シャープと半導体エネルギー研究所が ディスプレイを革新する酸化物半導体の新技術を共同開発
シャープ株式会社(本社:大阪市阿倍野区、社長:奥田 隆司)と株式会社半導体エネルギー研究所(本社:神奈川県厚木市、社長:山﨑 舜平)は、高い結晶性を有する、酸化物半導体(IGZO)の新技術を共同開発しました。これにより、スマートフォンなどモバイル機器向けの液晶ディスプレイのより一層の高精細化や低消費電力化、タッチパネルの高性能化の実現が可能です。本内容の詳細は、6月5日から開催されるディスプレイの国際学会「The Society for Information Display(SID)」(米国・ボストン)で発表いたします。
共同開発したIGZOは、In(インジウム)、Ga(ガリウム)、Zn(亜鉛)により構成される酸化物半導体に結晶性を持たせたものです。現行のIGZOに対し、より一層の薄膜トランジスタの小型化や高性能化が実現でき、高精細化が進むスマートフォンなどモバイル機器向けの液晶ディスプレイへの採用が期待できます。さらには、有機ELディスプレイへの適用も可能です。今後の市場ニーズに備え、両社で研究開発を進めてまいります。
今後、IGZOの新技術を採用した液晶ディスプレイの早期実用化を目指すとともに、ノンディスプレイ用途のデバイスへの応用展開についても研究開発を進めてまいります。
■ 試作したディスプレイの仕様
| 液晶ディスプレイ |
画面サイズ | 4.9型 | 6.1型 |
画素数 | 720×1280 | 2560×1600 |
画素密度 | 302ppi | 498ppi |
想定する用途 | スマートフォン | モバイル機器 |
| 有機ELディスプレイ |
画面サイズ | 13.5型 | 3.4型 |
画素数 | 3840×2160(QFHD) | 540×960 |
画素密度 | 326ppi | 326ppi |
特長 | 白色OLED +RGBカラーフィルター | フレキシブルタイプ |
シャープ株式会社と株式会社半導体エネルギー研究所は酸化物半導体の開発において、新しい結晶構造を見いだしました。両社で、この結晶構造をCAAC(C-Axis Aligned Crystal)と名付けました。
IGZOの単結晶はC軸方向から見ると六角形構造、C軸に垂直な方向から見ると層状構造という特徴があります。(図1(a)、(b)参照)
これに対して、このたび見いだした膜では、平面TEM画像より六角形構造、断面TEM画像より層状構造が見いだされ、結晶構造をもっていることがわかります。(図2(a)、(b)参照)
この膜の膜表面とC軸の関連については、断面TEM画像によると、IGZO結晶のC軸は膜表面に対して垂直になっています(図3(a)、(b)参照)。それがこれらの膜をC-Axis Aligned Crystal(CAAC)と名付けた理由となっています。
従来のアモルファスIGZOを用いたTFTではゲートBTに対する変動、特に光照射時のBTが問題になっていました。CAAC-IGZOでは光照射BTによる影響を低く抑え、信頼性を改善することができ、より安定したTFTの作製に成功しています。(図4(a)、(b)参照)
【図面の説明】
<シャープと半導体エネルギー研究所がディスプレイを革新する酸化物半導体の新技術を共同開発 発表会レポート> http://www.sharp.co.jp/corporate/report/igzo2/index.html
(注) | ニュースリリースに記載されている内容は、報道発表日時点の情報です。ご覧になった時点で、内容が変更になっている可能性がありますので、あらかじめご了承下さい。 |
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