CSR・環境

気候変動

気候変動と事業の関わり

気候関連のリスクと機会への取り組み

現在、「パリ協定」をはじめ脱炭素化に寄与するさまざまな取り組みが進められています。2017年には、金融システムの安定化を図る国際的組織である金融安定理事会(FSB)によって設置された気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)により、企業のリスクと機会についての情報開示を求める提言が公開されました。

シャープは、気候変動に関する「リスク」と「機会」を重要な経営課題と認識しています。リスクと機会を検討するためのガバナンスとして、各カンパニー長・事業本部長などの経営幹部が出席する「シャープSER委員会」を設置し、中長期にわたってのリスクと機会を網羅的に評価しています。シャープでは、TCFDが定めるリスク項目に沿って、気候関連のリスクを「脱炭素経済への移行に伴うリスク」「気候変動の物理的影響がもたらすリスク」に分類し、検討を進めています。また、製品やサービスの提供を通じて気候変動の緩和に取り組むことを機会と位置づけ、取り組みを進めています。

脱炭素経済への移行に伴うリスク

シャープは、日本、中国、アジア地域、米州、欧州などグローバルに生産拠点を有しており、現在の規制では炭素税の影響が考えられます。パリ協定以降の気候変動問題への関心の高まりなどにより、日本では「地球温暖化対策のための税」の税率引き上げの可能性があります。シャープは日本国内工場のエネルギー使用比率が全体の約75%を占めており、大きな影響を受けるリスクがあります。シャープはこれらのリスクに対して、生産の効率化や省エネルギー化を進めることにより、コスト負担の軽減や最小化を図っています。また、製品においてもエネルギー効率の基準や規制を満たしていない場合、市場での販売機会を失うリスクになるため、既存の規制や基準の遵守を徹底するとともに、常に法規制動向の把握に努め、政策立案の機会などにも参画しています。

気候変動の物理的影響がもたらすリスク

気候変動に起因する台風の大型化や降水量の増加による災害は、シャープの生産拠点やサプライヤーに影響を与えることが予想されます。生産拠点などが被災した場合、稼働停止や従業員の生活に被害が生じたり、サプライヤーからの部品供給が寸断されたりすることが事業継続のリスクになると考えています。シャープは、洪水被害が起こりやすい東南アジアに複数の生産拠点を有しており、2011年にタイで発生した洪水においては、白物家電を生産している工場などで被害が発生しました。水害の恐れがある拠点では補強工事を実施するとともに、複数調達先の確保や災害発生時の対応マニュアル整備などの対策を図っています。

気候関連の機会

シャープは、事業活動を通じて気候変動の緩和に取り組むことが機会をもたらすと考えています。長期環境ビジョン「SHARP Eco Vision 2050」の目標のひとつに「サプライチェーン全体で消費するエネルギーを上回るクリーンエネルギーを創出」を設定し、クリーンエネルギーの創出拡大を推進しています。また、省エネルギー性能の向上を含む環境配慮型製品の開発に積極的に取り組んでおり、高効率な製品・サービスを提供しています。

GHGプロトコルに基づく温室効果ガス排出量

シャープはGHGプロトコル※1に基づく温室効果ガス排出量を算出し、サプライチェーンを含めたシャープの事業活動およびシャープ製品の使用による温室効果ガス排出量の抑制に取り組んでいます。

  • ※1 世界の有力企業が加盟する「持続可能な発展のための世界経済人会議(WBCSD)」と米シンクタンク「世界資源研究所(WRI)」が定めた温室効果ガス排出量を算出するための国際基準

スコープ1,2,3の温室効果ガス排出量(2018年度)

カテゴリ 排出量
(千t-CO2
備考
スコープ1(事業活動からの直接的な温室効果ガス排出) 265 燃料などの使用に伴う排出
スコープ2(事業活動でのエネルギー使用による間接的な温室効果ガス排出) 812 電力などの使用に伴う排出
スコープ1+2 計 1,077
スコープ3(事業活動範囲外での間接的な温室効果ガス排出) 1. 購入した物品、サービス 3,305 シャープグループが当該年度に販売した主要8品目※2の調達部材の生産に関わる排出
2. 資本財 152 シャープグループの資本財(設備、機器、建物、施設、車両など)の建設・製造および輸送に伴う排出
3. スコープ1,2に含まれないエネルギー関連活動 99 シャープグループが他者から調達している電気や熱などの生成に必要な燃料の調達(資源採取、生産および輸送)に伴う排出
4. 輸送・流通(上流) 200 シャープグループの部材、生産した製品の輸送に伴う排出
5. 事業から発生する廃棄物 3 シャープグループの廃棄物処理に伴う排出
6. 出張 11 シャープ(株)の全従業員の出張に伴う排出
7. 従業員の通勤 11 シャープ(株)の全従業員の通勤に伴う排出
8. リース資産(上流) スコープ1,2の排出量に含む
9. 輸送・流通(下流) 33 シャープグループが当該年度に販売した主要8品目※2の小売店から最終消費者までの輸送に伴う排出
10. 販売した製品の加工 79 シャープグループの製品出荷先での加工に伴う排出
11. 販売した製品の使用 27,489 シャープグループが当該年度に販売した主要8品目※2の使用に伴う排出※3
12. 販売した製品の廃棄 3 シャープ(株)が日本で販売した家電4品目※4のリサイクル処理に伴う排出
13. リース資産(下流) 対象外
14. フランチャイズ 対象外
15. 投資 対象外
スコープ3 計 31,385
スコープ1+2+3 合計 32,462
  • ※2 液晶テレビ、エアコン、冷蔵庫、洗濯機、空気清浄機、レンジ、複写機・複合機、太陽電池モジュール
  • ※3 各製品の年間消費電力量 × 販売台数 × 製品寿命 × CO2排出係数
  • ※4 テレビ(ブラウン管・薄型)、エアコン、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機

事業活動に伴う温室効果ガスの排出抑制

2018年度の目標 2018年度の実績 自己評価
  • エネルギー消費原単位改善率:20%
    (基準年:2012年度)
  • エネルギー消費原単位改善率:17%
    (基準年:2012年度)
2019年度の重点取り組み目標
  • エネルギー消費原単位改善率:20%
    (基準年:2012年度)
  • 自己評価 ★★★:目標を上回る成果があった ★★:目標を達成 ★:一定の成果があった

シャープグループの温室効果ガス排出量を抑制

シャープは脱炭素社会の実現に貢献するため、事業活動に伴う温室効果ガス排出量の抑制に取り組んでいます。2018年度のシャープグループの温室効果ガス排出量は、M&Aによる子会社の取得により集計範囲が拡大したことなどにより、前年度比14.6%増加の1,077千t-CO2となりました。また、2012年度比のエネルギー消費原単位改善率は17%にとどまりました。

各工場では生産設備をはじめ、電気・ガス・水などを供給するユーティリティ設備に至るまであらゆる設備に踏み込んでエネルギー使用の効率化を推進し、温室効果ガスの排出量を抑制しています。特に液晶ディスプレイや電子部品を製造する工場では、生産・技術・環境部門が連携して固定エネルギーの削減に取り組んでおり、インバーター※1機器の導入やクリーンルーム※2空調の最適化などを実施しています。今後は、省エネ施策のさらなる推進と事業拡大に伴う生産効率の向上を目指します。

  • ※1 モーターの回転数を制御する装置
  • ※2 温度・湿度・清浄度が一定に保たれた部屋

温室効果ガス排出量の推移

エネルギー消費原単位の推移(2012年度基準)

  • ※3 HFC類、PFC類、六フッ化硫黄(SF6)、三フッ化窒素(NF3

温室効果ガス排出量の地域別内訳(2018年度)

取り組み事例

亀山工場の「液晶半導体工場における外調機を中心とした省エネ活動」が平成30年度省エネ大賞「省エネルギーセンター会長賞」を受賞

亀山工場(三重県亀山市)の「液晶半導体工場における外調機を中心とした省エネ活動」が「平成30年度省エネ大賞」(主催:一般財団法人 省エネルギーセンター、後援:経済産業省)の省エネ事例部門で「省エネルギーセンター会長賞」を受賞しました。本賞は、省エネルギー意識の浸透や省エネルギー製品の普及促進などに寄与することを目的として、優れた省エネルギー性を有する製品やビジネスモデルを表彰する制度です。

本活動は、生産技術部門と環境部門が一体となって組織横断的に省エネを進めた結果、原油換算で年間5,485klの削減を実現したこと、3年間で194件のさまざまな施策により事業所全体で7.2%のエネルギ-削減を達成したことが評価されました 。 亀山工場では「平成26年度省エネ大賞」の省エネ事例部門「経済産業大臣賞」受賞以来、2度目の受賞となりました。

外調機関連の主な施策

  • インバーター取り付け
    外調機にインバーターを設置、風量調整していたダンパーの圧力損失を改善し、消費電力を削減
  • 熱回収量増加
    冬期、熱負荷の多い系統から冷水コイルへ流すことで熱回収量を増加させ、冷温水負荷を削減
  • 圧力損失改善
    外調機の運転台数を増やし、1台当たりの風量を減らして圧力損失を改善し、消費電力を削減
  • 水膜・除湿ドレン水の再利用
    外調機から出る水膜・除湿ドレン水を再利用し、冷水負荷・水使用量を削減

表彰状とトロフィー

再生可能エネルギーの活用

シャープは脱炭素社会の実現に貢献するため、国内外の生産拠点に太陽光発電システムを導入し、再生可能エネルギーの活用を進めています。2018年度の発電量は904万kWhでした。これは日本の一般的な家庭の約3千世帯分の年間消費電力量※1に相当します。今後もさらなるCO2排出削減に取り組んでいきます。

  • ※1 電気事業連合会調べのデータより算出

生産拠点の屋根に設置された太陽光発電システム(左:亀山工場 右:中国・NSEC)

製品のライフサイクルを通じた環境負荷の把握と低減

製品のライフサイクル※2における環境負荷をCO2排出量に換算して定量的に把握するライフサイクルアセスメント(LCA)を実施し、環境負荷の低減に取り組んでいます。

液晶テレビをはじめとする家電製品は「使用時」の環境負荷が大きいことから、省エネ性能の向上に注力することで環境負荷の低減を効果的に進めています。

液晶テレビのLCAデータ

  • ※2 素材などの調達から、製造、輸送、使用、廃棄、リサイクルまでの製品の一生
  • ※3 使用時のCO2排出量は電気事業低炭素社会協議会公表のCO2排出係数(調整後)を使用して算出
取り組み事例

スマート蓄電池システムが平成30年度省エネ大賞「省エネルギーセンター会長賞」を受賞

当社のスマート蓄電池システム<JH-FBCC01/JH-FBCC02/JH-FBCC03>が「平成30年度省エネ大賞」(主催:一般財団法人 省エネルギーセンター、後援:経済産業省)の製品・ビジネスモデル部門で「省エネルギーセンター会長賞」を受賞しました。本賞は、省エネルギー意識の浸透や省エネルギー製品の普及促進などに寄与することを目的として、優れた省エネルギー性を有する製品やビジネスモデルを表彰する制度です。

スマート蓄電池システムは、工場やオフィスビル、店舗などに設置し、電気の使用状況に応じて蓄電池の充放電をきめ細かく制御します。通常、多くの電気を使用する施設では、電力会社と高圧受電契約※1を結んでおり、過去1年間における最大の使用電力(最大デマンド※2)を基準に基本料金が設定※3されます。本システムは、消費電力が上昇したタイミングで蓄電池から放電し、最大デマンドを抑えることで、基本料金の削減に貢献できるとして受賞しました。また、太陽電池が発電する直流の電気をインバーターやコンバーターなどの変換機器を介さずにダイレクトに蓄電することで、変換ロスなどを最小限に抑えられる点も高く評価されました。

  • ※1 6,000V以上の電圧で電力供給を受ける契約のこと(送電時の電圧は、電力会社により異なります)。
  • ※2 30分ごとの平均使用電力で、その月で最も大きな値を指します。
  • ※3 電力会社や契約内容により、異なる場合があります。

スマート蓄電池システム<JH-FBCC02>
左:蓄電池 中央:ハイブリッドパワーコンディショナ 右:電力量計測盤

取り組み事例

ベトナム初※1の太陽光発電所(メガソーラー)の運転が開始

2018年9月、ベトナム初の太陽光発電所(メガソーラー)の運転が開始されました。本発電所は、シャープエネルギーソリューション株式会社※2が、Thanh Thanh Cong Group(以下、TTCグループ)※3や、TTCグループ傘下のGia Lai Electricity Joint Stock Company※4などと共同で同国のトゥアティエン・フエ省に建設しました。2018年10月には同国の工商省や内務省などの関係者を招き、発電所内の特設会場で竣工式が行われました。

本発電所の出力規模は約48MW-dcで、これはベトナムの一般的な家庭の約32,628世帯分の年間消費電力量※5に相当します。当社は、本発電所のほかにも同国のビントゥアン省とロンアン省に、それぞれ約49MW-dcの太陽光発電所をTTCグループなどと共同で建設し、2019年5月から運転を開始しています。今後もベトナムにおける再生可能エネルギーのさらなる普及拡大に貢献していきます。

  • ※1 2018年10月10日現在、シャープ調べ
  • ※2 太陽光発電システムの販売および電気設備工事などのエネルギーソリューション事業を担うシャープ株式会社の子会社
  • ※3 不動産、エネルギー、農業、教育などを手掛ける複合企業
  • ※4 太陽光、水力、風力発電などの再生可能エネルギー事業の中核を担う、TTCグループ傘下の合弁企業
  • ※5 1世帯当たり1,887kWh/年で算出

運転を開始した太陽光発電所

輸送における環境負荷低減

2018年度の目標 2018年度の実績 自己評価
  • エネルギー消費原単位:
    年平均1%以上改善(2014~2018年度)
  • エネルギー消費原単位:
    年平均3%改善(2014~2018年度)
★★★
2019年度の重点取り組み目標
  • エネルギー消費原単位:
    年平均1%以上改善(2015~2019年度)
  • 自己評価 ★★★:目標を上回る成果があった ★★:目標を達成 ★:一定の成果があった

日本国内輸送における環境負荷低減

シャープは、省エネ法で求められる「エネルギー消費原単位の年平均1%以上改善」の遵守はもとより、環境負荷と輸送コストの抑制に向け、日本国内のシャープグループ全体で取り組んでいます。

2018年度の日本国内シャープグループの貨物輸送に伴う温室効果ガス排出量は前年度比16%増加の19千t-CO2となりましたが、シャープ(株)の直近5年間(2014~2018年度)のエネルギー消費原単位は年平均3%の改善となりました。また、モーダルシフト※1に継続的に取り組み、トラック輸送から船舶(内航船)や鉄道(JRコンテナ)など環境負荷の低い輸送への切り替えを進めています。さらに、輸入製品を各地域での販売比率に応じて最適港に陸揚げすることで物流拠点間での再輸送を抑制するなど、輸送における環境負荷の低減に取り組んでいます。シャープは輸送において、国土交通省ならびに公益社団法人鉄道貨物協会が制定する「エコレールマーク※2」の企業認定を取得しています。

  • ※1 貨物輸送をトラック輸送から環境負荷の低い船舶・鉄道輸送に切り替えること
  • ※2 鉄道貨物輸送を一定以上利用している企業や製品に対して認定され、製品パッケージやカタログなどへのマークの表示を通じて、環境に配慮した輸送手段を採用していることを周知

貨物輸送に伴う温室効果ガス排出量の推移(日本国内)

「エコレールマーク」認定証

海外輸送における環境負荷低減

シャープは、海外輸送に伴う温室効果ガス排出量の抑制に取り組んでいます。具体的にはモーダルシフトの推進による航空輸送の削減や積載効率の向上に加え、生産拠点と消費地を結ぶ海上ルートと陸揚げ地の最適化、さらには工場により近いサプライヤーからの部品調達に切り替えるなど、幅広い取り組みを進めています。2018年度のシャープの海外輸送に伴う温室効果ガス排出量は、前年度比16%削減の157千t-CO2となりました。