手解体による純度の高い
プラスチック回収で、
再資源化を推進

プラスチックの自己循環型マテリアルリサイクルを実現するためには、使用済み家電製品から純度の高いプラスチックを回収することが求められます。関西リサイクルシステムズ株式会社※1では、家電リサイクル法で定められた使用済みの家電4品目(エアコン・冷蔵庫・洗濯機・テレビ)を大阪府枚方市と三重県伊賀市でリサイクルしています。
シャープと関西リサイクルシステムズは、使用済み家電製品のリサイクルを推進するため、リサイクル処理の効率化に取り組んでいます。

  • ※1 シャープ(株)と三菱マテリアル(株)など6社が共同で出資している家電リサイクル会社。
関西リサイクルシステムズ株式会社
本社工場(大阪府枚方市)

手解体を重視した処理で
高純度のプラスチックを回収

関西リサイクルシステムズ株式会社
代表取締役社長 丹波 秀行 様

当社の工場は、前工程(手解体)と後工程(機械処理)で構成されており、前工程を特に重視しています。自己循環型マテリアルリサイクルでは、単一の素材を綺麗な状態で回収することが求められるため、手解体でなければ対応できません。そのため、改善提案や勉強会を通じて、効率的な回収方法や現場での課題解決に取り組んでいます。例えば、洗濯槽の回転翼(パルセーター)の金属部品を取り除く「芯抜き装置」を開発し、純度の高いプラスチックの回収量の拡大に努めています。

主な回収部品

リサイクル設計研修で、設計開発の現場にフィードバック

シャープの技術者の皆さんを対象とした「リサイクル設計研修」にも力を入れています。解体作業の体験や当社の現場スタッフとの意見交換などを通じて、リサイクルしやすい商品設計の大切さを訴求し、設計開発にフィードバックしていただき、リサイクル性の向上を図っています。今後、家電製品にリサイクル素材をより多く使うことが期待されています。そのため、メーカーと協力して、回収した部品のリサイクルの拡大を更に進めていきたいと考えています。

リサイクル設計研修
リサイクル設計研修

効率的に解体できるよう、
定期的に勉強会を開催

関西リサイクルシステムズ株式会社
洗濯機ラインサブリーダー
芳 友佳子 様

搬入された洗濯機には、手解体しやすいものやビスが多いもの、機械で処理しなければならないものなど、メーカーや製造時期によってさまざまな特徴があります。最近の洗濯機は多機能化に伴い、多様な部品が取り付けられているため、解体のノウハウを学ぶ勉強会を定期的に開催し、経験の浅いスタッフでも効率的に作業できるよう努めています。また、見慣れない素材の部品が見つかった場合はメーカーに確認し、正しく分別することを心がけています。
洗濯機の搬入ラインを自動化するなどスタッフの負担軽減にも取り組み、女性や高齢のスタッフでも作業しやすい環境を整備しています。

以前は人の手で運んでいた洗濯機の搬入ラインに搬送用ローラーコンベアを導入し、作業負担を軽減
洗濯機の脱水槽を取り出すため、モーターやホースなどを手早く取り外していく
動画パルセーター
パルセーターは縦型洗濯機の洗濯槽の底に見える羽根付きの円形カバー。芯抜き装置を用いて中央の金属部分を除去。
動画熟練の分解作業
汚れがひどいものや他素材が使用されているものが混入しないようにNG品を掲示
動画回収した洗濯機の水槽を破砕
破砕された洗濯機の水槽。樹脂メーカーでペレット化され、再生ポリプロピレンとなり、再び洗濯機の水槽の材料として使われる。

出前講座や地域イベントへの
参加などの地域貢献を通して、
リサイクル意識の
向上に取り組む

関西リサイクルシステムズ株式会社
CSRグループ
係長 高森 洋導 様

SDGsやサーキュラーエコノミーなどが広く知られるようになった昨今、当社としても環境意識の向上に貢献しようと、見学会や地域のイベントへの参加などを通じて、当社の環境貢献活動のPRや家電リサイクルの啓発を行っています。
啓発の一環として、2023年に出版された当社のリサイクル現場が取り上げられた写真絵本「大接近!工場見学 テレビ編/洗濯機<プラスチック>編」(岩崎書店)の2冊を地元の大阪府枚方市の小学校45校と第2工場がある三重県伊賀市の小学校18校に寄贈しました。写真を使った分かりやすい構成で、当社の名刺代わりとなっています。また、地域の小中学校、高校での環境出前授業も積極的に実施しており、将来の消費者となる子どもたちへのリサイクル意識の向上に取り組んでいます。

大接近!工場見学 テレビ編・洗濯機<プラスチック>編