不可欠だった再生プラスチック材の使用

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再生材の使用

今回の「AQUOS wish」は、再生プラスチック素材を使用している点が大きなポイントですね。

図:「AQUOS wish」の筐体の35%が再生プラスチック材でできている

「AQUOS wish」の筐体の35%が再生プラスチック材でできている

福永:「AQUOS wish」のコンセプトとして周りへの配慮、社会への配慮を最初に据えていたので、環境への配慮は外せないと、再生材の使用を最初に提案しました。今、SDGsへの取り組みが進み、当社も長期環境ビジョン「SHARP Eco Vision 2050」を掲げる中でやらなければいけないと考えていました。

以前、再生プラスチック素材の取材の際、ハンディターミナルの充電器や冷蔵庫の内部などには採用しているけれど、スマートフォンの外観部分に使うのは難しいと聞いていたので、今回のコンセプトを聞きびっくりしました(≧∀≦)

福永:苦労しました(笑)。確かにスマートフォンで環境配慮しています、と謳っているものはほとんどなかったので、だからこそ「AQUOS wish」を世に出せた意義があったと思うのですが、開発者の皆さんには色々と無理なお願いをしていたので、大変だったと思います……。

松本:どんな材料を使うのか決めるまでがとにかく大変でしたね、和気さん。

和気(デザイン担当):再生プラスチック素材はできることに制限があって、しかも樹脂の塊なのであまり自由がききません。スマートフォンの外観に使用するのは工夫がいるところでした。
いかにもプラスチックというテカっとしたものや、すぐにキズがつきそうなものだとどうしても安っぽく見えてしまいます。そこで今回は、マットな質感にして、手触りも気持ちいいデザインとしました。樹脂ならではの良さを引き出せたと思います。最近、スマートフォンにカバーをつけられる方が多いですが、今回「カバーをつけないのもアリ!」という裏テーマもありました(笑)。

デザイン担当の和気さん

デザイン担当の和気さん

図:持ちやすいサイズに4500mAhを凝縮

  • つやっとしたプラスチック感が強い筐体

  • 今回、採用された上品な印象のマットな質感の筐体

今回、「樹脂モノコック構造」を採用したことでデザインにおいて苦労されたことはありましたか?

松本:「樹脂モノコック構造」とは液晶パネル以外が一体化した構造で、お風呂のバスタブのような感じです。身近なものだとティッシュ箱やペットボトルもそうですが、柔らかい素材でもしっかり強度を出せる構造となっています。スマートフォンではパネルと側面のフレーム、背面のケースが別になった3枚構造が一般的で、モノコック構造だと金型に制約があり、成型も少し難しくなります。また、内部レイアウトの制約が多くなるため、シンプルなレイアウトを目指し設計しました。結果、部品点数の削減や本体の軽量化につながりました。

和気:モノコックではないものだと背面パネルに光るニュアンスのフィルムを入れるなどの加工が可能になりますが、こちらは何もできません。だからこそ生まれたシンプルなデザインと言えます。ぜひ、手に取って手触り感を試してほしいですね!!

図:手に持って心地よいデザインとするため、大きさや厚さをコンマ数ミリ単位で調整を行ったモノコック構造の金型

手に持って心地よいデザインとするため、大きさや厚さをコンマ数ミリ単位で調整を行ったモノコック構造の金型

再生プラスチック素材は、色を安定させるのが大変だという話を聞いたことがあるのですが……(・・;

福永:和気さん、すごい数のサンプルを作っていました。本当に膨大な数で。どれもいわゆるパキっとした色ではなく、くすみ感のある自然に溶け込むような色味です。だからすごく難しかったし、その分思い入れもあります。

図:膨大な数のサンプルの一部(写真上)と実際に製品化されたもの(写真下)

膨大な数のサンプルの一部(写真上)と実際に製品化されたもの(写真下)

和気:光沢のある色は見栄えがするのでなんとかなりますが、今回のようなマットでくすみのある色はごまかしがきかないので、とにかくサンプルをたくさんつくりました。その中から、日本の伝統色に通じる色味で、白ではなく生成りのようなアイボリー、緑も自然由来のオリーブグリーン、とベーシックなチャコールの3色としました。

図:反響の大きかったオリーブグリーン(写真左)に、定番色となるアイボリー(写真中央)、チャコール(写真右)を揃えた

反響の大きかったオリーブグリーン(写真左)に、定番色となるアイボリー(写真中央)、チャコール(写真右)を揃えた

松本:やさしい色、自然な色というのは、いちばん工業製品に向かない色ですよね。苦労しました。

和気:だから他社もやってこなかったのだと思います。「AQUOS wish」で実現できてとても良かったです。

ウォーターボトルを再生したプラスチック材を選定した理由は何だったのでしょうか?

図:ウォーターボトルから再生されたペレットと着色したペレット

ウォーターボトルから再生されたペレットと着色したペレット

松本:スマートフォンの素材として耐えられるものを探すために、何社もヒアリングしました。その中で、強度・安定供給・コストという3つのバランスが取れた素材がウォーターボトルの再生材でした。
技術の立場からすると、他のスマートフォンと同等の信頼性がなければお客様にはご迷惑をかけてしまいます。「AQUOS sense」シリーズなどは金属製だから強度が担保されますので、その強度にどこまで近づけられるかという調整が難しかったです。

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