輸出入管理の取り組み

輸出入管理の取り組み

安全保障輸出管理

世界を取り巻く安全保障環境は、一部の国家による核兵器・ロケット等大量破壊兵器の開発を含む軍事力の強化や他国への武力行使、国家間の領土問題、国際テロの脅威などにより、国際秩序の不確実性が増しており不安定な状況にあります。他方、日本の安全保障輸出管理においては、大量破壊兵器や通常兵器の不拡散等を目的とする「外国為替及び外国貿易法(以下、外為法)」が整備され、厳格な運用が求められています。このような状況下にあって、シャープでは東西冷戦時代からいち早く対共産圏輸出規制「ココム規制」を社内運用に採り入れるなど、安全保障輸出管理に取り組んできました。

現在では技術革新が進み、民生用と軍事用の境目が曖昧になり、民生用であっても軍事用に転用できる軍民両用品(デュアルユース)などの懸念貨物が増加しています。また、世界情勢のさまざまな緊張化に対する各種制裁措置や、それに伴う各国の輸出管理法令の強化などにより、安全保障輸出管理における運用は複雑化に拍車がかかっています。

これらの状況に対応するため、シャープ(株)および国内関係会社では「シャープ行動規範」に安全保障輸出管理の徹底を行動規範として織り込み、外為法に基づく「安全保障輸出管理規程」を定めて、輸出管理体制を構築し、輸出管理の運用を行っています。

海外への輸出の際は、貨物/技術の該非判定、仕向け地や取引相手先/最終需要者の確認、用途に懸念がないかなどの社内審査を行っています。また、輸出管理法令が改正された際には、社内運用の見直しを迅速に図り法令遵守に努めています。さらには、米国の再輸出規制の管理も厳格に行っています。

シャープでは、このような輸出管理体制を維持するために、全従業員に対し、eラーニングなどを用いた各種の輸出管理教育を定期的に実施しています。

これらの体制を維持、発展させ、今後も充実した輸出管理を実施していきます。

貿易管理

輸出入に際しては、関税法等に基づき適正な輸出入管理(貿易管理)を行うことが求められています。特に輸出入貨物のセキュリティについては、国内外のテロ組織への物資流出阻止のための貿易管理や、社会問題となっている不正薬物や知的財産侵害物品などの不法輸出入問題など、ロジスティクスにおける適正な管理がより一層に強く求められています。

当社は輸出入に関して特定輸出者※1および特例輸入者※1の承認を受け、貨物のセキュリティ管理、物流管理、通関手続管理、輸入消費税・関税納付など、輸出入の各過程における管理を法令に則って厳格に実施し、適正な輸出入に努めています。

これにより、税関手続の簡素化などのベネフィットを受けるとともに、世界的なサプライチェーンの安全確保に貢献しています。また、上記以外の国際宅配便や国際郵便、あるいは出張者や来訪者によるハンドキャリーなどを含む、多岐にわたる輸出入について、運用ルールの整理・更新、輸出入記録のシステム化、社内教育の徹底など、社内管理の強化を行い、適正な貿易管理を行うためのコンプライアンス体制を整えています。

今後も、適正な貿易管理を実施していきます。

  • ※1 貨物のセキュリティ管理と法令遵守の体制が整備されていると税関が承認した輸出入者のこと。
取り組み事例

タイの生産拠点SATLでは、安全保障輸出管理に関する社内管理システムの構築に向けた取り組みを進めています。

一部の従業員がタイ国商務省外国貿易局(DFT※2)のICP※3インストラクター証明書を取得し、輸出管理に関係する従業員への研修を2023年3月に完了しました。また、DFTによるICP認証取得のための監査を5月に受審しています。

こうした取り組みにより、輸出手続上の法令遵守の徹底とシャープブランドへの信頼性向上を図っています。

  • ※2 Department of Foreign Trade.
  • ※3 Internal Compliance Program.

ICPインストラクター証明書