売場で印象に残る、メタルドアと木目調ハンドル
見た目もメタルドアの採用でスタイリッシュになり、売場でも目立ちそうですね(*^_^*)
高濱:企画サイドからの要望としては、どのメーカーもガラスドアを採用していて、店頭でパッと見てどこのものかわからないので、デザインを刷新したいと思いスタートしました。
一色(デザイン担当):デザインとしては、キッチン空間で冷蔵庫がどんな「佇まい」であるべきかを徹底的に考えました。
高濱:今までは鋼板ドアでもガラスドアでも光沢のあるものがメインでしたが、最近のキッチンはマットな仕上げがトレンドになっているので、メタル素材を使って上質でしっとりとしたデザインにトライすることにしました。
木材を使ったマットなデザインがトレンドのキッチンに映えるメタルドアの冷蔵庫
ハンドル部分を木目にしたのは何か理由があるのですか(・・?
一色:金属っぽいこれだけの大きさのものがあると、家庭のキッチンにはハードすぎる、工業的すぎるので、少し温かみを持たせることはできないかと思いました。キッチンのトレンドとして木材を使用する傾向があり、親和性を考えハンドル部分に木目のシートをあしらいました。
デザイン担当の一色さん
デザイン面で技術的に苦労したところはありますか?
高濱:引き出しのハンドル形状を決めることにすごく時間がかかりましたね(笑)
一色:最初に木目シートを張ったスケッチとラフなモデルを作った際、関係者の評判が良かったのでなんとか実現したいと思いました。初期構想は比較的早く決まりましたが、最終的な仕様が決まるまでに半年もかかりました。
長谷川:この部分の調整が一番時間がかかったと思います。キャビネットの調整(ウレタン流動スペース)よりずっと時間がかかりましたね。(笑)
初期に作成したハンドルのモデル
一色:ミリ単位の調整を繰り返し、3段ある引き出しドアの斜めのハンドル部分がキレのある、リズム感を生み出すような印象に見えるように、何度もモデルを制作し、長谷川さんと2人で細かく角度を検討しました。見た目はこの角度がいいけど、それだと指の当たりが問題になるとか、使い心地はどうかなど、デザインの要望に一生懸命取り組んでくれたので、理想の角度に仕上げることができました。
スタイリッシュに見せるため、木目のパネルの幅や本体カラーとの色の組み合わせにもこだわった
ハンドル部分は抗菌※1加工されていますね。新型ウイルスの流行で商品開発に何か影響はありましたか?
高濱:商品の企画スタートは新型ウイルス感染症が流行する前だったのですが、本格的に開発作業に入ったのは流行が始まった頃でした。その状況を見て冷蔵室のハンドル部分の抗菌加工を追加で対応しました。仕事の進め方においても、現地スタッフとのやりとりが変わりましたね。
田頭:以前は日本の技術スタッフがタイにある生産工場へ行き、現地スタッフと状況を見ながら開発・生産を進めていたのですが、新型ウイルス感染症の流行後は出張が難しくなり、リモートでの対応を余儀なくされる状況になりました。とはいえ、実際に現場を全く見ないまま開発・生産するわけにいかないため、最小限の人数で生産現場へ出張しました。出張者は生産現場で、担当以外の部分も代理で現場確認をしなければならないような状況でしたので、通常の開発より多くの負担がありました。
- ※1 【試験依頼先】(一財)ボーケン品質評価機構(JNLA2020K1167)他【試験方法】JIS Z 2801 抗菌性試験 【抗菌方法】銀イオンによる【試験結果】99%以上の抗菌効果
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メタルドアになったことでリサイクルもしやすくなったと聞きました。他にリサイクル素材はどの部分に使われていますか?
長谷川:はい、メタルドアはデザインの仕上がりが上質というだけでなく、リサイクルしやすい素材でもあり、「環境に配慮したデザイン」という点も評価され、今回の受賞に至りました。
また、野菜室の底面、熱交換器のカバー、運搬用のハンドルなど、お客様からは見えない部分に再生プラスチック材を使用しています。
黒い部分が再生プラスチック材