生物多様性保全

生物多様性保全への取り組み

2023年度の目標 2023年度の実績 自己評価 2024年度の重点取り組み目標
  • 社会課題の解決のため、地域社会とともに従業員が主体となって各地域に役立つ活動を実施し、SDGsの達成に貢献
  • 環境保全活動などへの参加延べ人数:12,172人(家族などを含む)
    実施延べ回数:824回(日本国内実績)
★★
  • 地域社会とともに従業員が主体となって環境保全活動を実施し、30by30※1達成に貢献
  • 自己評価: ★★★ 目標を上回る成果があった  ★★ 目標を達成  ★ 一定の成果があった

事業活動と社会貢献活動を通じた生物多様性保全

シャープは事業活動のさまざまな場面で生物多様性に影響を与え、また生態系による恵みを受けていることから、事業活動と社会貢献活動を融合したハイブリッド型アプローチで生物多様性保全に貢献する取り組みをグローバルに展開しています。

2009年度に「シャープグループ生物多様性の保全と持続可能な利用を巡る方針」に基づく取り組み指針として「シャープ生物多様性イニシアティブ」を策定しました。このイニシアティブでは、生物多様性について分かりやすく解説するとともに「事業活動を通じた取り組み」と「社会貢献活動での取り組み」の両面からの具体的な推進施策をまとめています。

生物多様性保全の取り組み領域

事業活動と社会貢献活動のハイブリッド型アプローチ

生物多様性保全への貢献を目指す環境社会貢献活動

シャープでは、多様な動植物が共存する生態系の保全に貢献するために、日本のみならず、世界各地で環境保全活動を推進しています。

日本国内では、労使共同のボランティア団体「シャープグリーンクラブ(SGC)」を主要拠点に設置し、地域住民を含むステークホルダーとコミュニケーションを取りながら活動しています。例えば、里山保全活動では「森・いきもの・人のつながりを理解し、きずなを深め、地球環境への優しい心をはぐくむ森づくり」を基本コンセプトに「シャープの森づくり」を全国の5か所で展開し、植林や植えた苗を育てあげる育林活動に取り組んでいます。また、水鳥や湿地の保全を目的とした「ラムサール条約湿地の保全活動」では、全国の2か所で環境省や自治体などと連携し、外来種の除去や清掃活動などを行っています。その他、各拠点近隣の清掃活動を継続的に実施し、自治体などが主催する清掃・緑化活動などにも参加、地域に密着・連携した環境保全活動に取り組んでいます。

2023年度は、こうした活動を国内で延べ824回実施し、役員・従業員とその家族他、延べ12,172人が参加しました。また、海外でもCSRプログラムとして、植樹などを実施し、オールシャープとして世界の生態系保全に取り組みました。

2024年度からは、環境省が主導する「30by30(サーティ・バイ・サーティ)※1 アライアンス」に参画し、「自然共生サイト※2」への認定を通じて、国際データベースのOECM(Other Effective area-based Conservation Measures)への登録を目指していきます。

「30by30」ロゴマーク
「30by30」ロゴマーク
  • 2021年のG7サミットで約束された、2030年までに生物多様性の喪失を食い止め、回復させる(ネイチャーポジティブ)というゴールに向け、国土の陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする目標。
  • 環境省が認定する生物多様性の保全に貢献する場所のこと。
取り組み事例

ササユリの保全活動

天理事業所(奈良県天理市)では、敷地内にある古墳群で生物多様性保全に取り組んでいます。開発や乱獲で野山から減少した希少野生植物「ササユリ」が古墳内に自生しており、その育成・保護のため、雑草や枯れた竹の処理など自生区域の整備活動を春と秋に実施しました。

雑草の処理
雑草の処理
枯れた竹などの処理
枯れた竹などの処理
希少野生植物のササユリが自生
希少野生植物のササユリが自生
ササユリ
ササユリ
取り組み事例

ヤリタナゴの保全活動

亀山事業所(三重県亀山市)では、三重県の絶滅危惧種に指定されているヤリタナゴの繁殖に取り組んでいます。かつては亀山市内の河川にも多くのヤリタナゴが生息していましたが、河川の改修や外来生物による食害、繁殖に必要な二枚貝の減少などが原因で生息数が激減しています。工場敷地内のビオトープ池は、外来生物が流入する可能性が低く、繁殖に欠かせない二枚貝が生息しやすい砂地となっているため、ヤリタナゴの保護と繁殖に適しています。生息状況の調査を定期的に実施し、保全活動を進めています。

生育状況の調査
生育状況の調査
ヤリタナゴ(オス)
ヤリタナゴ(オス)
取り組み事例

ラムサール条約湿地「谷津干潟」で環境保全活動

幕張事業所(千葉県千葉市)では、労使共同のボランティア団体(SGC)の活動として千葉県習志野市にあるラムサール条約湿地「谷津干潟」で環境保全活動を行っています。

2023年11月に従業員とその家族計19名が谷津干潟自然観察センターご協力の下、鳥の生息環境の維持や池の遷移(陸化)を防ぐため、淡水池の葦刈りを行いました。

葦刈り作業
葦刈り作業
谷津干潟で見られる野鳥
谷津干潟で見られる野鳥
取り組み事例

継続的な緑化活動を実施

インドネシアの生産販売拠点SEIDでは、環境意識の向上と温室効果ガス排出量の削減、森林保全を目的に緑化活動を行っています。
「世界自然保護戦略の日」に合わせ、2024年3月にSEIDの従業員27人が、西ジャワ州カラワンにカカオやイチジク、インドゴムの木など6種類を計30本を植樹し、2013年からカラワンに植樹された植物・樹木の総数は、657本になりました。また、土壌の給水力を高めるバイオポア浸透孔を60か所に設置しました。

  • 浸水対策として地面に垂直に開けた円筒形の穴。
SEIDの各部門から集まった参加者
SEIDの各部門から集まった参加者
インドゴムの木の植樹
インドゴムの木の植樹
取り組み事例

森林再生活動

英国の販売拠点SBSUKは、フォレストポジティブイニシアティブとして、環境に配慮した印刷に取り組んでいます。このプログラムは、印刷に使用する紙に相当する木よりも多くの木を植えることで、森林破壊による環境への影響を実質的に取り除いています。

SBSUKは、パートナーであるPaperCut社を通じて、これまでに3,341本の植樹を実現しました。2023年度は英国の事業所全体で160万枚分の紙の使用に相当する200本を植樹しました。今後も、森林保護に積極的に取り組み、世界の森林再生プロジェクトに貢献していきます。

取り組み事例

「国際マングローブデー」に、生物多様性保全活動を実施

インドネシアの生産販売拠点SEIDは、サンゴ礁の保全に取り組む非営利団体「Yayasan Terumbu Karang」と共同で、ブルーカーボンの再生化の一環として、トゥンダ島の島民とともに3,300本のマングローブの苗木を植樹しました。

  • マングローブ林、海草草原、汽水域、サンゴ礁などの沿岸・海洋生態系に吸収・貯蓄された炭素や温室効果ガス
植林の様子
植林の様子
取り組み事例

「ワールドクリーンアップデー」に合わせた清掃活動の実施

インドネシアの生産販売拠点SEIDは、世界的な環境問題であるプラスチックごみの危険性とリサイクルの重要性を伝える活動を行っています。ワールドクリーンアップデーに合わせて2023年9月に、ハラパン島の住人と観光客の環境意識を高めること、島の美しい自然環境を守ることを目的に、環境保全団体とともに清掃活動を実施しました。

ハラパン島の学生50人も参加して清掃を行い、約72kgの廃棄物を回収しました。回収された廃棄物は分別され、一部は「ごみ銀行」と呼ばれる施設に回収された後、商品にリサイクルされます。併せて、111本のマングローブの苗木を寄贈しました。

  • ごみが仲介業者に買い取られ、その収入がごみを持ち込んだ人に振り込まれる仕組み。
観光客にごみの持ち帰りを呼びかけ
観光客にごみの持ち帰りを呼びかけ
ハラパン島の地元コミュニティへマングローブの苗木を寄贈
ハラパン島の地元コミュニティへマングローブの苗木を寄贈