茨城県神栖市、国立研究開発法人防災科学技術研究所(以下、防災科研)、一般社団法人電子情報技術産業協会(以下、JEITA)、シャープ株式会社およびリンナイ株式会社の5者は、本年3月15日(日)に神栖市が市内全域を対象に実施する津波避難訓練において、IoT・発話機能を備えた家電および住設機器を通じた避難指示の伝達効果の検証を行う実証実験を実施します。

<実証実験のイメージ>
災害発生時、市町村から避難指示が発令された場合は、誰もが迅速に避難することが求められます。現在は、テレビやラジオ、エリアメール、防災行政無線などで通知されますが、機器の電源を入れていなかったり聞き取れなかったりするなどの課題もあり、より確実に伝達するために手段の多様化が求められています。
2011年の東日本大震災において、神栖市では、ライフラインの寸断や液状化のほか、鹿島港では5mを超える津波を観測するなど、甚大な被害が発生しました。市は有事の備えとして毎年避難訓練を実施しており、本年は、3月15日(日)に津波の発生を想定した避難訓練を行う計画です。
本実証実験では、災害対策本部や避難所に加え、市内在住の防災士の自宅にIoT対応かつ発話機能を備えたシャープ製の空気清浄機もしくはリンナイ製の給湯リモコンを設置します。避難訓練において、これらの機器から訓練情報を発話。このほか防災行政無線や防災ラジオ、神栖市公式LINEなどで伝えます。空気清浄機は、将来的に居住エリアに応じた災害情報を発話する仕組みの構築に向けた検証として、世帯ごとに異なる内容の発話も行います。避難訓練実施後、参加した市民へのヒアリングなどを通じて、災害発生時の情報伝達手段として、IoT・発話対応の家電や住設機器の有効性を確認します。
JEITAは、マルチベンダーのIoT機器データの利活用を目的としたプラットフォーム「イエナカデータ連携基盤」の標準化を進めています。神栖市、防災科研、JEITA、シャープ、リンナイの5者は、本実証実験から得る知見とイエナカデータ連携基盤を活用し、宅内のさまざまな家電や住設機器による防災・災害情報発話サービスの実現に向けて協議してまいります。
なお、本実証実験は、防災科研とシャープが参画する内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「スマート防災ネットワークの構築」(※1)の研究の一環として実施します。
■ 実証実験の概要
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実施場所
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災害情報発話機器 設置場所
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実施日時
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茨城県神栖市
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空気清浄機:防災士宅3か所、災害対策本部1か所、避難所1か所
給湯リモコン:防災士宅1か所、災害対策本部1か所
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2026年3月15日(日)
午前9時~10時
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■ 本実証実験に関する茨城県神栖市 防災安全課のコメント
神栖市は東日本大震災の教訓を活かし、これまでに津波・液状化ハザードマップの公表や津波防災地域づくり推進計画の策定を通じ、避難体制と情報伝達の強化を重ねてきました。今回の実証実験は、天候や家屋自体の遮音性の影響を受けにくい、宅内の家電や住設機器を活用することから、市民への情報伝達をより確実なものにでき、自助・共助の推進支援に繋がるものと期待しています。
■ 各者の役割
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神栖市(市長:木内敏之)
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避難訓練の実施、市内協力者の募集、市民への災害情報の発信
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防災科研(理事長:寶馨)
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実験コーディネート、防災情報発信に関するノウハウの提供
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JEITA(代表理事/会長:漆間啓)
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訓練・実験への参与観察、イエナカデータ連携基盤の防災活用の検討
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シャープ
(代表取締役 社長執行役員 CEO:沖津雅浩)
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空気清浄機への音声配信システムの開発
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リンナイ(代表取締役社長:内藤弘康)
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給湯リモコンへの災害時音声配信システムの開発
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■ 3月15日(日)津波避難訓練の概要
避難訓練は、神栖市内全域を対象として、市指定避難所(福祉避難所を除く)の全38か所を開設および災害対策本部を設置して実施されます。詳細は、神栖市ホームページをご参照ください。(https://www.city.kamisu.ibaraki.jp/living/safety/1000900/1000913/1012992.html)
<当日のタイムスケジュール>
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8:50
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防災行政無線から避難訓練予告を放送
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9:00
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【マグニチュード8.0、震度6強の地震発生を想定】
・防災行政無線、防災ラジオ、神栖市公式LINEなどから情報配信
・空気清浄機、給湯リモコンから情報配信(設置場所のみ)
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9:05
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【気象庁より大津波警報を発表】
・防災行政無線、防災ラジオ、神栖市公式LINEなどから情報配信
・空気清浄機、給湯リモコンから情報配信(設置場所のみ)
⇒訓練に参加する市民が避難所に避難
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10:00
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気象庁より大津波警報が解除され避難訓練終了
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■ イエナカデータ連携基盤の防災活用について
JEITAが標準化を進めるイエナカデータ連携基盤は、マルチベンダーでの宅内機器データの利活用のために構築されたプラットフォームで、自治体の見守りサービス用途での採用実績があります。IoT機器からの災害情報発信の有効性を検証すると共に、イエナカデータ連携基盤を通じたマルチベンダーでの災害情報配信に向けたシステム構築を進めています。また、検討に当たっては、防災科研を初めとした、産学官連携でのワーキンググループを発足。社会実装に向けた取り組みを進めています。
■ シャープ製IoT家電の音声発話機能について
家電の機器本体に内蔵された定型の音声データに加え、利用状況や環境を認識して、クラウド上の音声データからお客様に合わせたお知らせを発話させることができる機能です。2023年2月に茨城県つくば市で実施した実証実験では、発話機能による防災情報の伝達性を検証し(※2)、参加された方から高い評価を得ました。前回の実証実験時には、発話内容を事前に設定しましたが、今回はリアルタイムでの発話指示が可能となり、より実際の災害発生時に近い環境で情報を発信します。
■ リンナイ製災害報知給湯リモコンについて
給湯リモコンは台所や浴室に設置され、お湯の温度変更やお風呂の湯はり操作に使用されます。各家庭に高い確率で設置される設備商品の利点を活かし、リモコンに内蔵された警告音と音声メッセージを発話させることで、ご自宅で調理中の方や入浴中の方へ避難情報をお知らせすることが可能です。特に浴室という家電製品の設置が困難かつ閉ざされた空間で入浴中に災害が発生した場合でも確実に情報をお伝えできます。