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ニュースリリース

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2014年4月10日

広島大学大学院先端物質科学研究科 との共同研究
プラズマクラスター技術※1による浮遊カビの
アレルゲン※2の抑制効果を実証

 シャープは、広島大学大学院先端物質科学研究科と共同で、プラズマクラスター技術が、浮遊しているカビの一種であるアスペルギルス・フミガタス(以下、アスペルギルス)の粗アレルゲン※3中の主要なアレルゲンの低減効果を有することと、アスペルギルスのアレルギー患者の血清中のIgE抗体※4に対する反応性を抑制させることを実証しました。

 カビは、私たちの生活環境に存在し、ヒトが吸入することでアレルギー症状を起こす原因となります。特に今回効果を実証したアスペルギルスは、ハウスダスト中のダニの死がい・糞と並んで、アレルギーを引き起こす代表的な原因の1つとなっています。

 シャープはこれまでに、プラズマクラスターイオンによるダニの死がい・糞に含まれる浮遊ダニアレルゲンへの抑制効果※5を実証しています。今回、新たに浮遊しているアスペルギルスのアレルゲンへの抑制効果を実証し、プラズマクラスター技術がアレルギー対策に役立つことが期待されます。

 当社は2000年より、プラズマクラスター技術の効果を世界の第3者試験機関と共同で実証するアカデミックマーケティング※6を進めてきました。これまで23※7の第3者試験機関で、ウイルス・細菌・アレルゲンなどの有害物質の作用抑制や美肌や美髪などにも効果があることを実証するとともに、その安全性を確認※8しています。

 当社は今後も健康的な環境を創出するために、プラズマクラスター技術のさらなる進化とその効果の実証を進めてまいります。

 なお、本研究内容は、2014年6月7日からデンマーク・コペンハーゲンで開催される欧州アレルギー・臨床免疫学会議(EAACI Congress 2014)にて発表予定です。

1.
アスペルギルスの粗アレルゲン中の主要アレルゲンAsp f 1※9量の低減効果
試験空間照射時間低減率
容積約8.7L
(Φ14.5×52.5cmの円筒容器内)
約7分約76%
2.
アスペルギルスの粗アレルゲンとアスペルギルスアレルギー患者の血清中のIgE抗体との反応性の抑制効果
試験空間照射時間抑制率
容積約8.7L
(Φ14.5×52.5cmの円筒容器内)
約7分約56%
※1
プラズマクラスターおよびPlasmaclusterは、シャープ株式会社の登録商標です。
※2
アレルゲンとは、アレルギー反応を引き起こす異物のことで、ダニの粉じん、花粉、カビなどに含まれる。
※3
アスペルギルスの粗アレルゲンとはアスペルギルス中に存在する多種のアレルゲンを含んでいる状態をいう。これに対し精製アレルゲンは、分離精製処理を経て、特定のアレルゲンだけを人工的に取りだしたものをいう。
※4
抗体とは、特定のアレルゲンと特異的に結合するタンパク質。IgEとはアレルギーを引き起こす抗体をさす。
※5
2003年9月3日発表
※6
技術の効能について、先端の学術研究機関と共同で科学的データを検証し、それをもとに商品化を進めるマーケティング手法。
※7
2014年4月10日現在。
※8
(株)LSIメディエンスにて試験(吸入毒性試験、眼および皮膚の刺激性・腐食性試験)。
※9
主要アレルゲンAsp f 1とは、アスペルギルスのアレルゲンの中で、分子構造がわかっており、WHOに登録されている代表的なアレルゲンです。
(1)
アスペルギルスの粗アレルゲン中の主要アレルゲンAsp f 1量の低減効果
<実証方法>
●検証機関:広島大学大学院先端物質科学研究科
●試験空間:容積約8.7L Φ14.5×52.5cmの円筒容器内
●検証アレルゲン:
アスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)の粗アレルゲン中の主要アレルゲンAsp f 1
●検証装置:プラズマクラスターイオン発生素子(円筒容器内に取付)
●プラズマクラスターイオン濃度:円筒容器内平均25,000個/cm3
●プラズマクラスターイオン照射時間:約7分
●対照試験:上記装置のイオン発生なしとの比較
●試験・分析方法:
円筒容器内にイオン発生素子を設置。容器内をプラズマクラスターイオンで満たし、容器上部からアスペルギルスの粗アレルゲンをミスト状にして噴霧、容器内の底部で粗アレルゲンを回収し、アスペルギルスの粗アレルゲン中に含まれる主要アレルゲンAsp f 1の量をサンドイッチELISA法※10により定量評価した。
<結果>
プラズマクラスターイオンの照射により、イオン発生なしの場合と比較して、浮遊しているアスペルギルスの粗アレルゲン中の主要アレルゲンAsp f 1の量を約76%低減されることが確認された。
※10
サンドイッチELISA法とは、アレルゲンなど生体高分子の量を測定する手法の一つ。
(2)
アスペルギルスの粗アレルゲンとアスペルギルスのアレルギー患者の血清中のIgE抗体との反応性の抑制効果
<実証方法>
●検証機関:広島大学大学院先端物質科学研究科
●試験空間:容積約8.7L Φ14.5×52.5cmの円筒容器内
●検証アレルゲン:
アスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)の粗アレルゲン
●検証装置:プラズマクラスターイオン発生素子(円筒容器内に取付)
●プラズマクラスターイオン濃度:円筒容器内平均25,000個/cm3
●プラズマクラスターイオン照射時間:約7分
●対照試験:上記装置のイオン発生なしとの比較
●試験・分析方法:
円筒容器内にイオン発生素子を設置。容器内をプラズマクラスターイオンで満たし、容器上部からアスペルギルスの粗アレルゲンをミスト状にして噴霧、容器内の底部で粗アレルゲンを回収し、アスペルギルスのアレルギー患者の血清中のIgE抗体との反応性をELISA inhibition法※11により定量評価(阻害率50%※12で評価)した。
<結果>
プラズマクラスターイオンの照射により、イオン発生なしの場合と比較して、アスペルギルスの粗アレルゲンとアスペルギルスのアレルギー患者の血清中のIgE抗体との反応性が約56%抑制されることが確認された。
※11
ELISA inhibition法とは、抗原抗体反応の競合阻害を利用して、アレルゲンなど抗原の抗体結合活性を定量的に比較解析する手法の一つ。
具体的には、アレルゲンとIgE抗体の反応性を、イオンあり条件で回収したアレルゲンを加えた時と、イオンなし条件で回収したアレルゲンを加えた時とで反応性を比較する。加えるアレルゲンを阻害剤といい、阻害剤のアレルゲン性が低いほど、同じ反応をおこすのにたくさんの量が必要になる。(グラフが右へシフト)
※12
阻害率50%とは、アレルゲンとIgE抗体の反応性(結合活性)が、阻害剤を加えたことで50%(半減)する点のこと。グラフの点線部。
 広島大学大学院先端物質科学研究科 河本正次准教授のコメント
 アレルギーの急増は大きな社会問題となっていますが、その根治療法は確立されておらず、原因アレルゲンからの回避、あるいはその除去が最も確実で有効な予防手段となっています。今回の研究により、カビ由来のアレルゲンの低減・抑制にプラズマクラスター技術が有効であることがわかりました。この知見が今後の室内環境アレルギーへの対策に役立つことを期待いたします。
 広島大学大学院先端物質科学研究科 分子生命機能科学専攻の紹介
 分子生命機能科学専攻の研究は、生命の仕組みを学ぶ生命科学の基礎研究から、基礎研究の成果を活用する応用展開研究へと広範にわたっており、先端的なアイディアと充実した研究設備により、世界トップレベルの成果も多数あげています。人類の福祉と生存に貢献する生命分子機能の解明と活用に関する先端的研究を通して、バイオサイエンスとバイオテクノロジーの一翼を担う、国際的感覚をもった高いレベルの研究者と高度専門技術者を養成することを目的としています。
 河本正次准教授の研究分野
[所属]
広島大学大学院先端物質科学研究科 分子生命機能科学専攻 分子生命機能科学講座
[専門]
免疫学・動物細胞工学・応用微生物学・応用分子細胞生物学
[経歴]
1996年 
日本学術振興会特別研究員PD
1997年 
広島大学工学部助手
1999年 
広島大学大学院先端物質科学研究科助手
2002年 
米国ハーバード大学医学部客員研究員(日本学術振興会海外特別研究員)
2008年より現職
 アスペルギルス
 食品、ホコリおよび土壌などに広く環境中に分布している自然界において普通に見られるカビの一種。また、アスペルギルス・フミガタスなどアスペルギルスの中にはヒトに対してアレルギー性気管支炎(アレルギー性気管支肺アスペルギルス症)を引き起こすことが知られている。

 プラズマクラスター技術について

プラスイオン(H(H2O)n)とマイナスイオン(O2(H2O)m)を同時に空中へ放出し、浮遊する細菌/カビ/ウイルス/アレルゲンなどの表面で瞬間的にプラスとマイナスが結合して酸化力の非常に高いOHラジカルとなり、化学反応により細菌などの表面のたんぱく質を分解して、その働きを抑制する独自の空気浄化技術です。
「プラズマクラスターイオン」発生のしくみ
アレルゲン分解メカニズムモデル
プラズマクラスターイオンが浮遊アレルゲンを取り囲み、強力な活性物であるOHラジカルに変化。アレルゲンのIgE抗体結合部位を分子レベルで、変性させるので、アレルゲンが体内に入ってもアレルギーは発症しない
※13
2006.7.21 プラズマクラスターイオンによるダニアレルゲン抑制メカニズム発表
酸化力の比較

 アカデミックマーケティングによる国内・海外での実証機関一覧 合計23機関

対象 実証機関
ウイルス (財)北里環境科学センター
韓国 ソウル大学
中国 上海市予防医学研究院
(学)北里研究所 北里大学北里研究所メディカルセンター病院
イギリス レトロスクリーン・バイロロジー社
(株)食環境衛生研究所
ベトナム ベトナム国家大学ハノイ校工科大学
ベトナム ホーチミン市パスツール研究所
東京大学大学院 医学系研究科 (公財)パブリックヘルスリサーチセンター
アレルゲン 広島大学大学院先端物質科学研究科
大阪市立大学大学院 医学研究科 分子病態学教室
(株)総合医科学研究所
カビ (一財)石川県予防医学協会
ドイツ リューベック大学
ドイツ アーヘン応用科学大学 アートマン教授
(一財)日本食品分析センター
(株)食環境衛生研究所
細菌 (一財)石川県予防医学協会
中国 上海市予防医学研究院
(財)北里環境科学センター
(学)北里研究所 北里大学北里研究所メディカルセンター病院
米国 ハーバード大学公衆衛生大学院 名誉教授メルビン・ファースト博士
(公財)動物臨床医学研究所
ドイツ リューベック大学
ドイツ アーヘン応用科学大学 アートマン教授
(一財)日本食品分析センター
(株)食環境衛生研究所
有機化学物質 (株)住化分析センター
ニオイ・ペット臭 (一財)ボーケン品質評価機構
(公財)動物臨床医学研究所
美肌 (株)総合医科学研究所
美髪 (株)サティス製薬
(有)シー・ティ・シージャパン
ウイルス・カビ・細菌の
作用抑制効果
ドイツ アーヘン応用科学大学 アートマン教授
アレルゲンの作用抑制効果 広島大学大学院先端物質科学研究科
肌保湿
(水分子コートの形成)効果
東北大学 電気通信研究所
23の機関で、34種類の有害物質(ウイルス、アレルゲン、カビ、細菌)、および5種類のニオイ・ペット臭、美肌、美髪、静電気抑制の効果実証と効果メカニズムの解明、2種類の有機化学物質の効果実証をしています。
(注)
ニュースリリースに記載されている内容は、報道発表日時点の情報です。ご覧になった時点で、内容が変更になっている可能性がありますので、あらかじめご了承下さい。

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