集光型化合物3接合太陽電池で実現
集光型太陽電池セルで世界最高変換効率43.5%を達成


シャープは、レンズで集光した太陽光を電気に変換する集光型化合物3接合太陽電池セルで、世界最高変換効率※143.5%※2を達成しました。
化合物太陽電池セルは、インジウムやガリウムなど、2種類以上の元素からなる化合物を材料とした光吸収層を持つ変換効率の高い太陽電池です。今回開発した太陽電池セルの基本構造は、インジウムガリウムヒ素をボトム層とする3つの光吸収層を効率よく積み上げる当社独自の技術を採用しています。
このたび、3つの光吸収層で集光された太陽光を効率良く電気に変換できることに加え、受光面の電極間隔を最適化し、電気抵抗を最小限に抑えることで、世界最高変換効率※143.5%※2を達成しました。
本件はNEDO※3の「革新的太陽光発電技術研究開発」プロジェクトの一環として開発に取り組んだ結果、ドイツのフラウンホーファー太陽エネルギーシステム研究所※4において、集光型太陽電池セルとして世界最高変換効率の測定結果が確認されたものです。
現在、化合物太陽電池は特殊用途として主に人工衛星などに使用されていますが、今回の開発成果を、小面積の太陽電池セルで発電できる集光型システムに応用することにより、地上用途への展開を目指してまいります。
※1 2012年5月30日現在、研究レベルにおける集光型太陽電池セルにおいて。(シャープ調べ)
※2 2012年4月、ドイツのフラウンホーファー太陽エネルギーシステム研究所(世界の太陽電池の公的測定機関の一つ)により集光倍率306倍の条件において確認された数値(セル面積:約0.167cm2)。 2011年3月にSolar Junction(米国)が達成した43.5%と同率の世界最高変換効率。
※3 独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構。日本の産業技術とエネルギー・環境技術の研究開発およびその普及を推進する我が国最大規模の中核的な研究開発実施機関。 ※4 「革新的太陽光発電技術研究開発」プロジェクトの一環である「高効率集光型太陽電池セル、モジュール及びシステムの開発(日EU共同開発)」にEUメンバーとして参加。
■ 当社 化合物太陽電池の開発の経緯
1967年 単結晶シリコンを用いた宇宙用太陽電池の開発を開始
1976年 宇宙用太陽電池(単結晶シリコン太陽電池)を搭載した実用衛星「うめ」打ち上げ
2000年 宇宙用太陽電池のさらなる高効率化、軽量化、耐久性向上のために、化合物3接合型太陽電池の研究開発を開始
2001年 NEDOの太陽光発電研究開発テーマへの参画を開始
2002年 化合物3接合型太陽電池が宇宙航空研究開発機構(JAXA)認定を取得
2003年 化合物3接合型太陽電池セルで、変換効率31.5%を達成(研究レベル)
2005年 化合物3接合型太陽電池を搭載した小型科学衛星「れいめい」打ち上げ
2007年 化合物3接合型太陽電池セル(集光型 1,100倍集光時)で、変換効率40.0%を達成(研究レベル)
2009年 化合物3接合型太陽電池を搭載した温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」打ち上げ
2009年 NEDO「革新的太陽光発電技術研究開発」プロジェクトの一環として研究開発に取り組む中で、化合物3接合型太陽電池セルで変換効率35.8%を達成(研究レベル)
2011年 NEDO「革新的太陽光発電技術研究開発」プロジェクトの一環として研究開発に取り組む中で、化合物3接合型太陽電池セルで変換効率36.9%を達成(研究レベル)
2012年 NEDO「革新的太陽光発電技術研究開発」プロジェクトの一環として研究開発に取り組む中で、集光型化合物3接合太陽電池セルで変換効率43.5%を達成(研究レベル)

(注) | ニュースリリースに記載されている内容は、報道発表日時点の情報です。ご覧になった時点で、内容が変更になっている可能性がありますので、あらかじめご了承下さい。 |
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