液晶ディスプレイについて思うこと

 液晶ディスプレイ(LCD)の研究で,最も思いで深いものがある。1973年頃から行ったカラーLCDと1983年頃から始めた反射型のカラーLCDの研究開発である。 1973年頃,筆者らは液晶のカラー化を何とか実現したいと考えて,複屈折効果,旋光効果,ゲストホスト効果など考えられるあらゆる方式を検討し,最終的にセル内マイクロカラーフィルタによるLCDのフルカラー方式を考案し,1981年に提案した。この方式は今では広く実用されているが,発表当初は多くのご批判を頂戴した。これは透過色であるからCRTのような発光色の鮮やかな色は得られないであろう,透過率が著しく低下するのでバックライトを使わざるを得ないが,これによってLCDの低電力の特長を失わせてしまうなどである。しかし,カラー化についてはそれまでの約10年間あらゆる方式を理論的に解析しながら検討していたため,スペクトルを同じようにすれば発光型と差はないはずであり,何よりも当時の液晶の性能ではこれ以外に方法がないことなどを確信していた。やがてバックライト付きのカラーLCDが一般的になっていくのであるが,筆者らは上記のご批判に基づいて,いつの日かカラー液晶を反射型にしたいと思い続けた。





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