資源循環

事業活動に伴う廃棄物の排出抑制・再資源化

2022年度の目標 2022年度の実績 自己評価 2023年度の重点取り組み目標
  • 最終処分率:0.5%未満
  • 最終処分率:0.43%
★★★
  • 最終処分率:0.5%未満
  • 自己評価: ★★★ 目標を上回る成果があった  ★★ 目標を達成  ★ 一定の成果があった

シャープグループの廃棄物等発生量の削減

シャープはサーキュラーエコノミーの実現に貢献するため、廃棄物の排出抑制と再資源化に取り組んでいます。

2022年度のシャープグループの廃棄物等発生量は、更新後の設備の廃棄や生産の拡大などに伴い、前年度比27%減少の86千tとなりました。再資源化量は前年度比15%減少の62千tでした。一方、海外拠点の最終処分率の削減に重点的に取り組んだ結果、シャープグループの最終処分率が0.43%となり、グローバルでのゼロエミッション※1を達成することができました。

今後も、海外拠点の廃棄物削減取り組みを一層強化し、グローバルでのゼロエミッションを継続します。

  • ※1 シャープでは、廃棄物最終処分率0.5%未満をゼロエミッションと定義しています。
    廃棄物最終処分率(%) = 最終処分量 ÷ 廃棄物等発生量

シャープグループの廃棄物等発生量の推移

再資源化量の推移

廃棄物等発生量の地域別内訳(2022年度)

最終処分率の推移

PCB廃棄物の適正な保管・管理

シャープは「PCB※2特別措置法」に基づき、PCB廃棄物の適正な保管と管理を徹底しています。高濃度PCB廃棄物については2022年度に全ての処理が完了しました。残る低濃度PCB廃棄物についても早期の無害化処理完了に向けて計画的に処理を進めています。

  • ※2 ポリ塩化ビフェニル
取り組み事例

プラスチック消費量削減への取り組み

フィリピンの生産販売拠点SPCでは、液晶テレビの生産工程から排出されるポリ袋の再利用による資源循環に取り組んでいます。部材などを梱包していたポリ袋は、これまで産業廃棄物として処理していましたが、 袋を回収する工程を導入し、回収した袋を出荷時の梱包工程で再利用しています。この取り組みにより、ポリ袋の使用量を月平均で約12,000枚削減することができました。

部材などの開梱

開梱時のポリ袋を回収・再利用のための準備

使用済み製品のリサイクルの推進

2022年度の目標 2022年度の実績 自己評価 2023年度の重点取り組み目標
  • 洗濯機モーターコアの素材別回収の推進
  • 洗濯機モーターコアの巻線回収にアーム型多軸ロボットを導入し、巻線素材(銅・アルミ)回収の自動化を実現
★★★
  • エアコン室内機の処理効率向上
  • 自己評価: ★★★ 目標を上回る成果があった  ★★ 目標を達成  ★ 一定の成果があった

使用済み製品のリサイクルに対する考え方

シャープは、限りある資源の有効活用により持続可能な社会の実現に貢献するため、世界各国・地域のリサイクル法規制を遵守し、使用済み製品の回収とリサイクルを積極的に推進しています。

<日本国内>
家電4品目(エアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機)のリサイクルを推進

シャープは家電リサイクルBグループ※1の一員として、全国17か所のプラントで高効率リサイクルシステムを構築・運用しています。2022年度の当社家電4品目の引取台数は約2,314千台(前年度比99%)、再商品化重量は約69千t(前年度比99%)でした。なお、再商品化率は、特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)で定められている法定基準を4品目とも上回っています。

  • ※1 シャープ(株)、ソニー(株)、日立グローバルライフソリューションズ(株)、(株)富士通ゼネラル、三菱電機(株)などで構成。

当社家電4品目の再商品化等実施状況(2022年度)

値は全て小数点以下を切捨て

  単位 エアコン ブラウン管
テレビ
薄型
テレビ
冷蔵庫・
冷凍庫
洗濯機・
衣類乾燥機
合計
指定引取場所での引取台数 千台 331 87 957 470 466 2,314
再商品化等処理台数 千台 336 88 964 476 478 2,344
再商品化等処理重量 t 13,707 1,943 15,296 28,330 19,091 78,367
再商品化重量 t 13,087 1,444 13,334 22,832 17,998 68,695
再商品化率 % 95 74 87 80 94
法定再商品化率 % 80 55 74 70 82

資源有効利用の取り組み

シャープは、関西リサイクルシステムズ(株)※2とともに資源の有効利用とリサイクル処理の効率化に取り組んでいます。

洗濯機のモーターには銅巻線が使用されており、銅などの素材を分別回収することで資源価値が高まります。従来の設備は、銅巻線を回転刃で切断して回収していましたが、切断時に発生する切粉が設備トラブルの原因や作業者の健康被害への懸念となっていました。また、銅との混入を避けるため、近年増加しているアルミ巻線のモーターは別工程の手作業で解体していました。

2022年度にアーム型多軸ロボットを導入し、銅巻線とアルミ巻線のモーターをそれぞれ専用の切断装置で切断・回収できるようになり、この工程の自動化を実現しました。また、切粉が出ない切断方式に変更したことで作業環境が大きく改善しました。1台の設備で銅とアルミの分別処理ができるようになったことで、モーター1個当たりの処理時間を約30%短縮することができました。

  • ※2 シャープ(株)と三菱マテリアル(株)など6社が共同で出資している家電リサイクル会社。

アーム型多軸ロボットの導入で工程を自動化

回収した銅巻線

リサイクル設計研修の実施

シャープでは、製品ライフサイクルを考慮したモノづくりを推進することを目的として、主に製品の企画・設計担当者を対象としたリサイクル設計研修を実際のリサイクルの現場である関西リサイクルシステムズ(株)の協力を得て実施しています。2023年4月には白物家電の担当者など13名が受講しました。

研修では、設計の段階でリサイクルに配慮して設計することの重要性や、プラスチックのマテリアルリサイクルを推進するための考え方、リサイクル工場の見学などを行いました。また、実際に10年以上使用された全自動洗濯機の解体実習を行い、ねじ締めなどの固定方法によって解体性が異なることや、単一素材にまで分解することの大切さを実感してもらいました。

受講者からは「リサイクル現場への配慮の必要性が理解できた」「品質とリサイクル性の両立に取り組んでいきたい」などの声が聞かれました。今後も、材料選択からリサイクルまでを考慮したモノづくりが進められるよう、社内意識の醸成を進めていきます。

座学研修

全自動洗濯機の解体実習

複写機・複合機のリユース・リサイクルの推進

シャープは、自社流通ルートおよび業界共同ルートで回収した使用済み複写機・複合機のリユース・リサイクルを進めています。また、使用済みのトナーカートリッジを回収し、新品同等の品質に再生して出荷する取り組みを進めており、設計段階からリサイクル性に配慮することで使用時の耐久性と再生時の加工時間短縮を実現しています。

海外における使用済み製品のリサイクル

<北米>

米国の生産販売拠点SECは、家電リサイクル管理会社MRM(Electronic Manufacturers Recycling Management Company, LLC)※1を2007年に設立し、AV機器のリサイクルを行っています。取り組みは全米に拡大しており、使用済み製品の回収拠点を約2,900か所に設置しています。MRM社では各州法規制への適切な対応を図っており、2022年度は60,000tの使用済み家電をリサイクルしました。

  • ※1 パナソニック・ノース・アメリカ、東芝アメリカ家電社との合弁会社。

<欧州>

WEEE指令(2012/19/EU)※2は、EU域内に出荷した製品の回収・リサイクルなどに対する製造者責任を規定しています。欧州の各販売拠点はEU域内の販売地域において、優良なリサイクル業者と協力してこの責務を果たしています。また、包装材や電池規制にも確実に対応することで、埋め立てられる廃棄物の削減にも貢献しています。

英国の販売拠点SBSUKは、2022年度の廃棄物の最終処分量ゼロ達成が評価され、「グリーンパス埋立地活用賞(Green Path Landfill Diversion award)」を受賞しました。

  • ※2 廃電気電子機器に関する指令。

Green Path Landfill Diversion Awardのロゴマーク

<ベトナム>

ベトナムでは、2017年にリサイクル法が導入されて以降、生産者や輸入者はベトナム国内で販売した製品に対する回収スキームの構築が義務付けられています。ベトナムの販売拠点SVNは、ベトナム国内に開設した回収拠点で使用済み製品を回収し、認可を受けたリサイクル業者によって適切に処理しています。

<インド>

インドでは、2016年に施行、2022年に改正された廃電気電子機器(管理)規則により、製造者などの関係者に使用済み電子・電気機器の適切な処理が義務付けられています。インドの販売拠点SBIは、現地のリサイクル業者 3R Recycler社と提携して使用済み製品のリサイクルを推進しています。

また、2016年に施行されたプラスチック廃棄物管理規則に基づき、生産者、輸入者、販売者、地方自治体などにプラスチック廃棄物の適切な処理が義務付けられています。SBIは現地のNGO「Indian Pollution Control Association」と提携し、プラスチック廃棄物の回収とリサイクルを実施しています。

資源循環型社会に貢献する環境技術

2022年度の目標 2022年度の実績 自己評価 2023年度の重点取り組み目標
  • 難燃ポリプロピレンリサイクル材の実用化
  • 環境対応型ハロゲンフリー難燃リサイクル材の基礎開発
  • 難燃ポリプロピレンリサイクル材をセラミックファンヒーターの内部部品に採用
  • 環境対応型ハロゲンフリー難燃リサイクル材の実現可能性調査を完了
★★
  • 環境対応型ハロゲンフリー難燃ポリスチレン(PS)リサイクル材の難燃化処方開発
  • 自己評価: ★★★ 目標を上回る成果があった  ★★ 目標を達成  ★ 一定の成果があった

プラスチックの自己循環型マテリアルリサイクル技術の拡大

使用済みプラスチックを新しい製品の原料として再生利用するマテリアルリサイクルは、日用品や雑貨などに再利用する「オープンマテリアルリサイクル」が一般的です。その大半は1度きりの再利用であり、再利用後は一般ごみとして廃棄されてしまいます。

一方、シャープは限りある資源の有効活用と廃棄物削減に向けて、使用済み家電製品から回収したプラスチックを新しい家電製品の部材として何度も繰り返し再生利用可能な「自己循環型マテリアルリサイクル技術」を関西リサイクルシステムズ(株)※1と共同で開発し、特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)が施行された2001年度より実用化しています。

金属や種類の異なるプラスチックが混在する混合プラスチックからポリプロピレン(PP)を高純度に取り出す「高純度分離回収」技術や、回収したPP・HIPS※2・PC+ABS※3などの素材を新品材料と同等の特性に改善する「特性改善処方」技術を通じて再生利用可能なプラスチック量の増大に取り組んでいます。また、独自の「特性付与処方」技術を用いて難燃性や耐候性、抗菌性などをもつ高付加価値材料を開発し、用途拡大にも取り組んでいます。さらに、最適な品質を確保するための「品質管理」技術など、回収から品質管理まで一貫した技術開発を手掛けることで高品位な再生プラスチックを生成するリサイクルを実現しています。

  • ※1 シャープ(株)と三菱マテリアル(株)など6社が共同で出資している家電リサイクル会社。
  • ※2 耐衝撃性ポリスチレン、汎用ポリスチレン(GPPS)にゴム成分を加えて耐衝撃性を付与した樹脂。
  • ※3 ポリカーボネートとアクリロニトリル・ブタジエン・スチレンのアロイ材(複数のポリマーを混合することで、新しい特性を持たせた樹脂)。

家電4品目から回収したプラスチックの再資源化フロー

  • ※4 複数の樹脂を分子レベルで均一、細かく分散させること。
  • ※5 複数の樹脂を混合することで新しい特性を持たせた樹脂のこと。

新たな価値を付与した再生プラスチックの開発

使用済みプラスチックによる環境汚染が深刻化する中、世界各国ではプラスチックの資源循環に関する法整備や規制が強化され、これまでの大量生産・大量消費・大量廃棄型の「線形経済」から、新たな資源の投入や消費を抑えつつ、廃棄物の発生を最小化した経済を目指す「サーキュラーエコノミー(循環経済)」への転換が進められています。一方、日本国内でもプラスチック製品のライフサイクル全般における資源循環を目指す「プラスチック資源循環促進法」が施行されるなど、使用済みプラスチックを取り巻く社会状況は大きく変化してきており、適正な処理と再資源化の重要性はますます高まっています。

このような状況を踏まえ、シャープは使用済みプラスチックの再資源化をさらに促進する取り組みとして、使用済みプラスチックを新材同等に再生し、新しい家電製品の同種部品に再利用する「水平リサイクル」に加え、再生プラスチックに新たな価値(難燃性、耐候性、高剛性など)を付与する「アップグレードリサイクル」の技術開発を推進しています。

2022年度は、使用済み家電製品から回収したポリプロピレンに、シャープ独自の処方技術を用いて、家電製品に要求される物性・難燃性・長期耐久性を付与した「難燃ポリプロピレンリサイクル材」の量産化技術を開発し、セラミックファンヒーターの内部部品に採用しました。

難燃ポリプロピレンリサイクル材は、回収したポリプロピレンに熱分解しやすい難燃剤と複数種の改質剤を高温条件下で混合する必要があるため、従来法による製造は難しい状況でしたが、今回開発した処方配合や加工プロセスの最適化により、高性能で高品質な難燃リサイクル材の量産が可能となりました。このリサイクル材は、金属の代替として電源や熱源周りなど高い安全性が必要な部品に利用可能なため、製品の軽量化や低コスト化とともに、再生プラスチックの用途拡大によるプラスチック廃棄物の発生抑制が期待できます。

今後の更なる取り組みとして、ハロゲン化合物など環境負荷物質を使用しないリサイクル材の開発を推進し、サーキュラーエコノミーの実現に貢献していきます。

  • メーカーによる設計・製造段階から廃棄に至るまでのプラスチック製品のライフサイクル全般において、包括的にプラスチック資源の循環を目指す(2022年4月1日施行)。

使用済みプラスチックのリサイクル方法

難燃ポリプロピレンリサイクル材の採用事例

難燃ポリプロピレンリサイクル材

セラミックファンヒーター

シャープの独自技術である「自己循環型マテリアルリサイクル技術」により開発した再生プラスチックは、2022年度発売モデルの冷蔵庫・エアコン・洗濯機・小型家電に採用し、その使用量は累計21千tに達しています(2001~2022年度実績)。

再生プラスチック累計使用量の推移

再生プラスチックの採用事例

冷蔵庫

洗濯機

エアコン

車載用プラズマクラスターイオン発生機

ハンディターミナル充電器

セラミックファンヒーター

製品 再生プラスチックの種類 パーツ名 原材料
冷蔵庫 PP 仕切り板 冷蔵庫 野菜ケース
ファンルーバー 冷蔵庫 野菜ケース
運搬取っ手 エアコン・冷蔵庫・洗濯機の部品
エバポレーターカバー 洗濯機 脱水槽、バランサー 他
難燃PS 基板ホルダー 薄型テレビ 背面キャビネット
+冷蔵庫トレイ
洗濯機 PP 水槽 洗濯機 水槽
エアコン PP 露カバー、モーター押さえ 洗濯機 脱水槽、バランサー 他
縦ルーバー、連動板 冷蔵庫 野菜ケース
難燃PS 基板ホルダー、基板スペーサー 薄型テレビ 背面キャビネット
+冷蔵庫トレイ
車載用プラズマクラスターイオン発生機 難燃PC+ABS 内部構造部品 薄型テレビ 背面キャビネット
ハンディターミナル充電器 難燃PC+ABS 充電器筐体 薄型テレビ 背面キャビネット
セラミックファンヒーター 難燃PP ケーシング エアコン・冷蔵庫・洗濯機の部品

環境配慮型製品事例

取り組み事例

再生プラスチック材の使用率を大幅に向上させたスマートフォン「AQUOS wish3」

シャープは、ベーシックモデルのスマートフォン「AQUOS wish3」を2023年7月に発売しました。“シンプルで飾らない”ライフスタイルに寄り添う「AQUOS wish」シリーズの第3弾として、より環境に配慮し、家族みんなに使いやすい機能を充実させました。

本機は「AQUOS wish」シリーズで好評のさらさらとした心地よい手触りの質感や、優しい風合いのカラーバリエーションを継承。手に取りやすいコンパクトサイズのシンプルなデザインに、防水・防塵・耐衝撃※1対応の丈夫さを兼ね備えました。

本体筐体の再生プラスチック材使用率を約60%へ向上※2。今回新たに、カメラ周辺や一部の内部パーツにも再生プラスチック材を採用※3しました。紙の使用量を削減した小型でシンプルなパッケージと合わせ、より環境に配慮しました。

また、スマホデビューする子ども向けの「ジュニアモード」を新搭載。使い過ぎを抑制できる「Google ファミリー リンク」や、もしもの時に電源キーを複数回押すことで緊急通報できる「緊急SOS」に対応するなど、安心機能が充実しています。さらに、大きく太い文字でシニア世代にも読みやすく表示できる「かんたんモード」も備え、家族みんなが快適に便利にお使いいただけます。

カメラには、当社フラッグシップモデル「AQUOS R7」の高画質化技術を応用した新画質エンジン「ProPix4 lite」を搭載。被写体やシーンを自動で検出し最適なモードで撮影できる「AIオート」や、逆光でもきれいに撮れる「オートHDR」も採用し、簡単にきれいな写真が撮影できます。

  • ※1 米国国防総省の調達基準(MIL-STD-810H)に準拠した試験を実施。すべての衝撃に対して、無破損、無故障を保証するものではありません。
  • ※2 当社2022年度モデル「AQUOS wish2」は再生プラスチック材を約35%使用。
  • ※3 筐体以外の部品の再生プラスチック材使用率は約35%です。

(左)AQUOS wish3(左から、ホワイト、ブラック、グリーン)/(右)リサイクルイメージ

水資源の有効活用

2023年度の目標
  • 受水量原単位改善率:10%(基準年:2021年度)

水資源に対する考え方

世界人口の増加、開発途上国の経済成長、気候変動などの問題により、世界規模で水資源問題が発生しています。シャープは「環境基本理念」の下、「シャープグループ企業行動憲章」および「シャープ行動規範」に定めた地球環境保全への取り組み方針に沿って、水資源の有効活用に取り組んでいます。特に、液晶ディスプレイや電子デバイスなどの製造における水資源の確保は事業継続上の重要課題として認識し、受水量の削減と循環利用を推進しています。

受水量の削減と循環利用の推進

2022年度のシャープグループの受水量は、前年度比6%減少の10.2百万m3となりました。シャープでは、水不足リスクによる事業継続への影響を最小化するため、世界資源研究所(WRI)が開発した評価ツール「Aqueduct」を用いて工場の水リスクを評価しています。リスクが最も高い地域にあるタイの生産拠点SATLでは、生産工程などで発生する排水のリサイクルによって受水量を削減しています。また、液晶ディスプレイなどの製造で大量の水を使用する亀山事業所(三重県亀山市)や三重事業所(三重県多気郡)では、工程排水を全量回収して再利用するクローズド・システムを導入しています。こうした取り組みにより、シャープグループは水の循環利用率60%以上を維持しています。今後も、グローバルでの水資源の有効活用に継続的に取り組むとともに、事業拡大に伴う効率向上を目指します。

なお、2022年度に水関連の法令違反による訴訟問題・罰金・科料はありませんでした。また、水に関する重大な事故の発生もありませんでした。

  • ※ 循環利用率 = 循環利用量 ÷(受水量+循環利用量)

シャープグループの受水量の推移

循環利用率の推移

受水量の地域別内訳(2022年度)

 

地域別 受水量・排水量内訳(2022年度)

(m3

地域 受水量※1 排水量 消費量※3 循環利用量
第三者より
購入した水※2
地下水 総量 地表水 下水 海水 地下水 総量
日本 7,018,688 757,353 7,776,041 3,800,411 343,123 1,990,662 0 6,134,196 1,641,845 21,063,228
アジア 974,903 14,854 989,757 36,561 532,347 0 0 568,908 420,849 115,310
中国 1,362,880 29,883 1,392,763 0 1,133,171 0 0 1,133,171 259,592 207,197
米州 12,301 0 12,301 0 12,301 0 0 12,301 0 0
欧州 8,401 0 8,401 0 8,160 0 0 8,160 241 0
合計 9,377,173 802,090 10,179,263 3,836,972 2,029,102 1,990,662 0 7,856,736 2,322,527 21,385,735

水ストレスランク※4別受水量内訳(2022年度)

水ストレスを伴う地域※5における受水量内訳(2022年度)

(m3

地域 第三者より
購入した水
地下水 地表水 海水 生産
随伴水
総量
日本 36,418 0 0 0 0 36,418
アジア 844,223 0 0 0 0 844,223
中国 123,689 0 0 0 0 123,689
米州 0 0 0 0 0 0
欧州 0 0 0 0 0 0
合計 1,004,330 0 0 0 0 1,004,330
  • ※1 地表水・海水・生産随伴水はいずれも0。
  • ※2 工業用水および上水。
  • ※3 消費量=総受水量-総排水量
  • ※4 Aqueductが地域ごとに定義
    ランク1(低リスク)~ランク5(高リスク)の5段階。
  • ※5 Aqueductの水ストレス評価がランク4以上の地域。
取り組み事例

「クローズド・システム」による水のリサイクル

三重事業所(三重県多気郡)では、ディスプレイの生産で使用する大量の水を半永久的にリサイクルする「クローズド・システム」を採用しています。 生産工程で発生した排水には化学薬品が含まれているため、工場外へ放流することなく全量を回収し、微生物の力で化学薬品を分解する「生物接触ろ過」、フィルターなどでのろ過、純水製造装置での純水製造を経て繰り返し生産に使用しています。

クローズド・システムの流れ

取り組み事例

海外拠点における水使用量削減の取り組み

タイの生産拠点SATLでは、生産工程や洗面所から大量の排水が発生します。これまでは排水処理後に河川へ放流していましたが、新たに設置した水リサイクル設備で純水を製造し、生産工程で再利用しています。また、リサイクル処理する際に発生した中水を貯蔵タンクに貯蔵し、敷地内緑地への散水や洗面所の水として活用しています。また、マレーシアの生産拠点SMMでは、水使用量の削減を目的として雨水タンクを活用しています。工場に設置したタンクに雨水を貯蔵し、空調用の冷却設備や洗面所に使用しています。これらの取り組みにより、上水の年間総受水量を約8.8万m3削減することができました。

  • ※ 飲用には適さないが、人体や環境に悪影響を及ぼさない水

SATLの水リサイクル設備

SMMの雨水タンク