地域社会とともに
社会貢献活動の推進
2022年度の目標 | 2022年度の実績 | 自己評価 | 2023年度の重点取り組み目標 |
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シャープグループでは「広く世界の文化と福祉の向上に貢献する」という経営理念のもと、各地域コミュニティの一員として地域の社会課題解決に取り組んでいます。引き続き地域と共存共栄する関係を育むため、「環境」「教育」「社会福祉」を軸に、従業員が主体となって自発的かつ継続的に活動を推進していきます。
環境保全活動
多様な生物が共存する生態系が保たれることが、企業および個人にとって豊かな生活環境をもたらすと認識し、全国各地の事業所や営業・サービス拠点を中心に、環境保全活動を推進しています。
地球上に生息する全ての「いきもの」たちが支えあいバランスを保っている状態を意味する「生物多様性」保全/里山保全のための取り組みとして、労使共同のボランティア団体「シャープグリーンクラブ(SGC)」を主要拠点に設置しています。SGCでは、国内シャープグループ全従業員一人ひとりが身近な環境問題と向き合い、自らの環境保全意識を高められるよう、地域住民を含むステークホルダーとコミュニケーションを取りながら、活動しています。例えば、里山保全活動では「森・いきもの・人のつながりを理解し、きずなを深め、地球環境への優しい心をはぐくむ森づくり」を基本コンセプトに「シャープの森づくり」を全国の5か所で展開し、植林や植えた苗を育てあげる育林活動に取り組んでいます。また、水鳥や湿地の保全を目的とした「ラムサール条約湿地の保全活動」では、全国の4か所で環境省や自治体などと連携し、外来種の除去や清掃活動などを行っています。その他、各拠点近隣の清掃活動を継続的に実施し、自治体などが主催する清掃・緑化活動などにも参加、地域に密着・連携した環境保全活動に取り組んでいます。
2022年度は、こうした活動を延べ778回実施し、役員・従業員とその家族他、延べ10,515人が参加しました。また、海外でも企業の社会的責任(CSR)プログラムとして、環境保全活動、教育支援活動、社会福祉に取り組んでいます。
シャープの社会貢献の原点は、創業者の「報恩の心」にあります。地域からそして社会から受けている恩に報いるため、これからも地域に根ざした活動を推進していきます。
取り組み事例
国内でのさまざまな活動
地域のさまざまな環境問題に対して、労使が協調して地域に密着した環境ボランティア活動に取り組んでいます。
幕張事業所(千葉県千葉市)では、美しい街づくりを進める地域・景観保全活動として、幕張新都心まちづくり協議会(MMK)の活動に参加しています。
2022年6月に、JR海浜幕張駅 国際大通りに設置されているプランター100基に花苗を植える「街中オープンガーデン作戦(幕張地区合同)」が開催され、従業員5名が近隣企業の参加者とともに、季節の花のマリーゴールドの花苗をプランター20鉢に植えました。
三重事業所(三重県多気郡)では、多気町の「ふれあいの森」を拠点に多気シャープの森の活動として、森林保全と景観整備に取り組んでいます。
2022年7月に、従業員とその家族26名がアジサイの剪定と薪割りを、2022年11月には、歩道整備や歩道周辺の下草刈り、不要になった看板の撤去を行いました。
天理事業所(奈良県天理市)では、春と秋に従業員とその家族などが参加して、労使共同のボランティア活動を実施しています。
2022年11月に、従業員6名が事業所周辺を流れる高瀬川の流域内のゴミ拾いと除草を行いました。また、同日開催の天理古墳シャープの森づくりの参加者29名とともに、5月に植え付けた落花生やサツマイモの収穫をしました。
海外でのさまざまな活動
世界の各拠点でも、地域に根ざした社会貢献活動を積極的に行っています。
SEM:SHARP Electronics (Malaysia) Sdn. Bhd.
マレーシアの複合事業拠点のSEMとYayasan Guru Malaysia Berhadは、マレーシア全土の学生と教師にデジタル教室での学習を可能にするプログラムを導入できるようサポートする覚書を2022年5月に締結しました。
教育環境におけるデジタル変革の重要性は、ほとんどの学校において緊急の課題となっています。このプログラムはインタラクティブでより優れたオンライン教育と教師と学生間のハイブリッド学習を可能にします。
今後も最新のテクノロジーを活用し、スマートなソリューションを提供することを継続していきます。
SEID:P. T. Sharp Electronics Indonesia
インドネシアの生産販売拠点SEIDは、新型ウイルス感染症対策で休止していた「環境保護キャンペーン」を再開しました。2022年8月に、水質汚染が懸念されているチリウン川の源流で実施しました。
参加者は生物学分析と物理分析によるきれいな川の水を測定する方法を学びました。また、環境を保全するために、SEID代表者をはじめとする参加者全員がテラガ・サート地区に樹木を植えました。
SEID:P. T. Sharp Electronics Indonesia
インドネシアの生産販売拠点SEIDは、シャープクラスプログラムを通じて教育現場に貢献しています。
SMK(インドネシアの職業高等学校)の学生を対象に、SEIDの技術者によって2か月間のトレーニング(理論、実践、心構え)をしています。優秀な学生にはSEIDのサービスオフィスでのインターンシップの機会が与えられ、社員として採用されることもあります。
2022年7月にLampung(ランプン)で、2022年11月にBlitar(ブリタール)で開催しました。
障がいのある子どもたちなどへのキャリア教育支援活動
シャープは、創業者の障がい者支援への想いを受け継ぐ社会貢献活動の一環として、特例子会社※のシャープ特選工業(株)とともに「特別支援学校などへのキャリア教育」に取り組んでいます。障がいのある方の職業観や勤労観を育む自立支援として、次のコースを用意しています。
2022年度は、以下の3コースを延べ324回実施し、障がいのある方やその支援者など延べ1,656人が参加しました。
- ※ 障がい者の雇用の促進および安定を図るため、事業主が障がい者の雇用に特別の配慮をして設立した子会社。
- 職場見学(来社型)コース:障がいのある社員が働く職場の見学と座学による解説
- 職場体験実習(来社型)コース:障がいのある社員が働く職場での就労体験
- 出前授業(学校訪問型)コース:障がいのある社員が講師となり「働くということ」をテーマとした授業を実施
出前授業の新たな展開
2012年より取り組みを開始した「出前授業」について、2022年度に初の試みとして、一般校の普通学級および支援学級の生徒を対象に授業を実施しました。
活動当初、聴覚障がい者を対象とし、全国の聴覚支援学校での授業に取り組んできました。その後、多くの要望をいただき、2014年に知的障がい者へと対象を拡大し、大阪府内の支援学校での活動を開始しました。また、感染症対策が必要な状況下で、2020年7月からはオンラインによる出前授業も展開しました。学校訪問型出前授業は全国の聴覚支援学校および大阪府内の支援学校等に限定した活動ですが、オンライン出前授業の実施により、全国の特別支援学校に向けた活動が可能となりました。
出前授業は障がいのある方の「就労」を念頭においた取り組みの1つとして展開をしてきましたが、今回は一般校の先生からの依頼で「誰もが生きやすい『共生社会』について考える」というテーマで授業を行いました。「学校という現場で『共生社会』を共に創っていく仲間を育てていきたい」という先生方の思いがきっかけとなり、初めて一般校での出前授業を実施することができました。障がいの有無を問わず、普通科および支援学級の生徒の4クラス計約130名の生徒を対象に「共生社会」という考えのもと、障がいのある人たちの働く環境づくりにつながる取り組みを展開することができました。
創業者の障がい者支援への思いを受け継ぎ、就労の一助となる取り組みとして実施している出前授業は、皆さまの要望や環境に応じてその形を変えながら活動の幅を広げています。今回は縁があり実現した新たな活動ですが、共生社会を築く一助となる取り組みとして効果的に活用いただけるよう、関係機関とともに引き続き展開していきます。そして、今後も支援学校へのキャリア教育を実施するとともに、地域社会の声に耳を傾けながら、社会に貢献できる活動を実施していきます。
「特別支援学校等へのキャリア教育」を受けられている学校長様より
シャープ特選工業株式会社様には、平素より、本校の進路に向けた取り組みなどで大変お世話になりましてありがとうございます。心より御礼申し上げます。おおよそ3年4か月にわたって、我々の生活全体に大きく影響を与えた新型ウイルス感染症により、学校現場もさまざまな制約と工夫の中で過ごす日々でした。そのような状況で、オンラインでの「キャリア教育出前授業」などの取り組みを実施していただいたことで、生徒たちは「働く意義」「働く楽しさ」を主体的に考える貴重な機会をいただいたと感じています。
なにわ高等支援学校は平成27年4月に、大阪府下第5番目の職業学科設置の高等支援学校として開校しました。開校以来「知的障がいのある生徒が、卒業後の就労を実現することにより社会参加、自立と豊な生活を獲得する」ことを目標としています。その目標達成まで生徒たちは、校内での職業学科での実習や教科学習、校外での各種体験実習において「やってみよう」「やりぬこう」「夢にむかって」のモットーを胸に秘め取り組んでいるところです。そのような中で、御社での「職場体験実習」や「キャリア教育出前授業」を通じた力強いエールは、生徒たちにとってかけがえのない貴重な体験となっています。今後も引き続き、より一層のご指導とご支援をお願い申し上げます。
本校は、これからも各種関係機関と連携のもとに、生徒一人ひとりが就労への意欲を高め、就労を実現できるように教育活動を教職員一丸となって進めていく所存です。御社から素晴らしい機会を与えていただいていることに深く感謝いたしますとともに、御社の更なるご発展とご活躍を心よりお祈り申し上げます。
出前授業講師の従業員より
2016年度から出前授業の講師を始めて今年で7年目となります。初めて授業をした時は、とても緊張したものの、生徒の皆さんや先生方は、私の話を真剣に聞いてくださったので、安心してうまく話せたことを覚えています。そして何度かの経験を積んで、今では皆さんの前でも普段通りに話せるようになりました。授業中に生徒同士で話し合うグループワークの場面では、いつも皆が真剣に意見を出し合って、頑張っている様子をみることができ、自分も頑張らなくてはいけないと思っています。
今、支援学校に通われている生徒の皆さんには、将来のことは焦らずに考えて、学生の間にたくさんの思い出を作ってほしいと思います。
また、先生から教えてもらったことは、しっかりとメモに残して、いつでも見返せるようにしてほしいです。この出前授業を通して、自分自身も成長ができていると実感しており、これからもいろいろな業務にもチャレンジしていきたいです。