シャープのプラズマクラスター技術について、九州産業大学人間科学部 萩原悟一准教授と共同研究を実施し、ヒトの作業能力が向上する効果のメカニズムを脳機能計測により検証しました。その結果、作業中のヒトに対して正と負のイオンを同時に放出するプラズマクラスターイオンを照射することで、脳活性が起きる可能性があることを世界で初めて確認しました。
当社はこれまで、脳波測定を用いた研究により、プラズマクラスター技術が屋内作業や自動車運転中のヒトのストレス低減・集中力維持※3、4、運動トレーニング量※5、6やeスポーツスコアの向上※7など、ヒトの作業能力向上に寄与していることを実証してきましたが、具体的なメカニズムに迫ることができたのは、今回が初めてとなります。
これまでの結果から、プラズマクラスター技術が脳波だけでなく集中や認知と深く関係する脳の前頭前野の血流量(脳血流量)にも影響を与えているとの考えに基づき、今回、脳血流の変化を測定する装置を用い、作業中のヒトに対して、プラズマクラスターイオンを照射しない場合(送風のみ)とプラズマクラスターイオンを照射した場合で脳血流の変化量を比較しました。その結果、プラズマクラスターイオンを照射した場合、脳活性が起きる際に見られる脳血流の変化が確認されたことから、ヒトの作業能力向上効果メカニズムにプラズマクラスター技術による脳活性が寄与している可能性が示唆されました。
プラズマクラスター技術は、自然界に存在するものと同じ正イオンと負イオンを利用した空気浄化技術で、当社はこれまで20年以上にわたり国内外の第三者試験機関で試験を実施することで、高い安全性およびさまざまな効果を確認してきました。今回、プラズマクラスター技術により脳活性を起こす可能性が見出されたことを契機として、引き続きヒトへの効果やそのメカニズムについて検証を進め、効果の信頼性を向上させるとともに、プラズマクラスター技術の新たな分野への応用の可能性や、新たな有効性について追究してまいります。
<九州産業大学 准教授 萩原 悟一(はぎわら ごいち)氏のコメント>
これまで正イオンあるいは負イオン単独での研究は行われてきたが、同時に放出された際の研究は進んでおらず、今回初めて正と負のイオンが同時に照射されるプラズマクラスター技術により脳活性が起きる可能性を確認できたのは、この分野における研究を進める上で非常に意義深い。脳活性によりヒトの思考力・行動力が上がり、スポーツや学習、日常業務などさまざまな作業能力が向上する可能性が考えられるため、今後もさらなるプラズマクラスター技術の応用に期待したい。
※1 脳波や脳血流量の変化量を測定することで脳の活動状態を測定すること。脳についての基礎研究や簡易的な診断にも使用される。
※2 正と負のイオンを同時に放出するイオン放出式の空気浄化技術において(2023年5月30日現在、当社調べ)。
※3 脳波から分かったプラズマクラスター技術の新たな効果(2017年)https://jp.sharp/plasmacluster-tech/closeup/closeup01/
※4 自動車運転中のストレス抑制と集中維持を実証(2020年)https://jp.sharp/plasmacluster-tech/closeup/closeup05/
※5 プラズマクラスター技術で運動トレーニング効率の向上を実証(2020年)https://jp.sharp/plasmacluster-tech/closeup/closeup06/
※6 Hagiwara et al. Effectiveness of Positive and Negative Ions for Elite Japanese Swimmers’ Physical Training: Subjective and Biological Emotional Evaluations. Applied Sciences. 2020, 10(12), 4198. https://doi.org/10.3390/app10124198
※7 Hagiwara et al. Effect of positive and negative ions in esports performance and arousal levels. Journal of Digital Life. 2021, 1, 2. https://doi.org/10.51015/jdl.2021.1.2
● プラズマクラスター、Plasmaclusterはシャープ株式会社の登録商標です。