研究開発・知的財産・標準化
R&D and Intellectual Property

研究開発・知的財産・標準化(2024年11月現在)

Next Innovationの創出

専務執行役員 CTO 兼
ネクストイノベーション
グループ長 兼 SIPI会長
種谷 元隆

当社は新産業として AI/次世代通信/EV領域に注力し、「技術力強化による付加価値向上」と「事業領域の拡大」2つの視点からNext Innovationの創出を加速しています。当社独自のエッジAI技術CE-LLM※1を活用した人と社会に寄り添うAI、今後さらなる重要性が高まる次世代通信技術の開発に加え、モビリティも一つの生活空間として捉え、当社らしい新たな価値創出に挑戦していきます。

これらの取り組みを加速させるため、CEO主管の全社プロジェクト「イノベーションアクセラレータープロジェクト(I-Pro)」を導入しました。 I-Proは、全社へ波及する有望なテーマを選定し、シャープグループの総力を結集することで革新的な新規事業の早期立上げを目指します。

加えて、インキュベーション活動の統轄サイト SHARP INCUBATION HUBを構築し、その一環として「SHARP 共創PROGRAM※2」を始動、スタートアップやクリエイターといった幅広いパートナーからの事業アイデアを基に、当社の強みと共創アイデアを融合させ、顧客の課題に焦点を当てた新たなソリューションを生み出していきます。

研究開発の取り組みと技術開発の方向性

コーポレートR&D部門である研究開発本部では、「社会にインパクトを与える世界初/世界一の独自技術により新しいエコシステムを構築し、新規事業創出・拡大することにより、持続可能な社会の実現に貢献する」というミッションに取り組んでいます。

One SHARPの連携により、カーボンニュートラルへの取り組みの強化やインフラ等へのDX推進など、生活環境を快適化する成長分野における新たな事業展開の加速を進めています。

特に、技術革新が進むAI技術の応用展開を核に、人と地球にやさしいイノベーションの創出を推進しています。

シャープの技術開発の方向性 ~エッジAI技術<CEーLLM>の全事業への展開~

知的財産戦略

シャープでは、知的財産戦略を経営上重要な戦略の一つとして位置付け、事業戦略や研究開発戦略と一体で推進しています。積極的な特許取得を推進することで、事業の優位性を高め、経営基盤の強化に努めています。また、知的財産部門のプロフィットセンター化を図るため当該部門を分社化しています。分社化したシャープIPインフィニティ株式会社※3は、シャープの商品、技術及び事業を熟知しており、知財専門業務の質の向上と効率改善を強固に進めながら、高度なサービスを提供することで知的財産経営を高め、シャープの先進技術から強い特許と様々な経済価値を生み出していきます。特許取得に関しては、事業ごとに中核となる技術分野を明確化し、現場に密着した戦略的な特許出願を行っています。

また、他社との協業あるいは産学連携などのアライアンス活動により生み出される有用特許の取得も積極的に行っています。

標準化戦略

近年、標準化活動は市場の創出や競争優位性の確保など、企業経営戦略のツールの一つとして重要性が高まるとともに、我が国においても国際標準獲得を通じた競争力強化が急務となっています。

当社は、2003年に無線通信技術の規格特許取得を目的とした研究所を設置し、2004年に3GPP※4会合で開始されたLTEの標準化に参加、以来、Beyond 5Gの標準化に至るまで継続して参画しています。現在、世界50か国以上で7,500件を超える通信規格必須特許を保有し、重要な経営資源として活用しています。

また、海外企業や大学等との国際連携も活発に行っており、特に次世代の通信・映像符号化技術の国際標準化を促進しています。国際会議には、積極的に若手社員を派遣し、多くの活動経験を積むことで高度なスキルを持つ人材育成に取り組んでいます。

<貢献事例>
5G-Advanced 標準仕様策定における貢献

5Gの機能拡張・性能改善を目的とした「5G-Advanced」の物理レイヤ標準仕様策定に貢献
(「5G-Advanced」は、2020年代後半に実用化を見込んでいる)

<受賞歴>
2024年度 一般社団法人情報通信技術委員会(TTC)功労賞を3名が受賞

若手標準化人材育成につながる3GPP勉強会施策にかかわる功績が評価されたもの