CSR・環境
CSR活動方針
シャープグループ企業行動憲章・シャープ行動規範
シャープのCSR活動の原点は、次の時代のニーズをいち早くかたちにする「モノづくり」により、社会に貢献し、信頼される企業を目指すという創業者の経営の考え方が凝縮されている「経営理念」「経営信条」です。経営理念・経営信条を具体化するために、1998年に「シャープ企業行動規準・行動指針」を制定しました。以来、変化するステークホルダーの期待や法令などの改正・新設、経営環境の変化を踏まえて改定※し、グループ企業の行動原則として「シャープグループ企業行動憲章」を、また役員・従業員の行動規範として「シャープ行動規範」を定めています。
シャープグループ企業行動憲章では、持続的成長が可能な社会の実現に貢献するグローバル企業として、9項目の企業行動原則を定めています。シャープ行動規範は、全ての役員・従業員がシャープグループ企業行動憲章を実践するために定めた行動規範です。
CSRの推進にあたっては、全ての役員・従業員が、あらゆる業務遂行において「シャープ行動規範」に沿い、法令遵守はもとより、企業倫理の実践をはじめとした適切かつ真摯な行動を実行することが、基礎になると考えています。
- ※ 改定:2003年4月、2005年5月、2010年4月、2015年1月

シャープグループ企業行動憲章・シャープ行動規範の周知徹底
シャープグループ企業行動憲章、シャープ行動規範については、日本国内・海外の子会社および関係会社で、その適用・改定を取締役会で決議しています。また、適用した会社に対しては、社内通知や毎年行う研修などを通じて徹底・浸透を図っています。2017年度は、eラーニング形式などで「シャープ行動規範に基づくコンプライアンス学習」をシャープ(株)、日本国内連結および非連結子会社計10社、関連会社7社、労働組合の受講対象者に実施し、行動規範に則った業務遂行を図るとともに、人権、コンプライアンス、情報セキュリティ関連の問題発生を未然に防ぐマインドを定着させる取り組みを行いました。
グローバルなガイドラインや原則の参照
シャープのCSR活動においては、 2009年6月に参加した国連グローバル・コンパクトの10原則や、2015年9月に国連で採択された、貧困や飢餓、エネルギー、気候変動、平和的社会など、 2030年までの17の目標が定められた 「持続可能な開発目標」(SDGs)をはじめとする、以下のような国際ガイドラインや原則などを参照しています。
- 国連グローバル・コンパクト10原則
- ISO26000(企業の社会的責任の国際ガイドライン規格)
- SDGs(Sustainable Development Goals :持続可能な開発目標)
- OECD 多国籍企業行動指針
- 国連世界人権宣言
- 国連ビジネスと人権に関する指導原則
- RBA(Responsible Business Alliance:責任あるビジネスアライアンス)などの業界行動規範

国連グローバル・コンパクト10原則
人権 | 企業は、 原則1:国際的に宣言されている人権の保護を支持、尊重し、 原則2:自らが人権侵害に加担しないよう確保すべきである。 |
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労働 | 企業は、 原則3:組合結成の自由と団体交渉の権利の実効的な承認を支持し、 原則4:あらゆる形態の強制労働の撤廃を支持し、 原則5:児童労働の実効的な廃止を支持し、 原則6:雇用と職業における差別の撤廃を支持すべきである。 |
環境 | 企業は、 原則7:環境上の課題に対する予防原則的アプローチを支持し、 原則8:環境に関する大きな責任を率先して引き受け、 原則9:環境に優しい技術の開発と普及を奨励すべきである。 |
腐敗防止 | 企業は、 原則10:強要と贈収賄を含むあらゆる形態の腐敗の防止に取り組むべきである。 |
シャープSER※方針
当社では、 経営体制の移行に伴い、CSR推進体制についても新たな「経営基本方針」に基づき見直しを行いました。シャープグループとして社会環境責任(Social and Environmental Responsibility)を果たし、実現するため、2016年12月にシャープグループのCSRに関する考え方である「SER方針」を制定しました。
SER方針
- 従業員の権利を重視し、従業員の健康及び安全を確保する。
- 事業活動及び製造過程における環境責任を果たす。
- 国際標準、法規制、顧客の要求に基づいたSERマネジメントシステムの構築を行い、運用する。
- ※ Social and Environmental Responsibility
SERマネジメント推進体制
SER方針を実現するために、副社長執行役員を委員長とするシャープSER委員会(SHARP Global SER Committee)にて、シャープグループにおけるSER活動を推進・展開しています。SER委員会では、年間重要施策指針の策定、各事業本部のSER施策推進状況の確認およびレビュー、CSRに関連した社会動向の共有、社外への情報開示、ステークホルダーコミュニケーションなどを実施しています。
SERに関連する重要事項を審議・決定し全社展開を図るため、委員長、副委員長、委員、SER事務局出席のもと定期的に「SER会議」を開催しています。また、SER委員会の目的・構成・運営などについて定めた「シャープSER委員会運営要綱」を制定しています。
今後も、SER委員会の運営を通じて、安全や健康、環境責任を重視したシャープグループのSER活動を効果的に推進するとともに、世界の社会課題の解決にも貢献できるよう改善を行い、企業としての社会的責任を着実に果たしてまいります。

マテリアリティ(重要課題)
「マテリアリティ」(重要課題)についてもシャープSER委員会(SHARP Global SER Committee)にて見直しを行いました。シャープの事業活動がステークホルダーに及ぼす影響を把握し、ステークホルダーの意見や期待を整理しながら、サステナビリティにおける重要課題を抽出しました。そこからマテリアリティを特定し、 当社のCSR推進体制であるSERマネジメントのPDCAサイクルに組み込んでいます。

重要課題の確認
当社の事業戦略や国際動向、社会への影響、各種調査結果や他社動向を踏まえながら、お客さまをはじめ、地域社会、お取引先さま、株主・投資家さま、従業員などのさまざまなステークホルダーの皆さまからの意見や期待を整理して、重要課題を抽出しました。
マテリアリティの特定
抽出した重要課題は「社会にとっての重要度(ステークホルダーからの期待度)」と「グループとしての重要度」という2軸の観点でマッピングして優先順位を付け、9テーマのマテリアリティを特定しました。

- ※1 RoHS:Restriction of Hazardous Substances(欧州連合による電気・電子機器における特定有害物質の使用制限指令)
- ※2 WEEE:Waste Electrical and Electronic Equipment(欧州連合による電気・電子機器の廃棄に関する指令)
- ※3 REACH:Registration, Evaluation, Authorisation and Restriction of Chemicals(欧州連合による化学物質の登録、評価、認可および制限規則)
SERマネジメントへの組み込み
特定したマテリアリティを具体的な施策に落とし込むため、副社長執行役員を委員長とするシャープSER委員会にて「全社SER重点施策指針」を年度ごとに策定しています。各事業本部SER委員会では全社SER重点施策指針より自本部の事業にとって重要なものを選択し、SER施策(目標、評価指標KPI、対象範囲、実行計画など)を定めて、推進しています。
シャープSER委員会では、各事業本部のSER施策の推進状況の継続的なフォローを行い、当委員会の会議体である「SER会議」において定期的に全社での推進状況をレビューしています。また、SER会議の内容は、適宜代表取締役に報告をしており、長期的な視点で、経営方針にも照らし合わせながら、事業活動を通じた重要課題の解決に取り組んでいます。
全社SER重点施策指針(抜粋)
テーマ | 施策 | 対象範囲 | 関連するSDGs |
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労働・安全衛生 | 健康障害につながる長時間労働の抑制 | 日本国内全社員 |
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労働・倫理 | ハラスメントの防止 | 日本国内全社員 |
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労働・倫理 | 海外拠点における人権尊重の推進 | 海外拠点の全社員 |
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紛争鉱物 | 日本国内・海外の関連法規制への適合と効率的な対応 | 該当事業本部 |
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全般 | 顧客からの調査監査依頼への対応 | 日本国内全生産工場 連結対象生産子会社 |
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全般 | サプライヤーSER管理体制の再構築 | お取引先さま |
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工場環境 | 廃棄物の排出抑制・再資源化 | 全生産工場 |
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温室効果ガス | 事業に伴う温室効果ガス排出抑制 (温室効果ガス排出量原単位改善) |
全生産工場 |
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温室効果ガス | 製品使用に伴う温室効果ガス排出抑制 (当社製品の省エネ化推進) |
商品系事業本部 |
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RoHS | EU RoHS指令が定める新規制限物質※1の排除 | 全事業本部 |
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WEEE | EU WEEE指令などの各国廃電気電子機器リサイクル法が定める要求を順守 | 全事業本部 |
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REACH | EU REACH規則が定める高懸念物質※2の管理 | 全事業本部 |
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- ※1 フタル酸エステル4物質(DEHP、DBP、BBP、DIBP)主に、樹脂の可塑剤として使用されている
- ※2 人の健康および環境に対して高い懸念のある物質
自社工場におけるSER取り組み
シャープは、グローバルにビジネス展開をすすめるには、事業の拡大と持続可能な社会の構築を両立させ、SERに関する国際基準に則して取り組むことが重要と考えています。
2015年度から、SERに関する国際基準の一つである「RBA※行動規範」に準拠した「シャープサプライチェーンCSR推進ガイドブック」を作成し、当社のSER取り組み指針として活用して、日本国内・海外の生産工場を対象としたSER自己評価調査を継続的に実施しています。
この調査はRBAの自己評価調査票(Self Assessment Questionnaire)に基づき、自社工場の取り組み状況を確認・評価するもので、2017年度は日本国内・海外の25拠点を対象に実施しました。
調査後は、取り組み状況に関する各設問への回答内容を当社独自基準でスコア化(100点満点)し、分野別の取り組み度をA~Dランクで評価しました。評価結果は右のとおり70点以上がほとんどを占め良好との評価です。各拠点にフィードバックし、継続的な改善を促しています。
2018年度は調査対象拠点をさらに拡大し、グループ全体で、SERに関する国際基準に沿った取り組みのレベルアップを図っていきます。
- ※ Responsible Business Alliance。責任ある企業同盟の略称。旧称EICC(Electronic Industry Citizenship Coalition)。
2004年にHPやIBM、DELLなどの電子機器の企業によって設立された。電子機器に留まらず幅広い業界のサプライチェーンにおける社会・環境・倫理的課題に対する規範を作成。

RBAのVAP監査を受審(ディスプレイデバイスカンパニー)
当社内のディスプレイデバイスカンパニーでは、SER取り組みに関する顧客企業からの要請に適切に応えていくため、SERに関する国際基準に沿った取り組みを積極的に進めています。
2018年6月には、RBAのVAP(Validated Audit Process)監査を亀山工場と三重工場の2工場で受けました。
VAP監査ではRBAの認定監査会社より派遣された監査員の専門的な視点から「RBA行動規範」に基づく、労働(人権)、安全衛生、環境、倫理、マネジメントシステム各分野における当社の取り組み状況が確認され、良好な取り組みであるとの評価をいただきました。
監査での指摘事項については、RBAの監査プログラムマネージャーと緊密にコミュニケーションを図りながら、適切に是正処置活動を行っています。
今後もSERに関する国際基準に沿った取り組みの継続的なレベルアップを通じて、顧客企業からのご要請に的確に応え、事業の拡大と持続可能な社会の構築の両立を目指していきます。

工場の廃水処理施設を確認する
RBA監査員(左から3人目)と当社関係者
ステークホルダーエンゲージメント
ステークホルダーエンゲージメントの推進
経営理念の中で掲げている「株主、取引先をはじめ、全ての協力者との相互繁栄を期す」を実現するために、さまざまな機会を通じてステークホルダーの皆さまとコミュニケーションを図り、いただいたご意見を活動に反映しています。
今後も、ステークホルダーの皆さまの声を生かしていくようグローバルに整備・推進していきます。
ステークホルダー | 対処すべき課題 | 主な窓口部門 | コミュニケーション方法 |
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お客さま |
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事業部門 営業部門 サービス部門 品質推進部門 |
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お取引先さま |
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調達部門 事業部門 |
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株主・投資家の皆さま |
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証券財務部門 IR部門 CSR推進部門 |
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従業員 |
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人事部門 総務部門 |
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地域社会 |
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社会貢献担当部門 事業部門 環境推進部門 |
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地球環境 |
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環境推進部門 事業部門 |
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