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私が通信システム事業本部長として携帯電話事業を担当したのは1997年12月から2003年4月までの5年半であった。シャープの通信事業は1985年の電話機の端末開放以来コードレス電話機や家庭用ファクシミリを立ち上げてきた。しかし携帯電話に関しては高度な技術が必要であったことや局設備を提供する大手通信機器メーカーの壁の前に苦戦が続き，事業化は当社長年の悲願であった。1995年から開始されたPHSサービスに合わせて当社も小型コードレス電話の技術を応用した超小型PHS端末で市場参入し，1996年には140万台を出荷した。しかし携帯電話の競争激化が進み通話料金が下がってくるとPHSの優位性が減少し1998年NTTパーソナル社がNTTドコモに吸収されると急激に売り上げが減少した。この年本部長になった私にとっていきなり崖っぷちに立たされる事態となった。どうしてもPHSから携帯電話に出て行かないと事業発展は見込めないと言うことで研究，企画，技術，生産，資材，総務，営業と全員が必死だったように思う。
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