スマートグリッドの日米共同実証プロジェクトがスタート ~商業地域スマートグリッド実証プロジェクトを 米国ニューメキシコ州アルバカーキ市で開始~

清水建設(株)<社長:宮本洋一、以下「清水建設」>、(株)東芝<社長:佐々木則夫、以下「東芝」>、シャープ(株)<社長:奥田隆司、以下「シャープ」>、(株)明電舎<社長:稲村純三、以下「明電舎」>、東京ガス(株)<社長:岡本毅、以下「東京ガス」>、三菱重工業(株)<社長:大宮英明、以下「三菱重工」>、富士電機(株)<社長:北澤通宏、以下「富士電機」>、古河電気工業(株)<社長:柴田光義、以下「古河電工」>、古河電池(株)<社長:内海勝彦、以下「古河電池」>の9社は、本日(現地時間17日)、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「NEDO」)から受託した、「スマートグリッドの日米共同実証プロジェクト」(別紙参照)の一環である「アルバカーキ市における商業地域スマートグリッド実証プロジェクト(以下、「本プロジェクト」)」の実証研究を同市で開始しました。研究期間は2014年3月までの約2年間です。現地では本日、NEDO理事長や9社の社長・役員、ニューメキシコ州関係者、アルバカーキ市関係者らの出席のもと、実証施設の開所式が執り行われました。
本プロジェクトの概要は、既存の商業ビル(3階建て、延床面積7,000m2、電力負荷約400kW)に、太陽光発電50kW、ガスエンジン発電機240kW、燃料電池80kW、蓄電池90kWを電源とするマイクログリッド(需要者側の電力供給網)を構築し、各設備を制御することで、(1)商用電力の供給者からの要請※1に基づいた商業ビル内の需給調整(デマンドレスポンス)、(2)商業ビル内の電力熱需要に応じた運転、(3)地域の電力会社が敷設している太陽光発電の出力変動補完、を行うというものです。
本プロジェクトには、米国からは地域の電力会社であるPNM(Public Service Company of New Mexico)とサンディア国立研究所、ニューメキシコ大学が参画し、電力会社と需要者側の協調を図ったスマートグリッドの実証を共同で行います。なお、プロジェクトのデータ管理をアクセンチュア、実証サイトの運営支援を伊藤忠商事がそれぞれ担当します。
プロジェクトのこれまでの経過は、2010年8月に9社がNEDOと実施契約を締結、その後2011年9月までの間に実証研究に採用する各種電源・熱源機器ならびに制御システムの設計・製作、続く11年10月から12年4月までの間に各種設備機器の商業ビルへの搬送・据え付け・調整運転などを実施しました。
※1 本プロジェクトでは、商用電力の供給者が、電力需要予測に基づき発する要請を想定し、ガスエンジン、燃料電池、蓄電池、空調設備などの制御(デマンドレスポンス)を行ないます。
≪参考≫
1. 日本企業9社の役割分担
清水建設 | : | マイクログリッド全体システムの設計・構築、ビル・エネルギー・マネージメント・システム(BEMS)の設計・構築、蓄熱空調システムの設計・構築、全体システムの運用および検証 |
東芝 | : | スマートグリッド(商用電力)側のエネルギー・マネージメント・システム(EMS)の設計・構築・性能検証 |
シャープ | : | 太陽光発電システムの設計・調達・性能検証 |
東京ガス | : | 分散電源制御方法の設計・構築・性能検証 |
三菱重工 | : | ガスエンジン発電機および制御システムの設計・製造・性能検証 |
富士電機 | : | 燃料電池の設計・調達・性能検証 |
明電舎 | : | 太陽光発電用電力制御システム(PCS)の設計・調達・性能検証 |
古河電工 | : | 蓄電池管理システムの設計・調達・性能検証 |
古河電池 | : | 蓄電池の設計・調達・性能検証 |
2. 商業ビルの概要
名称 | : | Mesa del Sol Aperture Center |
所在地 | : | 米国ニューメキシコ州アルバカーキ市 |
所有者 | : | Mesa del Sol |
規模 | : | 敷地面積15,000m2、建築面積2,500m2、 延床面積7,000m2、地上3階 |
3. マイクログリッドの電源構成
太陽光発電設備 | : | 50kW |
ガスエンジン発電機 | : | 240kW |
燃料電池 | : | 80kW |
蓄電池 | : | 90kW(160kWh) |
以上
[別紙]
「米国ニューメキシコ州における日米スマートグリッド実証」 の実証概要について
(I) ロスアラモス郡におけるスマートグリッド実証
・1.3~3.4MWの負荷を持つ配電線に対し、太陽光発電(PV)1MW、蓄電池1MW程度を集中的に導入し、PV出力の変動吸収を可能とするEMSと情報通信技術を構築・実証する。
・スマート配電機器(情報通信機能を持った配電機器等)を導入し、高い信頼性を有する配電系統を構築・実証する。
(II) ロスアラモス郡におけるスマートハウス実証
・PV(3kW程度)と蓄電池(20kWh程度)、蓄熱機器、IT家電といった需要家機器、スマートメータ技術とリアルタイムプライシングを組み合わせたEMS、宅内・宅外通信システムを有するスマートグリッドハウスを構築。一般住宅と比較し、その効果を実証する。
(III) アルバカーキ市における商業地域スマートグリッド実証
・電力系統から切り離されても自立運転可能なビル需要地システムを、蓄電池、ガスエンジンコージェネ、燃料電池、蓄熱槽、PV等により構築し、高い信頼性を有する供給体制を実証する。
・配電系統内に設置されたPVの変動を、ビル側EMSと系統側EMSを連系することにより吸収できることを実証する。
(IV) 全体総括研究
・以下のような項目を含む全体総括研究をニューメキシコ州側の総括研究と連携して実施。
i) スマートグリッド全体とりまとめ研究
ii) PV等分散電源の評価
iii) 単独運転検出装置など分散電源保安技術に関する検討
iv) サイバーセキュリティ及び情報通信技術の研究
v) モデル・シミュレーション開発
以上

(注) | ニュースリリースに記載されている内容は、報道発表日時点の情報です。ご覧になった時点で、内容が変更になっている可能性がありますので、あらかじめご了承下さい。 |
|