リサイクル素材はあの製品から!?
戸田(リサイクル技術担当):ところで、この製品を購入いただくことでプラスチックのリサイクルに貢献していることになるんですよ。
えっ!?リサイクル (-.-)?
戸田:この製品は、製品総重量の約30%※に再生プラスチックが使用されています。しかも、ある家電製品から再生された材料なんですよ。
※ 製品総重量260g中、再生プラスチック78gを使用
戸田:この外側の部品を外した内部部品とフィルターの枠に再生プラスチックを使っているんです。
限りある資源を無駄にしたくないと語る
リサイクル技術担当の戸田さん
このカタチからは元の製品は想像できませんね。((+_+))
戸田:それはそうですね!答えは、薄型テレビの背面カバー(通称:バックキャビネット)です。テレビを買い替える時に古いテレビはリサイクルに出しますよね?その過程で分別された部材です。
なぜ、薄型テレビのバックキャビネットをリサイクル材として使おうと思ったのですか?
戸田:厳しい安全基準をクリアするため、薄型テレビのバックキャビネットには頑丈かつ、熱で変形しにくく燃えにくい高性能なプラスチックを採用しています。今回はその材料である「PC+ABS(通称:ポリカ・エービーエス)※」に目をつけました。
※ PC(ポリカーボネート)とABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)の化合物
プラスチックにもいろんな種類があるんですね。初めて知りました!
戸田:今回の製品は基本的には車の中で使うもの。夏は灼熱地獄のようになり大変過酷な環境です。これに耐えるには、高性能なプラスチックが必要になります。この「PC+ABS」はピッタリだったんですよ。
では一体どのように再生されているのですか?
戸田:まず、家電リサイクル工場で薄型テレビを解体し、「PC+ABS」のバックキャビネットを選別します。次に、モデル名などが印字されたラベルやシール、スポンジなどのパッキン類、金属部品など、異物が混ざらないように丁寧に取り除きます。これを細かく破砕したものをリサイクルの材料として使用します。
なかなか手間がかかっているんですね。
そういえば、リサイクルする製品って10年くらい前のものですよね?そんなに古くても使えるんですか?
戸田:回収したバックキャビネットは長期間の使用によって傷んでいるので、そのままではリサイクルできません。また、使用年数もバラバラですし、当社だけでなく他社製のキャビネットも混在しています。ですが、その傷み具合や素材のばらつきを的確に把握し、適切な添加剤を加えることで、新しい材料と同等で安定した性能に修復することができるんですよ。
材料の品質がバラバラなのは大変ですね。
戸田:そこがリサイクル技術の醍醐味ですね。リサイクルを進める上で必ず直面する課題です。シャープでは、約20年前から技術を蓄積し、新品同様の性質をもつ再生プラスチックをこれまでに何種類も開発してきました。
(詳しくはこちら)
他の製品にも再生プラスチックは使用されているんですか?
戸田:洗濯機や冷蔵庫に再生プラスチックを採用しています。特に洗濯機は2001年から再生プラスチック※を水槽に採用し、それらが使用済みになると、また新製品の水槽にリサイクルされています。現在3世代(3回)までリサイクルされているんですよ。
※ 水槽の材質は、頑丈で洗剤や漂白剤などの薬品に耐性のある「ポリプロピレン」というプラスチック
3回も!!プラスチックがぐるぐると循環しているんですね。(@_@)
戸田:当社では「自己循環型マテリアルリサイクル」と呼んでいます。プラスチックを1回だけ使って捨てるのはもったいない。うまく扱えば何回でも使うことができます。何度もくり返し使えることが、当社が目指すプラスチックリサイクルの原則です。約50年のくり返し利用を想定して技術開発しています。
50年ですか!そこまで長い視点で考えているとは思いませんでした。すべての製品の素材がぐるぐると循環して何回でも使えるようになるといいですね。
では最後に、今後挑戦したいことを教えてください。
村上:最近、AIoT※の技術がどんどん実用化されてきています。この技術を活用し、車で移動した先々の環境情報を取り込み、車内が快適な空間になるよう自動で運転管理をしてくれる製品を作りたいです。
※ AI(Artificial Intelligence:人工知能)とIoT(Internet of Things:モノのインターネット)を組み合わせてシャープが作った造語です。
中村:当社では、お部屋での「健康で快適な空間づくり」に取り組んでいます。車内は屋外でありながら小さな部屋のようなものですので、車内が「健康で快適な空間」になる製品作りにこれからも取り組んでいきます。
戸田:製品に使っているプラスチックは、まだまだリサイクルできていない部分がたくさんあります。さまざまな材質に対応できる添加剤処方の技術を開発し、製品に使用しているプラスチックをすべてリサイクルできるようにしたいです。
ありがとうございました。
インタビューを終えて:「ココにもエコ」編集担当
「健康で快適な空間づくり」への飽くなき挑戦、「リサイクル」にかける熱い気持ち、たとえ困難にぶつかっても諦めない強い気持ちが、当社独自の技術を生み出す原動力になったことを実感しました。
「車載用プラズマクラスターイオン発生機」の素晴らしさをぜひ実感してください!
当社のプラズマクラスターイオン発生機について、詳しくは商品サイトをご覧ください。