省電力化とバッテリーの強化で長寿命!
関連するSDGs項目:
液晶を大型化・高解像度化することは、消費電力も大きくなりますよね(・.・;)でもこのRZ-H260シリーズは従来機よりも長時間駆動・長寿命を実現していますね!
笹岡(回路担当):液晶の大型化と高解像度化で消費電力が増えたため、前モデルのRZ-H250シリーズで実現した約30時間の連続駆動※1が難しくなったのですが、CPUから液晶モジュールへの画面データの転送方法を検討して、最も消費電力が少ない設定を探しました。また、液晶モジュールに加える最適な電圧を効率よく作る方法も検討し、消費電力を減らすことができました。
それによって、まる1日使えるようになりました。
回路担当の笹岡さん
- ※1 常温(25℃)、新品で満充電の標準バッテリーパックを1個使用し、バックライト輝度最弱設定で10秒間に2回、バーコード読み取りを行い、入力後無線LANでデータの送受信(1KBのデータ送受信を1セット動作)を実施した場合。(JEITA HT標準動作モードGに相当)
- ※2 休止中はサスペンドモード
まる1日使えるとなると、バッテリーにも秘密がありますよね?
笹岡:はい。従来機のRZ-H240シリーズ(2009年発売)までは、四角いバッテリーを採用していましたが、これまでの角型よりエネルギー密度が高くて大容量な円筒型のバッテリーを採用しました。また、不活性物質の少ない新素材を採用しているためバッテリーが劣化しにくくなっています。
これまでのモデルとバッテリーパック
バッテリーが変わると、充電回数や電池買い替えサイクルも変わりますよね?
斎藤(営業推進担当):RZ-1500シリーズ(2006年発売)は充電回数が500回くらいで、1日1回の充電でバッテリーの寿命は1年半ほどだったところ、このRZ-H260シリーズでは充電回数1,000回で3年ぐらい持つようになりました。結果として廃棄するバッテリーが減るわけですから、環境にやさしいエコな商品と言えます。
営業推進担当の斎藤さん
太田:角型のバッテリーでは横幅を取っていましたが、形状が円筒型に変わったことで手のひらの空間にすっぽりと収まり、持ちやすくなりました。
RZ-H250シリーズでも搭載されていたNFC※3規格ICカードリーダーライター性能が、今回、さらに進化したそうですね?
笹岡:まず、本体天面部にアンテナを配置しているので、端末の天面から壁などに固定されているICタグが読み取りやすくなりました。性能面でもアンテナを小型化しつつ通信距離の向上を実現し、電子マネー決済端末に求められるFeliCa※4RF性能検定のMクラスに合格することができました。
- ※3 Near field communicationの略。13.56MHz帯の近距離無線通信規格で最大10㎝程度までの非接触通信を規定。NFCのリーダーライターモードに対応。カードの種類により通信距離は異なります。
- ※4 FeliCa(フェリカ)は、ソニー株式会社の登録商標です。
落としても安心、衝撃に強いボディ
液晶が大きく、高解像度化したことによって苦労した点はありましたか?
村瀬(機構担当):液晶の画面サイズは大きくなりましたが、薄くて軽いものを採用しています。薄くて軽い液晶を衝撃からガードするため、液晶画面のタッチパネルに高強度のプラスチックを使い、光学ゲル層も設けています。
機構担当の村瀬さん
画面以外にも端末自体への衝撃の強さが求められますよね。
村瀬:今回、ユーザーが製品を落とす場面を想定した「26方向落下試験」などの評価試験を実施しました。この試験により脆弱ポイントを特定し、補強や構造を再検討しつつ、重量がアップしないように改良するのに苦労しました。
使いたい時にすぐ使える、高速起動・復帰
起動時間が大幅に短縮したことも大きなポイントですね。
川村(ソフトウェア担当):起動処理を見直し、大幅に起動時間を短縮できました。また、スリープモードから復帰する際に無線LANへの接続に時間がかかるという声が多く上がっていたので、無線LANに接続したままスリープする「ハーフサスペンド」という特殊なモードを設けて、サスペンドからの復帰後もすぐに無線LANが使えるようにしました。
ソフトウェア担当の川村さん
斎藤:以前の機種をお使いのお客さまから「電源が入るまでに時間がかかる」とのご意見をいただいたのですが、RZ-H260シリーズに機種変更されたところ「電源を入れた後の起動が早くて、すぐ仕事に取り掛かれる」と大変好評です。
ムダな廃棄の削減にも役立つOCR機能
関連するSDGs項目:
今回、新しくOCR※5機能が搭載(2次元スキャナーモデルのみ)※6されていますが、どういった場面で使われているのですか?
斎藤:お客さまから、「バーコードがついていない商品も管理したい」との声が以前よりありました。また、食品の賞味期限や化粧品の使用期限をハンディターミナルでチェックしたい、デジタル化させたいというご要望もありまして、OCR機能を搭載することにしました。
川村:賞味期限と一言で言っても、商品によってフォントが違うため、いろいろな市販の商品を集めて読みやすい・読みにくいものを分析し、試行錯誤しながら調整を行いました。
OCRによる文字読み取り
- ※5 OCR(Optical Character Recognition/Reader、オーシーアール、光学的文字認識)とは、印刷された文字をコンピューターが利用できるデジタルの文字コードに変換する技術。
- ※6 OCR読み取りはオプションで、別途、OCR読み取りソフトの開発が必要です。
食品の廃棄は大きな社会問題になっているので、この機能は注目されそうです。SDGsにも示されている、廃棄物を減らすための取り組みにつながりますね\(^o^)/
斎藤:賞味期限が切れた物を陳列してしまっては、お客さまに不安を抱かせてしまいます。店舗としては絶対に防ぎたいところです。また、小売店さんも廃棄を縮小したいという思いはお持ちです。賞味期限のチェックをデータ化することで、発注の適正化や在庫数の精度を高めることに役立つと思います。
賞味期限などの管理以外で活躍が期待できるところはありますか?
斎藤:工場内でラベル貼りした製品番号や型番、ロット番号などを管理したいというご要望もお聞きしていますので、製造業などにも用途がさらに広がると思います。また、インバウンド対応として免税システムへの活用が期待されています。ハンディターミナルでパスポートのOCRフォントを読み取り、サービスカウンターでの免税対応システム化などをご提案できると考えています。
パスポートのOCRフォント読み取り