資源循環

資源循環に対する考え方

循環型社会の実現に向けて

シャープはこれまで、新しい製品を生み出すことで世の中に多様な価値を提供してきた一方で多くの資源を使用してきました。資源の有効利用により一層努め、最小限の資源で最大限の価値を継続的に提供することで、サーキュラーエコノミー(循環型経済)を構築し、循環型社会の実現を目指します。具体的には「製品」「製造」「リサイクル」の3つの領域に着目し、環境配慮型製品・デバイスの創出、環境貢献技術の開発、事業活動における環境負荷の低減、使用済み製品のリサイクルなど幅広い領域で取り組みます。

3つの領域でのアプローチ

(1)製品:新規開発製品に対して、環境配慮設計およびライフサイクルに関するアセスメントを実施し、省資源・長寿命・再生材の活用等を図ることで、バージンプラスチックの削減や廃棄物の削減に取り組んでいます。また、使用済み家電製品から回収したプラスチックを新しい家電製品の部材として再利用する「自己循環型マテリアルリサイクル技術」を実用化しています。

キーワード:バージンプラスチック、自己循環型マテリアルリサイクル技術

(2)製造:工場での環境負荷低減を目指し、資源の効率的な利用を推進しています。製造工程で発生する廃棄物の排出抑制・再資源化に取り組むとともに、受水量の削減や工程排水の循環利用を積極的に推進し、水資源の有効活用に取り組んでいます。

キーワード:廃棄物、水資源

(3)リサイクル:使用済み製品の回収・再資源化の推進に加えて、従業員に向けたリサイクル設計研修やリサイクル工場の見学などを通じて、循環型社会の実現に向けた活動に取り組んでいます。

キーワード:使用済み製品のリサイクル、リサイクル設計研修

資源循環活動の領域

資源循環活動の領域の円グラフ

バージンプラスチック削減の取り組み

バージンプラスチック削減に対する考え方

プラスチックは、その有用性から幅広い製品や容器包装に利用されており、現代社会に不可欠な素材です。一方、海洋プラスチックごみ問題、石油資源の枯渇問題などを契機として、国内外においてプラスチックに係る資源循環の促進等の重要性が高まっています。

シャープは、製品や包装材に使用するバージンプラスチックの削減に向けた取り組みを強化するため、バージンプラスチックに関する中期目標を設定しました。目標達成に向けて分科会を設置し、プラスチック以外の素材への代替化や再生プラスチック・バイオプラスチックの利用促進などに取り組んでいます。

バージンプラスチックに関する中期目標の設定

シャープは、資源循環への取り組みを確実なものにするため「サーキュラーパートナ-ズ※1」に参加し、以下の目標を設定して循環型社会の実現に取り組んでいます。

Circular Partners
目標指標 当該年度の新製品における「再生プラスチックまたはバイオプラスチック使用製品」の機種数割合
目標水準 70%以上
目標年度 2030年度

バージンプラスチック削減分科会

シャープは、バージンプラスチックの使用量削減に向けた取り組みを着実に進めるため、社内の技術者で構成する「バージンプラスチック削減分科会」を新たに設置しました。バージンプラスチック削減に向けた協議やさまざまな情報・動向の共有を図っています。

バージンプラスチックの削減事例

シャープはバージンプラスチックの使用量削減に向け、「プラスチック以外の素材への代替化」「再生プラスチックの採用」「バイオプラスチックの採用」に積極的に取り組んでいます。

バージンプラスチック削減取り組み事例

包装材・製品 再生プラスチックの採用およびプラスチック以外の素材への代替化
複合機の本体総樹脂量(重量比)の約50%に再生プラスチック材を採用するとともに、発泡スチロールの代用として段ボール等の紙製梱包材を採用し、プラスチック素材を大幅に削減
再生プラスチックの使用量約50%
紙製梱包材採用
製品
再生プラスチックの採用事例
スマートフォンの筐体に約60%再生プラスチック材を採用
スマートフォンの画像
バイオプラスチックの採用事例
プラズマクラスター冷蔵庫※2に付属の「たまご仕切り」に抗菌作用※3のある竹粉を配合したバイオマス複合プラスチックを採用
スマートフォンの画像
  • 経済産業省が主管するサーキュラーエコノミーに関する産官学のパートナーシップ。
  • Fit63シリーズ:SJ-MF55P-H/MF51P-W/MF46P-H/MF43P-W/MW46P-H。
  • 【試験依頼先】(一財)カケンテストセンター【試験方法】JIS Z 2801抗菌性試験【抗菌方法】2,6-ジメトキシ-1,4-べンゾキノンやタンニンによる【対象場所】たまご仕切り【試験結果】99%以上の抗菌効果。

資源循環型社会に貢献する環境技術

2024年度の目標 2024年度の実績 自己評価 2025年度の重点取り組み目標
  • ポリスチレン(PS)の高付加価値化検討
  • 製品への再生プラスチックの採用拡大
  • HIPSの水平リサイクル基礎開発完了
  • 冷蔵庫、複合機、空気清浄機に新たに採用
★★★
  • HIPSリサイクル材の実用化
  • 製品への再生プラスチックの採用拡大
自己評価:
★★★ 目標を上回る成果があった
★★ 目標を達成
★ 一定の成果があった

プラスチックの自己循環型マテリアルリサイクル技術の拡大

使用済みプラスチックを新しい製品の原料として再生利用するマテリアルリサイクルは、日用品や雑貨などに再利用する「オープンマテリアルリサイクル」が一般的です。その大半は1度きりの再利用であり、再利用後は一般ゴミとして廃棄されてしまいます。

一方、シャープは限りある資源の有効活用と廃棄物削減に向けて、使用済み家電製品から回収したプラスチックを新しい家電製品の部材として何度も繰り返し再生利用可能な「自己循環型マテリアルリサイクル技術」を関西リサイクルシステムズ(株)※1と共同で開発し、特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)が施行された2001年度より実用化しています。

金属や種類の異なるプラスチックが混在する混合プラスチックからポリプロピレン(PP)を高純度に取り出す「高純度分離回収」技術や、回収したPP・HIPS※2・PC+ABS※3などの素材を新品材料と同等の特性に改善する「特性改善処方」技術を通じて再生利用可能なプラスチック量の増大に取り組んでいます。また、独自の「特性付与処方」技術を用いて難燃性や耐候性、抗菌性などをもつ高付加価値材料を開発し、用途拡大にも取り組んでいます。さらに、最適な品質を確保するための「品質管理」技術など、回収から品質管理まで一貫した技術開発を手掛けることで高品位な再生プラスチックを生成するリサイクルを実現しています。

  • シャープ(株)と三菱マテリアル(株)など6社が共同で出資している家電リサイクル会社。
  • 耐衝撃性ポリスチレン、汎用ポリスチレン(GPPS)にゴム成分を加えて耐衝撃性を付与した樹脂。
  • ポリカーボネートとアクリロニトリル・ブタジエン・スチレンのアロイ材(複数のポリマーを混合することで、新しい特性を持たせた樹脂)。

家電4品目から回収したプラスチックの再資源化フロー

再資源化フローの図
  • 複数の樹脂を分子レベルで均一、細かく分散させること。
  • 複数の樹脂を混合することで新しい特性を持たせた樹脂のこと

再生プラスチックの採用拡大に向けて

シャープは使用済みプラスチックの再資源化を更に促進する取り組みとして、使用済みプラスチックを新材同等に再生し、新しい家電製品の同種部品に再利用する「水平リサイクル」に加え、再生プラスチックに新たな価値(難燃性、耐候性、高剛性、着色など)を付与する「アップグレードリサイクル」の技術開発を推進しています。

2024年度は、使用済み冷蔵庫から回収したポリプロピレンを原料とし、家電製品に要求される物性と耐久性を確保しながら再生プラスチックの課題であった外観品質を大幅に向上させた「白色着色再生ポリプロピレン」を開発し、冷蔵庫の外観部品に採用しました。これまで再生プラスチックは、使用環境の汚れや異物など不純物混入による黒点や、原料ばらつきよる色ムラなど、外観上の問題から内部部品への採用に限定されてきました。今回、関西リサイクルシステムズ(株)と共同で開発した技術によって、原料の分離回収・選別から再生加工までの一連のプロセスを最適化し、シャープ独自の再生技術を用いることで家電製品の外観部品に採用可能な高品質の白色再生プラスチックの量産が可能となりました。この技術により再生プラスチックの適用範囲を拡大することができるため、製品の再生プラスチック使用率の更なる向上が期待できます。

また、新たな取り組みとして、使用済み家電製品から回収したポリスチレン(PS)を原料とした「耐衝撃性再生ポリスチレン」の開発を進めています。ポリスチレンは家電製品の主要なプラスチック材料ですが、熱劣化や異物による悪影響を受けやすいため、従来技術では水平リサイクルが難しく、これまでは日用品や雑貨などに利用されていました。2024年度は、ポリスチレン原料の分離回収技術と新材同等の物性に改善する処方技術の基礎開発を完了しました。今後は耐久性付与や量産化技術の開発を着実に推進し、2025年度中の実用化を目指します。

使用済みプラスチックのリサイクル方法

図解:材料性能が高いほど用途が広がる

着色再生ポリプロピレンの採用事例

着色再生ポリプロピレンの採用事例の画像

サーキュラーエコノミーの実現に向けて

シャープの独自技術である「自己循環型マテリアルリサイクル技術」により開発した再生プラスチックは、2024年度発売モデルの冷蔵庫・エアコン・洗濯機・小型家電に採用し、その使用量は累計21千tに達しています(2001~2024年度実績)。

2024年度は薄型テレビ由来の再生PC+ABSを、環境ラベルが必要な複合機の部品に新たに採用しました。家電4品目から始まったプラスチックのリサイクル技術をシャープのさまざまな製品に広く展開し、製品を通じた環境負荷低減に努めます。

今後は家電4品目だけでなく、当社の全ての製品へ自己循環型マテリアルリサイクルの展開を目指し、サーキュラーエコノミーの実現に貢献していきます。

  • 地球への環境負荷低減に繋がる製品やサービスにラベルが付与される制度。EPEAT、ブルーエンジェル、エコマークなど。

サーキュラーエコノミーの実現に向けて

棒グラフ

再生プラスチックの採用事例

洗濯機の写真
洗濯機
冷蔵庫の写真
冷蔵庫
エアコンの写真
エアコン
スティック掃除機の写真
スティック掃除機
セラミックファンヒーターの写真
セラミックファンヒーター
空気清浄機の写真
空気清浄機
車載用プラズマクラスターイオン発生機の写真
車載用プラズマクラスター
イオン発生機
複合機の写真
複合機
ハンディターミナル充電器の写真
ハンディターミナル充電器
製品 パーツ名 再生プラスチックの種類 原材料
洗濯機 水槽 PP 洗濯機 水槽
冷蔵庫 ファンルーバー、ポンプカバー 冷蔵庫野菜ケース
シャワーダクトカバー、冷蔵室仕切り他
エバポレーターカバー 洗濯機脱水槽、バランサー他
エアコン 露カバー、モーター押さえ
スティック掃除機 スタンド台、ノズル 他 エアコン・冷蔵庫・洗濯機の部品
セラミックファンヒーター ケーシング 難燃PP
空気清浄機 電源ボックス 難燃HIPS 薄型テレビ背面キャビネット
車載用プラズマクラスターイオン発生機 内部構造部品 難燃PC+ABS 薄型テレビ背面キャビネット
複合機 LCDホルダー 他
ハンディターミナル充電器 充電器筐体

使用済み製品のリサイクルの推進

2024年度の目標 2024年度の実績 自己評価 2025年度の重点取り組み目標
  • 洗濯機ラインの搬送効率向上、作業者への負荷軽減
  • 搬送効率約29%向上
★★
  • 冷蔵庫ラインのコンプレッサーの処理効率向上
自己評価:
★★★ 目標を上回る成果があった
★★ 目標を達成
★ 一定の成果があった

使用済み製品のリサイクルに対する考え方

シャープは、限りある資源の有効活用により持続可能な社会の実現に貢献するため、世界各国・地域のリサイクル法規制を遵守し、消費者、リサイクル業者との協力のもと、使用済み製品の回収とリサイクルを積極的に推進しています。

<日本国内>
家電4品目(エアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機)のリサイクルを推進

シャープは家電リサイクルBグループ※1の一員として、全国19か所のプラントで高効率リサイクルシステムを構築・運用しています。2024年度の当社家電4品目の引取台数は約2,297千台(前年度比101%)、再商品化重量は約64千t(前年度比99%)でした。なお、再商品化率は、特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)で定められている法定基準を4品目とも上回っています。

  • シャープ(株)、ソニー(株)、日立グローバルライフソリューションズ(株)、(株)富士通ゼネラル、三菱電機(株)などで構成。

当社家電4品目の再商品化等実施状況(2024年度)

値は全て小数点以下を切捨て

  単位 エアコン ブラウン管
テレビ
薄型
テレビ
冷蔵庫・
冷凍庫
洗濯機・
衣類乾燥機
合計
指定引取場所での引取台数 千台 360 62 985 442 442 2,297
再商品化等処理台数 千台 351 63 989 439 439 2,286
再商品化等処理重量 t 14,219 1,349 14,934 25,548 17,933 73,986
再商品化重量 t 13,540 1,002 12,944 20,551 16,937 64,976
再商品化率 % 95 74 86 80 94
法定再商品化率 % 80 55 74 70 82

資源有効利用の取り組み

シャープは、関西リサイクルシステムズ(株)※2とともに資源の有効利用とリサイクル処理の効率化に取り組んでいます。

リサイクル処理工程ではコンテナで入荷された洗濯機の荷降ろし作業をこれまで人力で対応しており、特にドラム式洗濯機は60kg~80kgの重量があるため、作業者にとって負荷の高い重筋作業となっていました。そこで、2023年度には洗濯機を供給作業場所まで自動投入する傾転装置を導入し、2024年度には作業効率性、安全性の向上を目的に搬送コンベアを導入しました。これにより、搬送効率が29%向上し、作業効率も3%向上することができました。

  • シャープ(株)と三菱マテリアル(株)など6社が共同で出資している家電リサイクル会社。
洗濯機搬送ラインの写真
洗濯機搬送ライン
傾転装置の写真
傾転装置

使用済み製品のリサイクルの推進および地域とのコミュニケーション

関西リサイクルシステムズ(株)は家電リサイクル法にのっとり、使用済みの家電4品目(エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機)を、大阪府枚方市と三重県伊賀市でリサイクルしています。地域の皆さまにより家電リサイクルを知ってもらうため、行政や教育委員会と連携し、地元小中学校からの工場見学や出前授業、また中学校・高校への総合探求・職業講話※1にも初参加しました。2024年度は国内・海外合わせて1,695人、累計3万3千人以上の見学者を受け入れました。出前講座や地域イベント※2にも引き続き参画し、洗濯機の解体ショーや上ぶたの解体体験を取り入れた活動などを行いました。

地域イベントでのショーの様子の写真
地域イベントでのショー(左:洗濯機の解体ショー 右:洗濯機の上ぶたの解体体験)
  • 「実際に現場で働く人」が講師として招かれ、さまざまな職業の人から話を聞き、仕事の面白さや将来の選択肢を広げる機会を設ける事を目的とした授業。
  • ひらかたエコフォーラム2024(2024年2月10日開催)で洗濯機の解体ショーを、ひらかた資源循環シンポジウム holantotte-ほらんとって-(2025年3月9日開催)では解体体験を実施。

リサイクル設計研修の実施

シャープでは、製品ライフサイクルを考慮したモノづくりを推進することを目的として、主に製品の企画・設計担当者を対象としたリサイクル設計研修を実際のリサイクルの現場である関西リサイクルシステムズ(株)の協力を得て実施しています。2024年11月にはテレビの担当者など8人、2025年4月には白物家電の担当者25名が受講しました。

研修では、設計の段階でリサイクルに配慮して設計することの重要性や、プラスチックのマテリアルリサイクルを推進するための考え方、リサイクル工場の見学などを行いました。また、実際に10年以上使用された全自動洗濯機やフィルター自動清掃付きエアコン室内機、冷蔵庫、2024年度から家電リサイクルの対象となった有機ELテレビの解体実習を行い、ねじ締めなどの固定方法によって解体性が異なることや、単一素材にまで分解することの大切さを実感してもらいました。また、より品位の高いリサイクル素材を得るために、素材表示や設計配慮について学び、現場の声に耳を傾けました。

受講者からは「リサイクル現場への設計配慮の必要性が理解できた」「品質とリサイクル性の両立に取り組んでいきたい」などの声が聞かれました。今後も、材料選択からリサイクルまでを考慮したモノづくりが進められるよう、社内意識の醸成を進めていきます。

解体実習の様子の写真
解体実習の様子
講義の様子の写真
講義の様子

複写機・複合機のリユース・リサイクルの推進

シャープは、自社流通ルートおよび業界共同ルートで回収した使用済み複写機・複合機のリユース・リサイクルを進めています。また、使用済みのトナーカートリッジを回収し、新品同等の品質に再生して出荷する取り組みを進めており、設計段階からリサイクル性に配慮することで使用時の耐久性と再生時の加工時間短縮を実現しています。

<アメリカ>

アメリカの生産販売拠点SECは、家電リサイクル管理会社MRM(Electronic Manufacturers Recycling Management Company, LLC)※1を2007年に設立し、AV機器のリサイクルを行っています。取り組みは全米に拡大しており、使用済み製品の回収拠点を約2,050か所に設置しています。MRM社では各州法規制への適切な対応を図っており、2024年度は62,000tの使用済み家電をリサイクルしました。

また、SECは2008年から環境保護と埋立地廃棄物削減への取り組みの一環として、リサイクル業者と連携し、トナーカートリッジ、ボトル、トナー収集容器、ドラムユニットなど全てのシャープ製の消耗品のリサイクルを行っています。使用済み製品の返却に必要な資材や費用をSECが負担することで、リサイクルを推奨しています。

  • パナソニック・ノース・アメリカ、東芝アメリカ家電社との合弁会社。

<カナダ>

カナダの販売拠点SECLではリサイクルパートナーであるEPRA※2の協力を得て、2024年にオンタリオ州で201,405kg以上のシャープ製品をリサイクルに回しました。これにはプリンター、ディスプレイ、コンシューマー製品など、あらゆる製品部門の電子機器が含まれます。

シャープとEPRAはオンタリオ州の規制遵守に尽力しており、毎年、より多くの製品をリサイクルすることが求められています。
2025年の目標は電子機器のリサイクル量236,997kgです。EPRAとの契約によりこの目標の達成を目指します。

  • 電子製品リサイクル協会

<スウェーデン>

スウェーデンの販売拠点SBS-SEでは、Inrego社と共同で「循環型アンバサダープログラム」という新しいパートナープログラムを立ち上げ、アンバサダーとして循環型ビジネスを推進しながら北欧の他の事業体とのパートナーシップ拡大も進めています。

SBS-SEは再利用製品26,501kg CO2e※3を達成し、Ingrego社より免許状をいただきました。これは、冷蔵庫2,544台を1年間稼働させるのに必要なエネルギー、またはアパート106戸を1年間暖房するのに必要なエネルギー、もしくは車で世界4周するのに必要なエネルギーに相当します。

  • CO2e(CO2 equivalent):二酸化炭素換算の数値。
免許状の写真
免許状

<オーストラリア>

オーストラリアの販売拠点SCAはAPCO※4の会員であり、オーストラリア包装協定の署名者です。会員は共有された責任と共同の取り組みに同意しています。政府および産業界と協力して、素材の削減、デザイン、特定のリサイクル率、埋立廃棄物の削減、代替素材、循環型経済活動を通じて持続可能な包装を実現することを目指して取り組んでいます。

また、SCAは、自社の作業場や倉庫から電子廃棄物(eWaste)および発泡ポリスチレンを回収するためにEcycle Solutions社を利用しています。Ecycle Solutions社は、地元政府によって承認され、監視されていますので、適切な手段でリサイクルを行うことで埋立地への廃棄物を最小限に抑制しています。さらに、パートナーの拠点にも同様の仕組みを導入しています。

  • APCO(Australian Packaging Covenant Organisation):オーストラリア包装協定機構。

事業活動に伴う廃棄物の排出抑制・再資源化

2024年度の目標 2024年度の実績 自己評価 2025年度の重点取り組み目標
  • 最終処分率:0.5%未満
  • 最終処分率:0.33%
★★
  • 最終処分率:0.5%未満
自己評価:
★★★ 目標を上回る成果があった
★★ 目標を達成
★ 一定の成果があった

廃棄物等発生量の削減

シャープはサーキュラーエコノミーの実現に貢献するため、廃棄物の排出抑制と再資源化に取り組んでいます。

シャープの2024年度の廃棄物等発生量は、前年度比21%減少の75千tとなりました。再資源化量は57千tでした。また、最終処分率は0.33%となり、グローバルでのゼロエミッション※1を3年連続で達成しました。

今後も、海外拠点の廃棄物削減取り組みを一層強化し、グローバルでのゼロエミッションを継続します。

PCB廃棄物の適正な保管・管理

シャープは「PCB※2特別措置法」に基づき、PCB廃棄物の適正な保管と管理を徹底しています。高濃度PCB廃棄物については2022年度に全ての処理が完了しました。残る低濃度PCB廃棄物についても早期の無害化処理完了に向けて計画的に処理を進めています。

  • シャープでは、廃棄物最終処分率0.5%未満をゼロエミッションと定義しています。廃棄物最終処分率(%)=最終処分量÷廃棄物等発生量
  • ポリ塩化ビフェニル。

廃棄物等発生量の推移

廃棄物等発生量の推移の棒グラフ

再資源化量の推移

再資源化量の推移の棒グラフ

廃棄物等発生量の地域別内訳(2024年度)

廃棄物等発生量の地域別内訳(2024年度)の円グラフ

最終処分率の推移

最終処分率の推移の折れ線グラフ
取り組み事例

廃液濃縮装置の洗浄メンテナンスによる産業廃棄物の削減

亀山事業所(三重県亀山市)では、液晶ディスプレイの生産工程から発生する産業廃棄物の削減に取り組んでいます。

液晶ディスプレイの製造過程で発生した有害なガスを洗浄する際に使用した洗浄廃液(フッ化ソーダ)は、蒸発濃縮装置で減容化して産業廃棄物として排出しています。蒸発濃縮装置は廃液を蒸発させる際に結晶物が発生し処理能力が低下します。

2024年度は、蒸発濃縮装置の定期的な高圧水洗浄メンテナンスを導入することにより、処理能力の低下を抑制し、年間1,320tの削減につながりました。

洗浄廃液処理の流れ

洗浄廃液処理の流れのイメージ図

水資源の有効活用

2024年度の目標 2024年度の実績 自己評価 2025年度の重点取り組み目標
  • 受水量原単位改善率:10%
    (基準年:2021年度)
  • 受水量原単位改善率:5%
    (基準年:2021年度)
  • 受水量原単位改善率:10%
    (基準年:2021年度)
自己評価:
★★★ 目標を上回る成果があった
★★ 目標を達成
★ 一定の成果があった

水資源に対する考え方

世界人口の増加、開発途上国の経済成長、気候変動などの問題により、世界規模で水資源問題が発生しています。シャープは「環境基本理念」の下、「シャープグループ企業行動憲章」および「シャープ行動規範」に定めた地球環境保全への取り組み方針に沿って、水資源の有効活用に取り組んでいます。特に、液晶ディスプレイや電子デバイスなどの製造における水資源の確保は事業継続上の重要課題として認識し、受水量の削減と循環利用を推進しています。

受水量の削減と循環利用の推進

シャープの2024年度の受水量は、前年度比5%減少の8.8百万m3となりました。また、受水量原単位改善率は5%でした。シャープでは、水不足リスクによる事業継続への影響を最小化するため、世界資源研究所(WRI)が開発した評価ツール「Aqueduct」を用いて工場の水リスクを評価しています。リスクが最も高い地域にあるタイの生産拠点SATLでは、生産工程などで発生する排水のリサイクルによって受水量を削減しています。また、液晶ディスプレイなどの製造で大量の水を使用する亀山事業所(三重県亀山市)や三重事業所(三重県多気郡)では、工程排水を全量回収して再利用するクローズド・システムを導入しています。こうした取り組みにより、シャープは水の循環利用率60%以上を維持しています。今後も、グローバルでの水資源の有効活用に継続的に取り組むとともに、事業拡大に伴う効率向上を目指します。

なお、2024年度に水関連の法令違反による訴訟問題・罰金・科料はありませんでした。また、水に関する重大な事故の発生もありませんでした。

  • 循環利用率=循環利用量÷受水量+循環利用量)

受水量の地域別内訳(2024年度)

受水量の地域別内訳(2024年度)の折れ線グラフ

受水量の推移

受水量の推移の棒グラフ

循環利用率の推移

循環利用率の推移の円グラフ

地域別受水量・排水量内訳(2024年度)

(m3

地域 受水量※1 排水量 消費量※3 循環利用量
第三者より
購入した水※2
地下水 総量 地表水 下水 海水 地下水 総量
日本 6,224,244 537,391 6,761,602 3,379,046 308,744 1,456,881 0 5,144,671 1,616,931 17,391,150
アジア 776,679 10,401 787,080 31,454 415,808 0 0 447,262 339,818 211,484
中国 1,216,448 0 1,216,448 0 981,229 0 0 981,229 235,219 176,987
米州 171 0 171 0 171 0 0 171 0 0
欧州 7,763 0 7,763 0 7,418 0 0 7,418 345 0
合計 8,225,272 547,792 8,773,064 3,410,500 1,713,370 1,456,881 0 6,580,751 2,192,313 17,779,621

水ストレスランク※4別受水量内訳(2024年度)

水ストレスを伴う地域※5における受水量内訳(2024年度)

(m3

地域 第三者より
購入した水
地下水 地表水 海水 生産
随伴水
総量
日本 34,685 0 0 0 0 34,685
アジア 729,517 0 0 0 0 729,517
中国 835,645 0 0 0 0 835,645
米州 0 0 0 0 0 0
欧州 0 0 0 0 0 0
合計 1,599,847 0 0 0 0 1,599,847
  • 地表水・海水・生産随伴水はいずれも0。
  • 工業用水および上水。
  • 消費量=総受水量-総排水量
  • Aqueductが地域ごとに定義
    ランク1(低リスク)~ランク5(高リスク)の5段階。
  • Aqueductの水ストレス評価がランク4以上の地域。
取り組み事例

「クローズド・システム」による水のリサイクル

三重事業所(三重県多気郡)では、ディスプレイの生産で使用する大量の水を半永久的にリサイクルする「クローズド・システム」を採用しています。生産工程で発生した排水には化学薬品が含まれているため、工場外へ放流することなく全量を回収し、微生物の力で化学薬品を分解する「生物接触ろ過」、フィルターなどでのろ過、純水製造装置での純水製造を経て繰り返し生産に使用しています。

クローズド・システムの流れ

生産工程、排水処理、ろ過・純粋製造を循環
取り組み事例

水道メーターのデジタル監視と洗濯排水のリサイクル

中国の生産拠点SSECでは、水道メーターのデジタル監視と洗濯排水のリサイクルという二つのアプローチを駆使して、水資源を効率的に利用しています。その成果が評価され「Shanghai Water-Saving Demonstration Enterprise」として表彰されました。

SSECに設置された水道メーターは、デジタル監視プラットフォームと連携しており、このメーターからは水の使用データがリアルタイムで送信され、スマートフォンやPCを通して確認することができます。このシステムによって、工場のすべてのパイプラインは24時間365日監視されており、水漏れを迅速に検出することが可能です。さらに、独自の洗濯水リサイクルシステムもSSECの節水に貢献しています。工場では、洗濯機の試運転に伴って大量の排水が発生します。この排水を貯水し、空調システムの冷却塔への給水、トイレの洗浄水として再利用しています。

洗濯排水リサイクルシステムの流れ

洗濯排水リサイクルシステムの流れのイメージ図