
コードレスサイクロン掃除機
EC-A1R
- 健康・環境システム事業本部
スモールアプライアンス事業部 -
- 商品企画部:奥田 哲也
- デザインスタジオ:松島 貴史
- 第二技術部:妹尾 敏弘
- 第二技術部:佐藤 隼人
- 第二技術部:杉本 涼
掲載内容は2017年3月1日時点の情報によるものです。
シャープの環境に配慮したモノづくりへのこだわりや開発の苦労話を開発担当者に聞く、シリーズ「ココにもエコ」。今回はコードレスサイクロン掃除機「RACTIVE Air(ラクティブ エア)」<EC-A1R>の企画・開発を担当した5人にお話を伺います。
(聞き手:「ココにもエコ」編集担当)
床にたまるホコリは何%?
突然ですが問題です。室内のホコリのうち、床にたまるホコリは何%でしょうか?
答えは掃除機のプロに教えてもらいましょう。
奥田(商品企画担当):今回の商品開発に当たって、室内のホコリについて調べてみたんですが、実は・・・室内のホコリのおよそ半分(50%)は、床以外の場所にたまっていることがわかりました。例えば、本棚やエアコンの上、テレビ台の裏などです。床は頻繁に掃除するけれど、エアコンの上は年に一回だけという方も多いのではないでしょうか?
うっ・・・図星です。正直、掃除しにくい場所は見て見ぬふりをしていましたが、まさか床のホコリは半分だなんて。。びっくりです。((+_+))
奥田:共働き世帯も増えていますから、掃除になかなか時間をかけていられないですよね。その結果、掃除のしにくい高い所や狭いところにホコリが溜まっていきます。そうすると初夏、久しぶりにエアコンをつけると、ホコリが部屋中に舞ってしまい、くしゃみが止まらない・・・なんてことになりかねません。
「RACTIVE Air」で、もっとみんなに掃除を好きになってほしい、と語る奥田さん
それは避けたいです。。でも、掃除をするのって覚悟が必要ですよね。重たい掃除機を押入れから出して、電源コードを伸ばしてコンセントにさす。考えただけで億劫です。
奥田:そこに今回の「RACTIVE Air」を商品化した理由があります。充電池で動くのでコードレス。それに業界最軽量ボディ※1(1.5kg)を実現しました。汚れが気になった時に、「ほうき」や「はたき」感覚で軽々サッとお掃除ができる新しい掃除道具として開発しました。
※1 2016年11月10日現在、パワーブラシタイプの家庭用電気掃除機の総質量において。本体、パイプ、ヘッドの合計質量。
軽さの秘密
奥田:軽量化が今回の“最大の目標”でした。私たちはまず、“軽い”を定義するところから開発を始めました。
佐藤(機構設計担当):“女性にとっても軽い”これを見極めるために社内の女性が普段持ち歩いているあるものに注目しました。
掃除機は設計の自由度が高く、難しいが面白いと語る佐藤さん。かつては携帯電話を設計していました
毎日持ち歩くもの・・・分かった!カバンですね。
佐藤:正解!女性のカバンを徹底的に調べ、軽く感じる重さに着目しました。するとだいたい、1.5kg以下であれば“軽い”と判断されることが分かりました。
奥田:従来機種のコードレスサイクロン掃除機※2の重さは約2.4kgだったので、思い切った軽量化が必要でした。
佐藤:ただし、“掃除機としての性能”を犠牲にするわけにはいきません。私たちが目指したのは楽に、そしてアクティブにお掃除できる頼れる道具です。
※2 従来機種「POWER CYCLONE FREED」<EC-SX520>
確かに“軽さ”も“性能”も欲しいです。あと最近、サイクロン式も気になっているんです!
うちのは、昔から使っている紙パック式の掃除機なんで。(-“-)
奥田:サイクロン式は、吸い込んだゴミがダストカップにたまるので、紙パックは不要です。
佐藤:また、ゴミがたまる場所と空気の通り道が別なので、吸引力が落ちにくいという特長もあります。
杉本(回路設計担当):「RACTIVE Air」は、そのサイクロン式掃除機です。同じサイクロン式で高性能が売りの「POWER CYCLONE FREED」で採用した大風量ターボモーターと充電池を搭載することにしました。そこから各部品を徹底的に軽量化していきました。
佐藤:最初に手をつけたのは、一番重量がある本体部分です。ご覧の通り、モーター、制御回路、充電池などの部品をすきまなく詰め込みました。本体の円筒形部分はモーターの形を活かしたデザインです。
各部品をパズルのように詰め込む
新入社員のころは、チューナ部品の設計をしていた杉本さん。ロボット掃除機の開発から掃除機担当に
杉本:通常は制御回路から発する熱を逃がすために、ある程度の空間が必要ですが、ご覧の通りそんなスペースはありません。掃除機が吸い込む空気の流れで回路を冷やす工夫などで、なんとか本体部分をコンパクトにしました。
佐藤:次に軽量化に取組んだのが、ヘッド部分です。ここも一から設計を見直し、重さを従来機種※3のヘッド部の約半分(360g)にしました。ここで注目してもらいたいのは、吸い込み口(開口部)の大きさです。
※3 従来機種「POWER CYCLONE FREED」<EC-SX520>
軽さの追求はブラシにも及ぶ。さらに、髪の毛が絡まりにくい構造を採用
全体はコンパクトになっているのに、吸込口は、同じ大きさですね!
佐藤:ココはかなり技術的にこだわったポイントです。
吸引力と耐久性が求められるので、何度も材質や形状を変えて丸印部分の構造を限界まで薄くしました。
結果、軽さと小回りの良さが相まって操作性が格段に良くなりました。
狭い場所にも入り込める
壁際の隅の隅までキレイに
部屋の隅ってなかなかホコリを取り切れないので嬉しいですね(*^_^*)
- こだわりの
ポイント1 - “コンパクトだけじゃない”
ヘッド部を限界までコンパクト化。小回りが効き、壁際の隅のゴミまで吸引。
佐藤:極めつけはパイプ部です。飛行機やロケットなどに使われるドライカーボンを採用しました。軽くて丈夫なため、パイプ部の厚みを約半分※4にすることができました。
※4 写真左「RACTIVE Air」<EC-A1R>:0.95mm、写真右「POWER CYCLONE FREED」<EC-SX520>:2.0mm
ほんとだ!触ってみると薄さがより分かります。
パイプ自身も細くなっていますね。
佐藤:パイプ部を細くすれば吸引する風の速度が上がります。フローリングの目地や絨毯の毛足に潜んだハウスダストまで吸い込めます。
奥田:これらの部品を素材から見直して徹底的に軽量化する事で、最終的に1.5kgまで軽くすることができました。従来機種から約40%の軽量化※5です。掃除機としての機能を保ちながら、なんとかこの軽さを実現することができました。
※5 従来機種EC-SX520の標準質量(2.4kg)との比較
左が「RACTIVE Air」。ドライカーボンは驚くほど薄く、硬い
軽量化で使う部材が少ないと、省資源とも言えますね。(*^^)v
ところで省エネ面はどうでしょうか?
奥田:コードレス掃除機は「充電池」内の限られた電気で動かさなければいけません。省エネ性能への配慮は必須なんですよ。
杉本:「RACTIVE Air」は、大風量ターボモーターの吸引性能に加えて、吸込口やパイプなどを工夫することで、電源コードのあるサイクロン掃除機<EC-G8X>に負けないくらいのゴミ取り掃除性能を実現しています。同じ“強モード”で約8分掃除した場合を比較すると、「RACTIVE Air」の方が省エネと言えると思います。