コーポレートR&Dとして、再成長と将来の飛躍に向けたコア技術の創出を通じて、全社の新規事業創出やNext Innovationを牽引していきます。
全社のコア技術として、全事業領域への応用展開を目指すエッジAI技術や、省人化DXの基盤となる画像解析技術、AI時代の社会インフラを支える次世代通信技術、環境に配慮した創・蓄・省エネルギー技術、暮らしの豊かさを追求するQuality of Life、そして、ブランド/デバイス事業の基盤技術であるマイクロフォトニクス、これらを核に技術の深化・展開を進めていきます。
急激な進化を遂げているAIにおいて、シャープとして特に開発を強化していくのが、独自のエッジAI技術「CE-LLM」です。CE-LLMはリアルタイムでユーザーの周辺情報をAIへ自動入力する「環境プロンプト」と、エッジAIとクラウドAIの最適な切り替えにより、会話の応答性や品質を向上させるだけでなく、プライバシー保護や通信量の抑制も実現しています。CE-LLMを活用し、人に寄り添う新たなAIソリューションを提供します。

新たなイノベーション創出の加速に向けては、全社横断プロジェクトI-Proにより、シャープグループの総力を結集して、開発テーマの早期事業立上げを目指します。スタートアップやクリエイターといった幅広いパートナーとも積極的に連携し、シャープらしい価値創造に取り組んでいます。
将来技術の探索においては、大きな成長が期待される領域でコア技術の深化や融合による新たな価値創造を目指し、Next Innovationの具現化を加速させます。
モビリティやインダストリーDX・ロボティクス、宇宙分野などの新産業領域で、当社の特長技術の強みを活かしてシャープらしさを追求するとともに、新規事業の創出に挑戦していきます。
モビリティ市場における顧客ニーズの変化に応じて、「止まっている時」にフォーカスしたシャープならではの新たなEV開発を加速していきます。また、インダストリーDX・ロボティクスでは、当社が保有する画像解析技術とロボット制御・AI応用技術の開発を強化し、将来のフィジカルAIへと繋げていきます。
さらに、関心が高まる宇宙分野においては、これまで蓄積した高効率太陽電池技術や通信技術、画像解析技術などの特長技術を活用し、将来ビジネスの探索を進めていきます。
シャープでは、知的財産戦略を経営上重要な戦略の一つとして位置付け、事業戦略や研究開発戦略と一体で推進しています。積極的な特許取得を推進することで、事業の優位性を高め、経営基盤の強化に努めています。
シャープIPインフィニティ株式会社※1は、シャープの商品、技術及び事業を熟知しており、知財専門業務の質の向上と効率改善を強固に進めながら、高度なサービスを提供することで知的財産経営を高め、シャープの先進技術から強い特許と様々な経済価値を生み出していきます。特許取得に関しては、事業ごとに中核となる技術分野を明確化し、現場に密着した戦略的な特許出願を行っています。また、他社との協業あるいは産学連携などのアライアンス活動により生み出される有用特許の取得も積極的に行っています。
近年、標準化活動は市場創出や競争優位性の確保など、企業経営戦略のツールの一つとして位置付けられ、我が国においても国際標準獲得を通じた競争力強化が急務となっています。
当社は、2003年に無線通信技術の規格特許取得を目的とした研究所を設置し、2004年に3GPP※2会合で開始されたLTE標準化に参加、以来、Beyond 5Gの標準化に至るまで継続して参画しています。現在、世界50か国以上で8,500件を超える通信規格必須特許を保有し、5G規格に関する必須特許保有数は日本トップレベルで、これらの特許を経営資源として活用しています。
また、海外企業や大学等との国際連携も活発に行っており、特に次世代の通信・映像符号化技術の国際標準化を促進しています。国際会議には、積極的に若手社員を派遣し、多くの活動経験を積むことで高度なスキルを持つ人材育成に取り組んでいます。