世の中の変化とともに変わってきたニーズ
ここ最近の環境配慮への取り組みについての業界ニーズはどうですか?
亀山:ちょうどこの「AQUOS wish」の頃から通信キャリア様にも変化があったように感じました。スマートフォン本体や梱包について環境に配慮していることがあれば教えてほしいと要望されるようになってきたので、考え方が変わる節目だったのではと思います。
関連するSDGs項目:
AQUOS wish2のパッケージは、AQUOS senseシリーズに比べてコンパクトですね(^O^)
亀山:はい。スマートフォン本体の再生プラスチック素材だけでなく、パッケージの紙についても環境配慮に取り組んでいます。紙の使用量削減のため素材や構造を工夫し、AQUOS sense5Gと比べると体積約32%、紙使用量を約52%削減できました。また、簡単にたたんで資源ごみなどリサイクルに出しやすいように意識しました。これまでの箱は分解が難しかったので、「AQUOS wish2」ではキャラメル型の箱として小型化し、折り畳み易くすることでさっと片付けられるようにしました。これまでキャラメル型はキャリア様に提案しても断られることもありましたが、「紙の使用量の削減になるのであれば」と受け入れられるようになりました。
「AQUOS sense5G」の箱(写真左)に比べてコンパクトになった「AQUOS wish2」の箱。簡単にたためるようになった
先行販売された台湾でも想定以上の反響
「AQUOS wish」は台湾で先行販売されたそうですが、反響はいかがでしたか?
福永:台湾のスマートフォン市場は、中国や韓国メーカーのシェアが高く、苦労するのではと予測していましたが、SNSの反響や現地店舗でのヒアリングを見ると、他にはない色やデザインが注目されて話題になっていました。地球環境への配慮を盛り込みながら物を大事に長く使うという日本的なコンセプトや自然由来の色、それでいてお手軽なお値段という点が新しいと評価していただいたようです。また、コンセプトに共感され、独自に店頭にて特設コーナーをつくってくださった店舗もあって、新しい風を吹かせたのでは、という手応えを感じています。
再生材の利用をシャープ全体での取り組みに
今後、挑戦したいことを教えてください。
福永:「AQUOS wish」に関しては、基本とするコンセプトは変えず、テーマとして普遍的なところは大事にしながら細かな改善をしていきたいです。wishで取り組むことができた環境への配慮だけにとどまらず、SDGsでいうところのジェンダー平等の実現や質の高い教育の提供、貧困をなくすことなど様々な社会課題の解決に少しでもつながるような商品づくりができたらいいなと思っています。個人的には一度フラグシップモデルの開発にも携わってみたいです。
亀山:誰もが使いやすい、という点をもっと意識したスマートフォンづくりを進めていきたいです。また、スマートフォンと組み合わせて使える機器などと併せて新しい使い方ができたら面白いなと考えています。
松本:今回、あえて機能を削ぎ落とすミニマライズなモノづくりの視点や環境配慮部材の可能性に気付かされました。技術も時代のニーズに合わせて考え方を変えなければと、思いを新たにしました。「AQUOS wish」をスタートに、さまざまな家電でも再生材を利用するようになればもっと可能性が広がると思います。
和気:環境配慮などエシカルなプロダクトは製品単位というより、会社全体で取り組むべきものだと思います。この「AQUOS wish」を牽引役として、他製品にも広げたいですね。これまでのスマートフォンは先進性をいかに外観でも表現するかという点に主眼が置かれていましたが、今回は身の回りのものとしてデザインすることを重視したデザインができたので、こうした考えを今後も大事にしていきたいです。
どうもありがとうございました。
インタビューを終えて:「ココにもエコ」編集担当
SDGsやソーシャルグッドな意識の高まりを受けて、スマートフォンに求められるものが多様化していることや、モノづくりの新たな考え方の広がり、再生プラスチック素材の可能性などを実感した取材でした。他の商品への広がりも含めて、今後の展開が楽しみです。
製品についての詳細は、以下の製品サイトをご覧ください。