともに、持続的成長を支える強固な事業基盤の構築に取り組みます。

環境の面では、2019年2月に長期環境ビジョン「SHARP Eco Vision 2050」を策定し、持続可能な地球環境の実現に向け「気候変動」「資源循環」「安全・安心」 の3つの分野それぞれで2050年の長期目標を設定しました。昨今、世界各国で取り組みが加速している「気候変動」の分野では、2050年までに自社活動のCO2排出量ネットゼロを実現するとともに、サプライチェーン全体で消費するエネルギーを上回るクリーンエネルギーを創出するという目標のもと、エネルギーソリューション事業の拡大や、製品の省エネ性能の向上、事業活動における燃料や電力使用のさらなる効率化に取り組みます。

社会の面では、8つの重点事業分野を中心とした事業活動により、社会課題の解決に取り組みます。また、日本が深刻なマスク不足となった2020年2月、当社グループは日本政府からの要請を受け、社会貢献として、翌3月より三重工場でマスクの生産を開始し、その後1年余りで累計2億枚を超えるマスクを出荷してきました。加えて、「光触媒スプレー」や「高性能フェイスシールド」、ワクチン輸送にも活用されている「適温蓄冷材」など、さまざまな健康関連商品の展開も積極的に行っています。当社は、今後もこのような、人々の健康や社会の安心・安全の確保に向けた取り組みを通じて、より一層社会に貢献していきたいと考えています。また、サプライチェーンにおける人権問題をはじめとした社会課題についても、未然防止ならびにその実効的な解決に向けた取り組みを強化していきます。

ガバナンスの面では、企業価値向上を実現するコーポレートガバナンスの構築に向け、当社グループと親会社グループとの取引の必要性・合理性・妥当性を審査する「特別委員会」の設置や、独立社外取締役の増員を行いました。今後も取締役会のさらなる機能向上に向けた体制作りを進めるとともに、グループガバナンスの強化を図ります。さらに、より適切な情報開示やステークホルダーとの継続的な対話も行っていきます。

ESHARP Eco Vision 2050の遂行

  • 2050年に自社活動のCO2排出量をネットゼロへ
  • サプライチェーン全体で消費するエネルギーを上回るクリーンエネルギーの創出
  • 企業活動で生じる地球への環境負荷の最小化

S事業活動を通じた社会への貢献

  • 8つの重点事業分野を中心とした社会課題の解決
  • サプライチェーン全体でのCSRの推進
  • グローバル各地域での継続的な社会貢献活動

G企業価値向上を実現するコーポレートガバナンスの構築

  • 取締役会のさらなる機能向上に向けた体制づくり
    (経験の多様化、専門性の高度化/多様化等)
  • グループガバナンスの強化
  • より適切な情報開示 及び ステークホルダーとの継続的な対話