環境マネジメント

サステナブル経営の実践に向けて

シャープは「環境基本理念」の下、「シャープグループ企業行動憲章」および「シャープ行動規範」に定めた地球環境保全への取り組み方針に沿って、全ての企業活動を環境に配慮して推進しています。また、「持続可能な地球環境」の実現を目指し、2050年に向けた長期環境ビジョン「SHARP Eco Vision 2050」を掲げ、技術の開発、製品・サービスの提供などの企業活動を通じ社会課題の解決と企業価値の一層の向上に取り組んでいます。

サステナブル経営の推進

シャープは、環境ビジョン・方針・目標の策定や推進、環境ガバナンスの強化を目的にESG・品質担当を設置しています。

ESG・品質担当では、シャープの経営方針や環境ビジョンを踏まえ、サステナブル経営に関わる重要な全社環境方針や戦略・施策を策定し、代表取締役社長 兼 CEO、経営幹部、各事業本部長・子会社社長などが出席する「サステナビリティ委員会」を通じて、環境目標の進捗確認や環境活動の支援などを行っています。

また、製品環境法規制や化学物質管理については、定期的な情報交換会を開催して法令遵守の徹底を図るとともに、テーマ別のワーキンググループ(WG)や専門部会を適宜設置し、さまざまな環境課題に対し全社で取り組みを推進しています。

サステナブル経営(環境関連) 推進体制

環境教育の推進

シャープの経営方針の基本戦略「人材の育成・強化」に基づき、サステナブル経営の基盤となる人材育成の強化を図るべく、全従業員が受講可能な基礎研修を含む研修カリキュラムを構築しています。

2019年度から、基礎研修として全従業員が環境に関する幅広い知識を習得する「環境マインド研修」を継続実施するとともに、3年次社員の必須研修として環境法規制(入門編)を実施しています。

2022年度は、製品環境法規制研修を実施しました。各工場においてもさまざまな研修を実施しており、葛城事業所(奈良県葛城市)では、環境推進委員などに「EMS教育会」や、薬液・ガスを取り扱う担当者への講習会などを実施しました。また、中国の生産拠点SSECでは、従業員に対して社外有識者による「省エネに関する知識」や「省エネ活動事例」などのオンライン講習を実施しました。

今後も、コンプライアンスの強化や環境ビジョンの実現に向けた環境人材の育成を目的に、研修カリキュラムの更なる充実を図り、業務内容や役割に応じた環境教育を推進します。

  • ※ Environmental Management System

環境パフォーマンスデータの収集と管理

シャープは、サステナブル経営を推進するため、事業活動に伴うエネルギーの使用量や廃棄物の発生量、水の使用量、化学物質の取扱量など、環境パフォーマンスデータを効率的に収集・管理する仕組みを構築し、グローバルに運用しています。これらのデータを蓄積・分析することで、現状の把握や課題の抽出、施策の立案などに活用しています。

環境マネジメントシステムの推進

シャープは、環境経営の強化と従業員の環境意識の向上を目的に、1995年からグローバルに環境マネジメントシステム(ISO14001)を運用し、国内外の全生産拠点で認証を取得しています。

2015年度にISO14001が改定され、事業活動と環境活動との一体化など、より戦略的な視点での取り組みが求められるようになりました。ISO14001の改定を受け、各拠点の特性に合わせたより効果的なマネジメントシステムを構築しています。

製品および工場監査の推進

シャープは、製品開発におけるコンプライアンスの確保を主な目的とした「グリーンプロダクト/グリーンデバイス監査」を定期的に実施しています。各国の環境法規制への対応や、省エネ・省資源・リサイクル性など、製品の環境配慮設計の対応状況を確認しています。

また、工場では自己評価調査の一環として、工場の環境取り組みの状況を確認・評価しています。2022年度は、M&Aなどにより当社グループに新しく加わった工場を重点的にヒアリングし、ガバナンス強化とリスク低減を図りました。

法令違反、事故などの有無

2022年度、環境関連の法令違反による訴訟問題・罰金・科料はありませんでした。また、環境に関する重大な事故の発生もありませんでした。

環境に配慮した製品・デバイスの開発

グリーンプロダクト・デバイスの開発

環境に配慮した製品を「グリーンプロダクト(GP)」と定め、7つのコンセプトに基づく開発・設計指針をまとめた「GPガイドライン」を1998年度から全ての製品設計部門で運用しています。開発に当たっては、GPガイドラインをもとに策定した「GP基準書」に沿って企画段階で具体的な目標を設定した上で、試作・量産段階でその達成度を評価しています。開発目標の指標となるGP基準書は毎年改定し、製品の環境配慮性を継続的に高めています。また、世界各国の製品に関する環境法規制の動向を確認するため、欧州、ASEAN、中東の各地域と定期的に会議を開催し、そこで得られた情報を日本の各事業本部に展開および製品設計に関わる法規制要求事項を毎年、GPガイドラインに反映しています。

また、環境に配慮したデバイスを「グリーンデバイス(GD)」と定め、7つのコンセプトに基づく開発・設計指針をまとめた「GDガイドライン」を2004年度から全てのデバイス設計部門で運用しています。また、GPと同様に「GD基準書」に沿って目標を設定し、達成度を評価しています。2013年度からは、お客様のニーズを踏まえた先進的な取り組みを評価項目に追加し、それらの達成度を「GDチャレンジポイント」として評点化しています。評価項目は毎年改定し、液晶モジュールや各種センサなどデバイスの環境配慮性を継続的に高めています。

グリーンプロダクトのコンセプト

グリーンデバイスのコンセプト

スーパーグリーンプロダクトの開発

2004年度より、環境性能が特に優れた製品を「スーパーグリーンプロダクト(SGP)」として認定しています。2022年度はSGPの売上高が1,312億円(GP日本国内売上に占めるSGP売上の割合:28%)となりました。

2016年度以降、認定基準を「各製品のカテゴリー区分で省エネ・創エネ性能が業界No.1となる製品」または「独自技術などにより極めて優れた環境性能を有する製品」として、消費電力量を極力抑えた製品や高効率な太陽光発電システム、資源の利用効率が極めて高い製品などの開発を積極的に推進しています。

SGP認定機種事例

プラズマクラスター洗濯乾燥機
<ES-X11A>

スマートフォン
<AQUOS sense7>

デジタルフルカラー複合機
<BP-70C45>

太陽電池モジュール
<NU-259AM>

取り組み事例

開発者インタビューの連載

製品の企画担当者や技術者、デザイナーなど製品の開発に携わった従業員を取材し、環境に配慮したサービス・モノづくりへのこだわりや苦労話をお伝えするWebサイト「ココにもエコ」を開設しています。環境を切り口として製品の魅力を訴求し、付加価値の向上を目指しています。

2022年度はスマートフォン「AQUOS wish/AQUOS wish2」、ドラム式洗濯乾燥機を紹介しました。

スマートフォンの開発メンバー

ドラム式洗濯乾燥機の開発メンバー

製品環境総合評価システムの運用

環境法規制の遵守と環境配慮設計の促進を目的として「製品環境総合評価システム」を運用しています。システムの運用により、設計・開発の全拠点における環境配慮型製品・デバイスの開発ノウハウや設計データをデータベース化し、設計水準を向上させるとともにライフサイクルアセスメントの社内標準化を図るなど、環境配慮型製品・デバイスの創出に活用しています。2016年度以降、製品における環境法規制のチェック機能を強化し、コンプライアンスの充実を図っています。

システムの業務フロー