
プラズマクラスター冷蔵庫「SJ-MF46H/ MW46H」
- Smart Appliances & Solutions事業本部
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- メジャーアプライアンス事業部 国内冷蔵商品企画部:高濱 かおり(前列中央)
- メジャーアプライアンス事業部 国内冷蔵技術部:長谷川 勇也(前列右)、田頭 修平(前列左)、岡部 亮斗(後列左)
- 国内デザインスタジオ:一色 純(後列右)
掲載内容は2022年1月28日時点の情報によるものです。
シャープは、事業を通じて「持続可能な開発目標(SDGs)※1」の達成に貢献しています。なかでも環境に配慮した製品や省エネに貢献する製品・サービスにフォーカスし、開発時のこだわりや苦労話を聞く、シリーズ「ココにもエコ」。今回は、2021年度省エネ大賞※2の「省エネルギーセンター会長賞」を受賞した、プラズマクラスター冷蔵庫「SJ-MF46H/ MW46H」の商品企画や開発、デザインを担当された皆さんにお話を伺いました。
(聞き手:「ココにもエコ」編集担当)
持続可能な開発目標(SDGs)
- ※1 2015年から2030年までの長期的な開発の指針として決められた国際社会共通の目標で「17のゴール」と「169のターゲット」で構成。
- ※2 わが国の産業、業務、運輸各部門における優れた省エネ取り組みや、先進的で高効率な省エネ型製品などを表彰する制度。
業界最薄※3奥行63cmの薄型と優れた省エネ性能への挑戦
関連するSDGs項目:
「省エネ大賞」受賞おめでとうございます!早速ですが商品のコンセプトについて教えてください。
高濱(商品企画担当):ありがとうございます。今回の機種(SJ-MF46H/ MW46H)は、シャープとして初めて奥行が業界最薄かつ大容量と優れた省エネ性能の両立にチャレンジした商品でした。このような素晴らしい賞をいただくことができ、とてもうれしいです。今後も持続可能な社会の発展に貢献できるモノづくりを行っていきます。
- ※3 国内家庭用大型冷蔵庫(351L以上)において。2021年11月時点。
商品企画担当の高濱さん
奥行63cmでキッチンになじむ薄型。上段の物も取りやすい
従来モデル比37%※4の省エネと2021年省エネ法基準値※5を達成
- ※4 当社2019年モデル<SJ-F462E:420kWh/年>との比較。(JIS C 9801-3:2015 年間消費電力量による比較)。
- ※5 2021年省エネ達成基準率。
今回、薄型大容量と省エネの両立というテーマはどうやって決めたのですか?
高濱:「省スペース・大容量」が冷蔵庫市場の最近のトレンドになっている中、「幅」でいくのか「奥行」でいくのかにとても悩みました。そこで社外アンケート調査を実施し、奥行寸法に対してもお客様の潜在ニーズがあることを確認しました。
奥行の薄さを打ち出しているメーカーはなかったので、当社として新しいことに取り組もうと、国内の大型冷蔵庫(351L以上)で業界最薄を目指しました。ただ、寸法を薄くすると容量が必然的に少なくなってしまうので、そこは最大化したい。企画から技術の皆さんにその思いをいっぱいぶつけました(笑)。
企画を実現するために技術担当の皆さんは大変なことが多かったのでは……
田頭(省エネ性能担当):私たち省エネ性能グループでは容量や消費電力など、企画担当が決めた商品仕様を実現するためにどういった設定が必要かを検討し、その結果を基に設計グループと連携して設計しています。いつもこちらの要望をほぼパーフェクトに叶えてくれている、設計グループには本当に感謝しています。
省エネ性能担当の田頭さん
長谷川(設計担当):薄型大容量を実現するため、断熱材として使う発泡ウレタンの厚みを従来モデル比で30~35%低減することになりました。ウレタンは冷蔵庫のキャビネットに背面から液体の状態で注入するのですが、そのウレタン流動とウレタン充填のスペースを確保するのに苦労しました。ウレタンがうまく流れないと省エネ性能に影響が出てしまうので、冷蔵庫内箱と外箱構造の形状を工夫してウレタン流動スペースを確保しました。
ウレタン流動スペースについて解説する設計担当の長谷川さん
田頭:断熱性能がウレタンよりも格段に優れた真空断熱材も使用しています。コストの問題で従来機種ではそれほど厚みのあるものは使っていなかったのですが、今回は省エネ性能を確保するため真空断熱材を厚くせざるを得ない状況でした。コスト面と省エネ性能の両立を考えながら、ウレタン流動スペースも確保し、庫内容量も犠牲にしないための配置を設計担当が苦労して考えてくれました。
従来モデル(左)に比べ当該モデルは、ウレタン流動スペースを狭くし、
断熱性能を確保するために真空断熱材(斜線部分)を厚くしている
ウレタンがスムーズに流れるよう部品の配置が工夫されている
ユーザーから見えない部分にたくさんの苦労があるのですね……(  ̄ - ̄)
田頭:また、庫内容量を確保するため、限られたスペースに必要な部品を収められるようさまざまな工夫をしています。特に冷却器周辺は、お客様に見えない箇所ですが、部品の配置を一から見直して技術者同士で何度も話し合いを重ねて設計しました。さらに、庫内容積を確保するために、冷蔵庫のドアの厚みや形状も一から設計を見直しています。開発を進めていくなかで、スケジュールギリギリでドアの設計を変更してほしいとお願いしたこともありましたが、長谷川さんは「本当に今から変更!?」と言いつつ、全部対応してくれました。
限られたスペースに冷却ファンなど必要な部品を収めるのに苦労したという田頭さん
長谷川:最初は「急な変更は無理!」と言いましたが、自分としては「省スペース・大容量かつ省エネを実現したい」と強い決意で挑んでいましたので、なんとかスケジュールに間に合わすことができました。
田頭:このように、冷蔵庫の外観やお客様が食品を保存される空間以外のところにも、多くの手間と時間が費やされています。見えない場所にこそ、我々技術者の苦労とこだわりが詰まっています。