シャープは、モノづくりを通じて「持続可能な開発目標(SDGs)※2」の目標の達成に貢献しています。なかでも、特に環境に配慮した製品「スーパーグリーンプロダクト」にフォーカスし、モノづくりへのこだわりや開発の苦労話を開発担当者に聞く、シリーズ「ココにもエコ」。
今回はコードレスキャニスターサイクロン掃除機「RACTIVE Air(ラクティブ エア)」<EC-AS510>の企画・開発を担当した5人にお話を伺いました。
(聞き手:「ココにもエコ」編集担当)
持続可能な開発目標(SDGs)
軽さを追求することで省資源化も実現
関連するSDGs項目:
シャープが初めてキャニスター型のコードレス掃除機<EC-DX100>を発売したのが2013年。EC-DX100の標準質量※3は4.9kgありましたが、
今回紹介する「RACTIVE Air(ラクティブ エア)」<EC-AS510>は2.9kgという軽さ!キャニスター型でこんなに軽いとは本当に驚きです(@_@)
加藤(商品企画担当):「実際に手に取った時、軽いと感じるものを作ろう!」というのが「RACTIVE Air」シリーズの目指すところでした。本体の構造やモーターの基幹部品、素材、レイアウト、すべてを一から見直して、モーターの小型化や回路の省略化、小型のバッテリーでも運転時間を確保するためのソフトウェア調整などにより、2013年のモデルと比べて40%の軽量化※4に成功し、世界最軽量の製品が完成しました。
商品企画担当の加藤さん
パイプ部分にドライカーボンを採用したことが軽量化に大きく貢献したんですね(^_^)/
加藤:パイプ部分を樹脂からドライカーボンに変更したことは大きいですね。航空機などにも使用されているカーボン素材は、軽さと強度を求めていた「RACTIVE Air」にはうってつけの素材でした。
岡(デザイン担当):デザインの面でも、製品を見た瞬間に「軽くて強い」という「RACTIVE Air」のコンセプトを表現できました。
デザイン担当の岡さん
パイプ部に軽くて強いドライカーボンを採用。パイプ部の厚みを従来機の約1/2※6にまで薄くして、大幅に軽量化
ドライカーボンのパイプ部分は、まるで自転車のフレーム部分を思わせますね。
岡:実は「RACTIVE Air」シリーズのモチーフになったのが、ロードバイクやテニスのラケットといった軽さ・強さ・使いやすさが求められるスポーツギアの世界観で、そうしたものをイメージさせるデザインを施しています。
コードレスでも強力パワーを実現
関連するSDGs項目:
コードレス掃除機の場合、バッテリーを長持ちさせるためにも省エネ化が必須だと思います。その一方で、コンパクトかつ吸引性能を確保するためには、モーターもエネルギー効率の良いものが必要ですよね?
加藤:確かにコードレスは、AC電源タイプに比べるとパワーはどうしても劣ります。ただ、例えばスポーツカーが時速200kmのスピードで走れるといっても、公道で200kmは出せないですよね。100km出せれば十分です。必要な吸引性能は確保しつつ、軽さをとことん追求したいというのが「RACTIVE Air」の考え方。運転パワーを自動で調整する「自動エコモード」を搭載することで、1回の充電で広範囲の掃除が可能になっています。また、パイプを自立させると電源が自動的にオフになるスタンバイ機能も搭載し、無駄な運転時間を減らすことで、バッテリーをできるだけ長持ちさせるだけでなく、充電回数も少なくなり、省エネにもつながっているんですよ。
自動で運転パワーを調整(゚д゚)?!どのような仕組みでパワー調整しているのですか?
坪井(ソフトウェア担当):ノズルの先のブラシ部分はモーターで回転させているのですが、そのモーターの電流値によって、床面がフローリングなのかじゅうたんなのかなどを内蔵ソフトが検知して、吸引力を調整しています。こうした消費電力を抑える工夫によりバッテリーができるだけ長持ちするようにしました。
ソフトウェア担当の坪井さん
今回、特に軽量化と省エネにこだわった部分があるそうですね。
中川(技術担当):そうですね。より軽く、よりパワーを備えた高効率モーターを採用しました。このことで、前回のモデルよりエネルギー効率が良くなり、運転時間を保ちながら、吸引力を向上させることができました。
技術担当の中川さん
省エネなのにパワフルかつ軽い!まさにSDGsの目標にも掲げられている高効率エネルギーシステムを搭載した製品ですね(^o^)v ところで、シャープのコードレス掃除機は他社製品と違って着脱式バッテリーを採用していますよね。
加藤:コードレス掃除機の運転時間は、実際に使われる方の不満ポイントであり、購入を検討されている方の不安ポイントでもあります。バッテリー内蔵型の場合は、充電が切れてしまうと充電が完了するまで待つ必要がありますが、着脱式なら予備のバッテリーを用意しておけばいくらでも運転時間を増やせるメリットがあります。また、キャニスター型は押し入れなどに収納することが多いですよね。押し入れにコンセントのないご家庭も多いですから、バッテリー内蔵型だと収納場所に困ってしまいます。着脱式なら本体は押し入れに、充電は外で、と分けられます。
掃除中にバッテリーが切れても予備バッテリーがあれば簡単に交換できる
バッテリーは常に充電器にセットしておくことができる。バッテリー1つで最大約30分の運転が可能(弱モード時)
杉本(回路担当):充電器を別にすると本体側に電池を充電するための回路を用意する必要がないので、本体の軽量化にもつながりました。バッテリー自体も2013年のモデル※10で840gあったものが340gと軽く、小さくなりましたが、パワーはしっかりと確保しています。
回路担当の杉本さん