気候変動

気候変動に対する考え方

中期環境目標

気候変動は緊急性および重要度が最も高い全人類共通の社会課題であり、気候変動がもたらす自然災害の激甚化は人々の生活のみならず各事業にも直接的・間接的に大きな影響をもたらします。シャープは気候変動を経営の重要課題として捉え、「自社活動のCO2排出量ネットゼロ」を含む長期環境ビジョン「SHARP Eco Vision 2050」を2019年に策定しました。また、長期環境ビジョンの達成に向け、CO2排出量を2030年までに40%削減、2035年までに60%削減という中期環境目標を設定しています

今後は、自社工場/事業所への太陽光発電システムの導入や省エネ化、太陽光発電所の新設、社用車の電気自動車(EV)化などに積極的に取り組み、CO2排出量を着実に削減していきます。

  • ※ 2021年度比。2022年6月に完全子会社化した堺ディスプレイプロダクト(株)(SDP)の2021年度以降の排出量を含む。

自社活動のCO2排出量ネットゼロに向けた中期環境目標

製品使用時の環境負荷低減

シャープのバリューチェーン全体における温室効果ガス排出量は、販売した製品の「使用」に伴う排出が8割以上を占めています。そのため、自社活動(生産)の環境負荷低減への取り組みはもとより、お客様が製品を使用する際の環境負荷低減(製品の省エネ)を気候変動対策への重要課題として認識しています。

シャープの温室効果ガス排出量の割合(2022年度)

  • ※1 事業活動による温室効果ガス排出。
  • ※2 事業活動範囲外での間接的な温室効果ガス排出。

環境配慮型製品の創出による温室効果ガス排出量の削減に向けたアプローチ

  • 製品のライフサイクルを通じた温室効果ガス排出量の把握・分析
  • AIoT※3機器とクラウド技術を活用した製品の「使用時」における温室効果ガス排出量の削減
  • 太陽光発電システムや蓄電池などの製品・サービスの提供を通じた温室効果ガス排出量の削減
  • ※3 「AIoT」は、AI(人工知能)とIoT(モノのインターネット化)を組み合わせ、あらゆるものをクラウドの人工知能とつなぎ、 人に寄り添う存在に変えていくビジョンです。「AIoT」は、シャープ株式会社の登録商標です。

気候変動に関するイニシアティブなどへの参画

シャープは、気候変動への取り組みを確実なものにするため「SBTイニシアティブ※4(Science Based Targets Initiative)」に参加しています。当社は現在、SBT WB2℃※5(well-below 2℃)の認定を取得していますが、2022年6月に設定した中期環境目標との整合を図るべく「1.5℃目標※6」の認定取得に向けて準備を進めています。また、事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指しており、その国際的なイニシアティブであるRE100の加盟に向けて準備を進めています。

日本国内においては、業界全体での脱炭素に向けた取り組みの強化を目的として「電機・電子温暖化対策連絡会※7」に参画し、工場における最新の省エネ取り組み事例の共有の他、政策提言を踏まえた議論を行っています。さらに、2023年度より本格的な活動が開始された経済産業省「GXリーグ※8」へ参画し、カーボンニュートラルへの貢献に向けた取り組みを加速しています。

SBTの進捗状況(WB2℃目標)

目標 2022年度実績 基準年比
スコープ1+2 2031年度までに2018年度比で33%削減 1,125 千t-CO2 4%増加
スコープ3(カテゴリ11) 2031年度までに2018年度比で33%削減 25,800 千t-CO2 6%削減
  • ※4 国連グローバル・コンパクト(UNGC)、CDP、世界資源研究所(WRI)、世界自然保護基金(WWF)による気候変動に関するイニシアティブ。企業に対し、パリ協定に準拠した科学的根拠に基づいた温室効果ガス排出削減目標を設定することを推進。
  • ※5 産業革命前からの世界平均気温上昇を2℃より⼗分低く抑える目標。
  • ※6 産業革命前からの世界平均気温上昇を1.5℃に抑える目標。
  • ※7 電機・電子関連業界の一般社団法人 日本電機工業会(JEMA)や一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA)などの参加企業で構成。カーボンニュートラル行動計画をはじめ、地球温暖化防止に関する業界共通の取り組みを推進。
  • ※8 2050年カーボンニュートラル実現と社会変革を見据えて、グリーントランスフォーメーション(GX)ヘの挑戦を行い、現在および未来社会における持続的な成長実現を目指す企業が、同様の取り組みを行う企業群や官・学と協働する場。

TCFDに基づく情報開示

TCFD提言への対応

金融システムの安定化を図る国際的組織である金融安定理事会(FSB)によって設置された気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)は、気候変動に関するリスク・機会を企業などが情報開示することを推奨する提言を2017年に公表しました。シャープはTCFDの提言への賛同を表明するとともに、TCFDのフレームワークに沿って、気候変動に関する情報開示の拡充を図っています。

1.ガバナンス

気候関連の問題は「サステナビリティ委員会」の委員長である代表取締役社長 兼 CEOが監視、監督責任を持っています。「サステナビリティ委員会」は委員長以下、経営幹部、本社機能部門、事業本部・子会社などで構成されています。委員会では、気候変動をはじめとしたESGに関する方針やビジョンの徹底、施策についての審議・推進、社会課題に関する最新動向の共有などを実施しています。

委員会における経営層によるモニタリング・レビューを通じて、気候変動に関する取り組みを継続して強化し、持続可能な社会の実現への貢献を目指しています。

2.戦略

シャープは「気候変動」を中長期的なリスクと機会の一つとして捉え、関連リスクおよび機会を踏まえた戦略と組織のレジリエンスについて検討するために、国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による気候変動シナリオ(1.5℃シナリオ※1および4℃シナリオ※2)を参照してシナリオ分析を実施して、2050年までの長期的な影響を考察しました。それぞれのリスクと機会の詳細、および対応策を下表(当社の事業におけるリスク・機会と対応策)にまとめています。

3.リスク管理

シャープは、ビジネスリスクマネジメントの基本的な考え方を定めた「ビジネスリスクマネジメント規程」に基づき、気候関連リスクの特定や評価を行っています。将来予測される気候シナリオの分析により、発生する確率が高い気候関連リスクの抽出を行い、経営幹部およびリスクマネジメント事務局である内部統制部へ必要に応じて事案内容を報告し、関係部門と連携して必要な改善策を検討しています。

4.指標と目標

シャープは「自社活動のCO2排出量ネットゼロ」を含む長期環境ビジョン「SHARP Eco Vision 2050」の達成に向け、CO2排出量を2035年までに60%削減※3という中期環境目標を設定しています。この目標はSBTの1.5℃目標に準拠しており、年間4.2%以上のCO2排出量削減を目指しています。

  • ※1 IEAのNet Zero Emission 2050シナリオ、IPCCの第6次評価報告書(AR6)SSP-1 1.9シナリオなどを参照。
  • ※2 PCCの第5次評価報告書(AR5)のRCP 8.5シナリオなどを参照。
  • ※3 2022年6月に完全子会社化した堺ディスプレイプロダクト(株)の2021年度の排出量を含む。

温室効果ガス排出量の進捗状況(2022年度)

基準年(2021年度実績※3 2035年度目標(2021年度比60%削減) 2022年度実績 基準年比
1,365 千t-CO2 546 千t-CO2 1,125 千t-CO2 17.6%削減

当社の事業におけるリスク・機会と対応策

シナリオ 要因 変化 当社への影響 リスク・機会 影響度 影響が顕在化する時期 当社の対応策
1.5℃ カーボンプライシングの導入 原材料調達コストの増加 当社の仕入製品に対して炭素税が導入されることで、仕入価格に転嫁される リスク 短期
  • 低GHG(Green House Gas)排出原料の探求
  • 環境負荷低減に努める仕入先の開拓
  • 購買量の適正量化(在庫抑制の更なる徹底)
直接操業コストの増加 当社が排出するスコープ1,2の排出量に応じて炭素税が導入され、支払コストが増加する リスク 短期
  • 省エネの推進によるGHG排出量の低減
  • インターナルカーボンプライシングの導入による低炭素排出設備投資の推進
サプライチェーン上の脱炭素・環境配慮要請の高まり ユーザーの環境配慮ニーズを満たさないことによる競争力の低下 環境配慮についてユーザーの期待に応えられない場合、売上高減少のリスクが発生する リスク 短期
  • ユーザーとの継続的なコミュニケーションによるマーケットニーズの把握
  • 省エネに関する研究開発の継続実施
環境配慮資材への切替コストの増加 CO2排出量が少ない電炉材や再生プラスチック、バイオマスプラスチックなどへの切り替えを進めていくに当たり、コストが増加する リスク 中期
  • 低コストである環境配慮資材の調達先の発掘
  • 環境配慮資材活用の外部開示による消費者の価格弾力性の堅持
再エネへの切り替えによるエネルギー調達コストの増加 自家発電やPPA(Power Purchase Agreement)、再エネメニューへの切替、環境価値証書の購入を進めることでコストが増加する リスク 中期
  • 省エネの推進によるGHG排出量の低減
  • 低コストとなるPPAや再エネを推進するためのパートナーの探求
再生可能エネルギー市場の拡大 再エネ発電事業者・利用企業からの太陽光発電関連製品・システムに対する需要の拡大 当社の製品・システム提供を拡大することで、収益拡大の可能性が高まる 機会 短期
  • マーケット需要に応じた太陽光発電関連製品・システム開発の継続
ZEH(Zero Energy House)需要の拡大 住宅向けの太陽光発電定額サービスやHEMS(Home Energy Management System)の提供を強化し、収益拡大の可能性が高まる 機会 短期
  • マーケット需要を捉えたエネルギーソリューション(システム/サービス)の提供
環境貢献ビジネスの拡大 サーキュラーエコノミー型ビジネスモデルの拡大 脱炭素の取り組みが社会的に高まる中で、廃棄物を出さないサーキュラーエコノミー型のビジネスモデルを確立することで、顧客支持の拡大につながる 機会 中期
  • 自己循環型マテリアルリサイクル技術などの活用による廃プラスチックの再資源化の推進
  • 太陽電池リサイクルの情報収集の継続による新規事業機会の積極創出
4℃ 気象災害の激甚化 サプライチェーンの寸断 気象災害が激甚化することで、当社の仕入先、拠点が被災し、サプライチェーンが影響を受け、当社の販売機会喪失が懸念される リスク 長期
  • 製品の複数購買、複数地域購買の推進
  • 主要取引先の事業継続計画(BCP)策定状況の調査と対策の強化
  • 自社拠点におけるBCPの更なるレベルアップ
  • ※ 短期:3年以内、中期:2030年頃、長期:2050年頃に顕在化し始めると想定。

GHGプロトコルに基づく温室効果ガス排出量

シャープはGHGプロトコル※1に基づく温室効果ガス排出量を算出し、サプライチェーンを含めたシャープの事業活動およびシャープ製品の使用による温室効果ガス排出量の抑制に取り組んでいます。

  • ※1 世界の有力企業が加盟する「持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)」と米シンクタンク「世界資源研究所(WRI)」が定めた温室効果ガス排出量を算出するための国際基準。

スコープ1,2,3の温室効果ガス排出量(2022年度)

カテゴリ 排出量
(千t-CO2
備考
スコープ1(事業活動からの直接的な温室効果ガス排出) 331 燃料などの使用に伴う排出
スコープ2(事業活動でのエネルギー使用による間接的な温室効果ガス排出) 794 電力などの使用に伴う排出
スコープ1+2 計 1,125
スコープ3(事業活動範囲外での間接的な温室効果ガス排出) 1.購入した物品、サービス 3,232 シャープグループが当該年度に販売した主要製品※2の調達部材の生産に関わる排出
2.資本財 121 シャープグループの資本財(設備、機器、建物、施設、車両など)の建設・製造および輸送に伴う排出
3.スコープ1,2に含まれないエネルギー関連活動 207 シャープグループが他者から調達している電気や熱などの生成に必要な燃料の調達(資源採取、生産および輸送)に伴う排出
4.輸送・流通(上流) 203 シャープグループの部材、生産した製品の輸送に伴う排出
5.事業から発生する廃棄物 2 シャープグループの廃棄物処理に伴う排出
6.出張 2 シャープ(株)の全従業員の出張に伴う排出
7.従業員の通勤 5 シャープ(株)の全従業員の通勤に伴う排出
8.リース資産(上流) スコープ1,2の排出量に含む
9.輸送・流通(下流) 29 シャープグループが当該年度に販売した主要製品※2の小売店から最終消費者までの輸送に伴う排出
10.販売した製品の加工 260 シャープグループの製品出荷先での加工に伴う排出
11.販売した製品の使用 25,800 シャープグループが当該年度に販売した主要製品※2の使用に伴う排出※3
12.販売した製品の廃棄 3 シャープ(株)が日本で販売した家電4品目※4のリサイクル処理に伴う排出
13.リース資産(下流) 対象外
14.フランチャイズ 対象外
15.投資 対象外
スコープ3 計 29,864
スコープ1+2+3 合計 30,989
  • ※2 薄型テレビ、エアコン、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機、空気清浄機、PCI発生機、レンジ、複写機・複合機、太陽電池モジュール
  • ※3 各製品の年間消費電力量×販売台数×製品寿命×CO2排出係数。
  • ※4 テレビ(ブラウン管・薄型)、エアコン、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機。

事業活動に伴う温室効果ガス排出量の削減

2022年度の目標 2022年度の実績 自己評価 2025年度目標
  • 温室効果ガス排出量:4.2%以上削減
    (基準年:2021年度)
  • 温室効果ガス排出量:17.6%削減
    (基準年:2021年度)
★★
  • 温室効果ガス排出量:16.8%削減(基準年:2021年度)
  • 自己評価: ★★★ 目標を上回る成果があった  ★★ 目標を達成  ★ 一定の成果があった

シャープは、長期環境ビジョン「SHARP Eco Vision 2050」の下、2050年に「自社活動によるCO2排出量ネットゼロ」を目指しています。また、長期環境ビジョンの達成に向け、CO2排出量を2030年までに40%削減、2035年までに60%削減という中期環境目標を設定し、事業活動に伴う温室効果ガス排出量の削減に取り組んでいます。2022年度のシャープグループの事業活動に伴う温室効果ガス排出量は、前年度比17.6%減少の1,125千t-CO2となりました。

各工場では生産設備をはじめ、電気・ガス・水などを供給するユーティリティ設備に至るまで、あらゆる設備に踏み込んでエネルギー使用の効率化を推進し、温室効果ガスの排出量を削減しています。特に液晶ディスプレイや電子部品などを製造する工場は多くのエネルギーを消費することから、生産・技術・環境部門が連携して固定エネルギーの削減に取り組んでおり、インバーター※1機器の導入やクリーンルーム※2空調の最適化などを実施しています。

今後も、設定した目標の達成に向け、自社工場/事業所への太陽光発電システムやFEMS※3の導入、生産ラインの効率化、ユーティリティ設備における省エネ機器の導入などに積極的に取り組んでいきます。

  • ※1 モーターの回転数を制御する装置。
  • ※2 温度・湿度・清浄度が一定に保たれた部屋。
  • ※3 Factory Energy Management System.

シャープグループの温室効果ガス排出量の推移

  • ※4 2022年6月に完全子会社化した堺ディスプレイプロダクト(株)の2021年度の排出量を含む。
  • ※5 HFC類、PFC類、六フッ化硫黄(SF6)、三フッ化窒素(NF3)。

温室効果ガス排出量の地域別内訳(2022年度)

取り組み事例

生産工程における温室効果ガス削減の取り組み

亀山工場(三重県亀山市)では、生産工程で使用した純水は全て回収して不純物を取り除き、再び純水を製造して生産工程で再利用しています。これまでは同じ生産工程であっても装置によって純水の使用量が異なっていましたが、各装置の「条件の見直し」や「品質確認」を繰り返し行い、純水の使用量を統一しました。このことにより、純水を製造する際の電力使用量を削減し、年間約187t-CO2の温室効果ガス削減につながりました。

製品のライフサイクルアセスメント

製品のライフサイクルを通じた環境負荷の把握と低減

製品のライフサイクル※1における環境負荷をCO2排出量に換算して定量的に把握するライフサイクルアセスメント(LCA)を実施し、その分析結果を製品企画・開発に活用しています。

一般的に家電製品は「使用時」の環境負荷が大きいことから、省エネ性能の向上に注力することで環境負荷の低減を効果的に進めています。 4K※2液晶テレビにおいては、省エネ性能の向上とともに製品の軽量化にも取り組み、環境負荷の低減を実現しました。

4K液晶テレビのLCAデータ

  • ※1 素材などの調達から、製造、輸送、使用、廃棄、リサイクルまでの製品の生涯。
  • ※2 現在放送されているフルハイビジョン(1,920×1,080ピクセル:約207万画素)に比べて4倍の解像度(3,840×2,160ピクセル:約829万画素)をもつ、高精細な映像規格。
  • ※3 使用時のCO2排出量は電気事業低炭素社会協議会公表のCO2排出係数(調整後)を使用して算出。

再生可能エネルギーの活用

シャープは脱炭素社会の実現に貢献するため、国内外の生産拠点への太陽光発電システムの導入やグリーン電力の利用など、再生可能エネルギーの活用を進めています。2022年度はタイとインドネシアの工場に新設した太陽光発電システムの稼働により、発電量は506万kWhと大幅に増え、グリーン電力の購入量は518万kWhでした。

これは日本の一般家庭の約3千世帯分の年間消費電力量※4に相当します。今後も、再生可能エネルギーの更なる活用拡大に取り組んでいきます。

  • ※4 電気事業連合会調べのデータより算出

国内外の太陽光発電システム導入状況

生産拠点の屋根に設置された太陽光発電システム(左:亀山 右:NSEC)

取り組み事例

住宅用太陽電池モジュール「BLACKSOLAR ZERO」が令和4年度「新エネ大賞」の「新エネルギー財団会長賞」を受賞

シャープの住宅用太陽電池モジュール「BLACKSOLAR ZERO」が、一般財団法人「新エネルギー財団」が主催する令和4年度「新エネ大賞」(後援:経済産業省)の【商品・サービス部門】において「新エネルギー財団会長賞」を受賞しました。

「新エネ大賞」は、太陽光などの新エネルギーの導入促進を目的に、新エネルギーなどに関する機器・サービスの開発や分散型エネルギーの活用事例について、優れたものを表彰する制度です。

「BLACKSOLAR ZERO」は、屋根の大きさや形状に合わせてサイズ・形状の異なる4機種のモジュールを組み合わせる「ルーフィット設計」により、さまざまな屋根形状に合わせて効率良く設置することができるため、発電容量の最大化を図れます。都市部や市街地などのスペースが限られた屋根や複雑な形状の屋根においても、より多くの発電容量を設置することが可能です。

また、全4機種においてモジュール部品を黒色化することにより、黒を基調とした一体感のあるデザインを実現しました。屋根に設置した際に隣り合うモジュール同士のつなぎ目が目立たず、屋根に美しく調和するデザインを実現したことなども評価され、今回の受賞に至りました。

今後も、太陽光発電システムや蓄電池システムの普及に貢献し、クリーンエネルギーの更なる創出と拡大に貢献していきます。

「BLACKSOLAR ZERO」の設置イメージ

取り組み事例

生産拠点への太陽光発電システムの導入

シャープの生産拠点では、太陽光発電システムを導入して再生可能エネルギーを活用し、脱炭素社会の実現に貢献しています。2022年12月、タイの生産拠点SATLでは約2.45MW-dcの太陽光発電システムを設置しました。年間予測発電量は約3,480MWhを見込み、工場の電力使用量の約10%を賄います。また、2023年1月に中国の生産拠点SOCCでは約4.73MW-dcの太陽光発電システムを設置しました。年間予測発電量は約4,950MWhを見込み、工場の電力使用量の約50%を賄います。今後も、再生可能エネルギーの活用を積極的に進めます。

生産拠点の屋根に設置された太陽光発電システム(左:中国・SOCC 右:タイ・SATL)

輸送における環境負荷低減

日本国内輸送における環境負荷低減

シャープは、「省エネ法※1」で求められる「エネルギー消費原単位の年平均1%以上改善」への遵守はもとより、環境負荷と輸送コストの抑制に向け、日本国内のシャープグループ全体で取り組んでいます。

2022年度の国内シャープグループの貨物輸送に伴う温室効果ガス排出量は前年度比34%減少の10千t-CO2となり、シャープ(株)の直近5年間(2018~2022年度)のエネルギー消費原単位は年平均8.6%の改善となりました。また、モーダルシフト※2に継続的に取り組み、トラック輸送から船舶(内航船)や鉄道(JRコンテナ)など環境負荷の低い輸送への切り替えを進めています。さらに、輸入製品を各地域での販売比率に応じて最適港に陸揚げすることで物流拠点間での再輸送を抑制するなど、輸送における環境負荷の低減に取り組んでいます。シャープは輸送において、国土交通省ならびに公益社団法人鉄道貨物協会が制定する「エコレールマーク※3」の企業認定を取得しています。

  • ※1 エネルギーの使用の合理化等に関する法律
  • ※2 貨物輸送をトラック輸送から環境負荷の低い船舶・鉄道輸送に切り替えること。
  • ※3 鉄道貨物輸送を一定以上利用している企業や製品に対して認定され、製品パッケージやカタログなどへのマークの表示を通じて、環境に配慮した輸送手段を採用していることを周知。

貨物輸送に伴う温室効果ガス排出量の推移(日本国内)

「エコレールマーク」認定証

海外輸送における環境負荷低減

シャープは、海外輸送に伴う温室効果ガス排出量の削減にも取り組んでいます。具体的には、モーダルシフトの推進による航空輸送の削減や積載効率の向上に加え、生産拠点と消費地を結ぶ海上ルートおよび陸揚げ地の最適化、さらには工場により近いサプライヤーからの部品調達に切り替えるなど、幅広い取り組みを進めています。

2022年度のシャープの海外輸送に伴う温室効果ガス排出量は、138千t-CO2となりました。