資源循環

事業活動に伴う廃棄物の排出抑制・再資源化

2023年度の目標 2023年度の実績 自己評価 2024年度の重点取り組み目標
  • 最終処分率:0.5%未満
  • 最終処分率:0.46%
★★
  • 最終処分率:0.5%未満
  • 自己評価: ★★★ 目標を上回る成果があった  ★★ 目標を達成  ★ 一定の成果があった

廃棄物等発生量の削減

シャープはサーキュラーエコノミーの実現に貢献するため、廃棄物の排出抑制と再資源化に取り組んでいます。

シャープの2023年度の廃棄物等発生量は、更新後の設備の廃棄や生産の拡大などに伴い、前年度比11%増加の95千tとなりました。再資源化量は61千tでした。また、最終処分率は0.46%となり、グローバルでのゼロエミッション※1を2年連続で達成しました。

今後も、海外拠点の廃棄物削減取り組みを一層強化し、グローバルでのゼロエミッションを継続します。

PCB廃棄物の適正な保管・管理

シャープは「PCB※2特別措置法」に基づき、PCB廃棄物の適正な保管と管理を徹底しています。高濃度PCB廃棄物については2022年度に全ての処理が完了しました。残る低濃度PCB廃棄物についても早期の無害化処理完了に向けて計画的に処理を進めています。

  • シャープでは、廃棄物最終処分率0.5%未満をゼロエミッションと定義しています。
    廃棄物最終処分率(%) = 最終処分量 ÷ 廃棄物等発生量
  • ポリ塩化ビフェニル。

廃棄物等発生量の推移

棒グラフ

再資源化量の推移

棒グラフ

廃棄物等発生量の地域別内訳(2023年度)

円グラフ

最終処分率の推移

折れ線グラフ

使用済み製品のリサイクルの推進

2023年度の目標 2023年度の実績 自己評価 2024年度の重点取り組み目標
  • フィルター自動清掃付きエアコン室内機の処理効率向上
  • 処理効率約30%向上
★★
  • 回収プラスチックの品位向上、混合プラスチック率の低減
  • 自己評価: ★★★ 目標を上回る成果があった  ★★ 目標を達成  ★ 一定の成果があった

使用済み製品のリサイクルに対する考え方

シャープは、限りある資源の有効活用により持続可能な社会の実現に貢献するため、世界各国・地域のリサイクル法規制を遵守し、使用済み製品の回収とリサイクルを積極的に推進しています。

<日本国内>
家電4品目(エアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機)のリサイクルを推進

シャープは家電リサイクルBグループ※1の一員として、全国18か所のプラントで高効率リサイクルシステムを構築・運用しています。2023年度の当社家電4品目の引取台数は約2,260千台(前年度比99%)、再商品化重量は約65千t(前年度比95%)でした。なお、再商品化率は、特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)で定められている法定基準を4品目とも上回っています。

  • シャープ(株)、ソニー(株)、日立グローバルライフソリューションズ(株)、(株)富士通ゼネラル、三菱電機(株)などで構成。

当社家電4品目の再商品化等実施状況(2023年度)

値は全て小数点以下を切捨て

  単位 エアコン ブラウン管
テレビ
薄型
テレビ
冷蔵庫・
冷凍庫
洗濯機・
衣類乾燥機
合計
指定引取場所での引取台数 千台 328 74 956 452 448 2,260
再商品化等処理台数 千台 330 73 947 457 446 2,255
再商品化等処理重量 t 13,435 1,573 14,613 26,848 17,995 74,467
再商品化重量 t 12,773 1,174 12,671 21,669 16,939 65,228
再商品化率 % 95 74 86 80 94
法定再商品化率 % 80 55 74 70 82

資源有効利用の取り組み

シャープは、関西リサイクルシステムズ(株)※2とともに資源の有効利用とリサイクル処理の効率化に取り組んでいます。

フィルター自動清掃付きのエアコン室内機は、フィルター自動清掃機能のないモデルに比べ、内部構造が複雑で、手解体工程では熟練した作業者がセル方式※3で解体しており、人手不足といった課題がありました。そこで、2023年度はエアコン室内機専用の切断装置を導入しました。解体前に室内機を切断することで内部部品を外しやすくなるため、熟練者以外の作業者も効率的な解体が可能となり、フィルター自動清掃付きのエアコン室内機1台あたりの平均解体時間を約30%短縮することができました。

  • シャープ(株)と三菱マテリアル(株)など6社が共同で出資している家電リサイクル会社。
  • 分業ではなく一連の作業をひとりの作業者が行う方式。
エアコン室内機切断装置
エアコン室内機切断装置
切断後の室内機
切断後の室内機

使用済み製品のリサイクルの推進および地域とのコミュニケーション

関西リサイクルシステムズ(株)は家電リサイクル法にのっとり、使用済みの家電4品目(エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機) を、大阪府枚方市と三重県伊賀市でリサイクルしています。2023年9月には操業開始(2001年4月)以来の累計処理台数2,000万台※1を達成しました。これまで育み支えていただいた地域への恩返しと、身近な家電4品目のリサイクルを通じ、地球環境や自分たちの未来、SDGsについてもっと考えるきっかけになればとの思いから、写真絵本2種「大接近!工場見学 テレビ編/洗濯機<プラスチック>編」※2を地元小学校へ寄贈しました。また工場見学も新型コロナウイルスによる制限を解除し、2023年度は国内・海外合わせて1,242人、累計3万人以上の見学者を受け入れ、出前講座や地域イベント※3にも参画し、洗濯機の解体ショーなどを行いました。

地域イベントでのショー
地域イベントでのショー
  • 家電リサイクルBグループメーカー品台数
  • 関西リサイクルシステムズ(株)でのリサイクル現場を紹介しています。岩崎書店出版。
  • もったいないバザール(吹田市、2023年11月19日開催)、ひらかたエコフォーラム2024(2024年2月10日開催)で洗濯機の解体ショーを実施。

リサイクル設計研修の実施

シャープでは、製品ライフサイクルを考慮したモノづくりを推進することを目的として、主に製品の企画・設計担当者を対象としたリサイクル設計研修を実際のリサイクルの現場である関西リサイクルシステムズ(株)の協力を得て実施しています。2023年4月には白物家電の担当者など13人が受講しました。

研修では、設計の段階でリサイクルに配慮して設計することの重要性や、プラスチックのマテリアルリサイクルを推進するための考え方、リサイクル工場の見学などを行いました。また、実際に10年以上使用された全自動洗濯機の解体実習を行い、ねじ締めなどの固定方法によって解体性が異なることや、単一素材にまで分解することの大切さを実感してもらいました。

受講者からは「リサイクル現場への設計配慮の必要性が理解できた」「品質とリサイクル性の両立に取り組んでいきたい」などの声が聞かれました。今後も、材料選択からリサイクルまでを考慮したモノづくりが進められるよう、社内意識の醸成を進めていきます。

全自動洗濯機の解体実習
全自動洗濯機の解体実習

複写機・複合機のリユース・リサイクルの推進

シャープは、自社流通ルートおよび業界共同ルートで回収した使用済み複写機・複合機のリユース・リサイクルを進めています。また、使用済みのトナーカートリッジを回収し、新品同等の品質に再生して出荷する取り組みを進めており、設計段階からリサイクル性に配慮することで使用時の耐久性と再生時の加工時間短縮を実現しています。

<北米>

米国の生産販売拠点SECは、家電リサイクル管理会社MRM(Electronic Manufacturers Recycling Management Company, LLC)※1を2007年に設立し、AV機器のリサイクルを行っています。取り組みは全米に拡大しており、使用済み製品の回収拠点を約2,400か所に設置しています。MRM社では各州法規制への適切な対応を図っており、2023年度は53,000tの使用済み家電をリサイクルしました。

また、SECは2008年から環境保護と埋立地廃棄物削減への取り組みの一環として、リサイクル業者と連携し、トナーカートリッジ、ボトル、トナー収集容器、ドラムユニットなどすべてのシャープ製の消耗品のリサイクルを行っています。使用済み製品の返却に必要な資材や費用をSECが負担することで、リサイクルを推奨しています。

  • パナソニック・ノース・アメリカ、東芝アメリカ家電社との合弁会社。
消耗品の発送ボックス
消耗品の発送ボックス

<欧州>

WEEE指令(2012/19/EU)※2は、EU域内に出荷した製品の回収・リサイクルなどに対する製造者責任を規定しています。欧州の各販売拠点(ドイツ、フランス、フィンランド、デンマーク、ポーランド、ハンガリー、オーストラリア)はEU域内の販売地域において、優良なリサイクル業者と協力してこの責務を果たしています。また、包装材や電池規制にも確実に対応することで、埋め立てられる廃棄物の削減にも貢献しています。

  • 廃電気電子機器に関する指令。

<インド>

インドでは、2016年に施行、2022年に改正された廃電気電子機器(管理)規則により、製造者などの関係者に使用済み電子・電気機器の適切な処理が義務付けられています。インドの販売拠点SBIは、現地のリサイクル業者 3R Recycler社と提携して使用済み製品のリサイクルを推進しています。

また、2016年に施行されたプラスチック廃棄物管理規則に基づき、生産者、輸入者、販売者、地方自治体などにプラスチック廃棄物の適切な処理が義務付けられています。SBIは現地のNGO「Indian Pollution Control Association」と提携し、プラスチック廃棄物の回収とリサイクルを実施しています。

資源循環型社会に貢献する環境技術

2023年度の目標 2023年度の実績 自己評価 2024年度の重点取り組み目標
  • 環境対応型ハロゲンフリー難燃ポリスチレン(PS)リサイクル材の難燃化処方開発
  • 難燃化処方開発に関する難燃剤のスクリーニング・基礎評価完了
  • ポリスチレン(PS)の高付加価値化検討
  • 製品への再生プラスチックの採用拡大
  • 自己評価: ★★★ 目標を上回る成果があった  ★★ 目標を達成  ★ 一定の成果があった

プラスチックの自己循環型マテリアルリサイクル技術の拡大

使用済みプラスチックを新しい製品の原料として再生利用するマテリアルリサイクルは、日用品や雑貨などに再利用する「オープンマテリアルリサイクル」が一般的です。その大半は1度きりの再利用であり、再利用後は一般ゴミとして廃棄されてしまいます。

一方、シャープは限りある資源の有効活用と廃棄物削減に向けて、使用済み家電製品から回収したプラスチックを新しい家電製品の部材として何度も繰り返し再生利用可能な「自己循環型マテリアルリサイクル技術」を関西リサイクルシステムズ(株)※1と共同で開発し、特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)が施行された2001年度より実用化しています。

金属や種類の異なるプラスチックが混在する混合プラスチックからポリプロピレン(PP)を高純度に取り出す「高純度分離回収」技術や、回収したPP・HIPS※2・PC+ABS※3などの素材を新品材料と同等の特性に改善する「特性改善処方」技術を通じて再生利用可能なプラスチック量の増大に取り組んでいます。また、独自の「特性付与処方」技術を用いて難燃性や耐候性、抗菌性などをもつ高付加価値材料を開発し、用途拡大にも取り組んでいます。さらに、最適な品質を確保するための「品質管理」技術など、回収から品質管理まで一貫した技術開発を手掛けることで高品位な再生プラスチックを生成するリサイクルを実現しています。

  • シャープ(株)と三菱マテリアル(株)など6社が共同で出資している家電リサイクル会社。
  • 耐衝撃性ポリスチレン、汎用ポリスチレン(GPPS)にゴム成分を加えて耐衝撃性を付与した樹脂。
  • ポリカーボネートとアクリロニトリル・ブタジエン・スチレンのアロイ材(複数のポリマーを混合することで、新しい特性を持たせた樹脂)。

家電4品目から回収したプラスチックの再資源化フロー

再資源化フローの図
  • 複数の樹脂を分子レベルで均一、細かく分散させること。
  • 複数の樹脂を混合することで新しい特性を持たせた樹脂のこと。

再生プラスチックの採用拡大に向けて

使用済みプラスチックによる環境汚染が深刻化する中、世界各国ではプラスチックの資源循環に関する法整備や規制が強化され、これまでの大量生産・大量消費・大量廃棄型の「線形経済」から、新たな資源の投入や消費を抑えつつ、廃棄物の発生を最小化した経済を目指す「サーキュラーエコノミー(循環経済)」への転換が進められています。一方、日本国内でもプラスチック製品のライフサイクル全般における資源循環を目指す「プラスチック資源循環促進法※」が施行されるなど、使用済みプラスチックを取り巻く社会状況は大きく変化してきており、適正な処理と再資源化の重要性はますます高まっています。

このような状況を踏まえ、シャープは使用済みプラスチックの再資源化をさらに促進する取り組みとして、使用済みプラスチックを新材同等に再生し、新しい家電製品の同種部品に再利用する「水平リサイクル」に加え、再生プラスチックに新たな価値(難燃性、耐候性、高剛性など)を付与する「アップグレードリサイクル」の技術開発を推進しています。

2023年度は、使用済み家電製品から回収したポリプロピレンに、シャープ独自の処方技術を用いて、家電製品に要求される物性・長期耐久性を付与した「着色再生ポリプロピレン」を開発し、スティック掃除機の外観部品に採用しました。

再生プラスチックを採用する上での課題のひとつに、色ブレがあります。原料となる使用済みプラスチックには様々な色のものが混在するため、そのまま再生プラスチックにするとグレー色になり用途が限られていました。対策として濃い色に着色すると色ぶれは軽減されますが、顔料を配合することで物性や耐久性が低下するというトレードオフの関係になります。今回開発した処方配合の最適化により物性や耐久性を維持したまま意匠性も確保した再生プラスチックの量産が可能となりました。再生プラスチックを外観部品にも使うことにより、より一層のプラスチック廃棄物の発生抑制が期待できます。

今後の更なる取り組みとして、PSやABSなど外観部品にも採用可能な再生プラスチックの開発を推進し、製品への搭載を加速していきます。

  • メーカーによる設計・製造段階から廃棄に至るまでのプラスチック製品のライフサイクル全般において、包括的にプラスチック資源の循環を目指す(2022年4月1日施行)。

使用済みプラスチックのリサイクル方法

図解:材料性能が高いほど用途が広がる

着色再生ポリプロピレンの採用事例

写真
着色再生ポリプロピレン ペレット
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スティック掃除機
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スタンド台
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クリーニングカバー+ダスト仕切り
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隙間ノズル

サーキュラーエコノミーの実現に向けて

シャープの独自技術である「自己循環型マテリアルリサイクル技術」により開発した再生プラスチックは、2023年度発売モデルの冷蔵庫・エアコン・洗濯機・小型家電に採用し、その使用量は累計21千tに達しています(2001~2023年度実績)。

今後は家電4品目だけでなく、当社のすべての製品へ自己循環型マテリアルリサイクルの展開を目指し、サーキュラーエコノミーの実現に貢献していきます。​

サーキュラーエコノミーの実現に向けて

棒グラフ

再生プラスチックの採用事例

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冷蔵庫
写真
洗濯機
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エアコン
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スティック掃除機
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セラミックファンヒーター
写真
車載用
プラズマクラスターイオン発生機
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ハンディターミナル充電器
製品 再生プラスチックの種類 パーツ名 原材料
冷蔵庫 PP ファンルーバー 冷蔵庫 野菜ケース
ポンプカバー 冷蔵庫 野菜ケース
エバポレーターカバー 洗濯機 脱水槽、バランサー 他
洗濯機 PP 水槽 洗濯機 水槽
エアコン PP 露カバー、モーター押さえ 洗濯機 脱水槽、バランサー 他
縦ルーバー、連動板 冷蔵庫 野菜ケース
スティック掃除機 PP スタンド台、ノズル他 エアコン・冷蔵庫・洗濯機の部品
セラミックファンヒーター 難燃PP ケーシング エアコン・冷蔵庫・洗濯機の部品
車載用プラズマクラスターイオン発生機 難燃PC+ABS 内部構造部品 薄型テレビ 背面キャビネット
ハンディターミナル充電器 難燃PC+ABS 充電器筐体 薄型テレビ 背面キャビネット

水資源の有効活用

2023年度の目標 2023年度の実績 自己評価 2024年度の重点取り組み目標
  • 受水量原単位改善率:10%
    (基準年:2021年度)
  • 受水量原単位改善率:6%
    (基準年:2021年度)
  • 受水量原単位改善率:10%
    (基準年:2021年度)
  • 自己評価: ★★★ 目標を上回る成果があった  ★★ 目標を達成  ★ 一定の成果があった

水資源に対する考え方

世界人口の増加、開発途上国の経済成長、気候変動などの問題により、世界規模で水資源問題が発生しています。シャープは「環境基本理念」の下、「シャープグループ企業行動憲章」および「シャープ行動規範」に定めた地球環境保全への取り組み方針に沿って、水資源の有効活用に取り組んでいます。特に、液晶ディスプレイや電子デバイスなどの製造における水資源の確保は事業継続上の重要課題として認識し、受水量の削減と循環利用を推進しています。

受水量の削減と循環利用の推進

シャープの2023年度の受水量は、前年度比9%減少の9.2百万m3となりました。また、受水量原単位改善率は6%でした。シャープでは、水不足リスクによる事業継続への影響を最小化するため、世界資源研究所(WRI)が開発した評価ツール「Aqueduct」を用いて工場の水リスクを評価しています。リスクが最も高い地域にあるタイの生産拠点SATLでは、生産工程などで発生する排水のリサイクルによって受水量を削減しています。また、液晶ディスプレイなどの製造で大量の水を使用する亀山事業所(三重県亀山市)や三重事業所(三重県多気郡)では、工程排水を全量回収して再利用するクローズド・システムを導入しています。こうした取り組みにより、シャープは水の循環利用率60%以上を維持しています。今後も、グローバルでの水資源の有効活用に継続的に取り組むとともに、事業拡大に伴う効率向上を目指します。

なお、2023年度に水関連の法令違反による訴訟問題・罰金・科料はありませんでした。また、水に関する重大な事故の発生もありませんでした。

  • 循環利用率 = 循環利用量 ÷(受水量+循環利用量)

受水量の推移

棒グラフ 

循環利用率の推移

折れ線グラフ

受水量の地域別内訳(2023年度)

円グラフ 

地域別 受水量・排水量内訳(2023年度)

(m3

地域 受水量※1 排水量 消費量※3 循環利用量
第三者より
購入した水※2
地下水 総量 地表水 下水 海水 地下水 総量
日本 6,418,515 471,264 6,889,779 3,282,356 319,924 1,640,054 0 5,242,334 1,647,445 23,864,080
アジア 789,451 10,026 799,477 26,322 443,932 0 0 470,254 329,223 211,328
中国 1,498,850 29,883 1,528,733 0 1,138,475 0 0 1,138,475 390,258 213,450
米州 16,229 0 16,229 0 16,229 0 0 16,229 0 0
欧州 7,459 0 7,459 0 6,891 0 0 6,891 568 0
合計 8,730,504 511,173 9,241,677 3,308,678 1,925,102 1,640,054 0 6,874,183 2,367,494 24,288,858

水ストレスランク※4別受水量内訳(2023年度)

 

水ストレスを伴う地域※5における受水量内訳(2023年度)

(m3

地域 第三者より
購入した水
地下水 地表水 海水 生産
随伴水
総量
日本 35,516 0 0 0 0 35,516
アジア 734,590 0 0 0 0 734,590
中国 1,032,868 0 0 0 0 1,032,868
米州 0 0 0 0 0 0
欧州 0 0 0 0 0 0
合計 1,802,974 0 0 0 0 1,802,974
  • 地表水・海水・生産随伴水はいずれも0。
  • 工業用水および上水。
  • 消費量=総受水量-総排水量
  • Aqueductが地域ごとに定義
    ランク1(低リスク)~ランク5(高リスク)の5段階。
  • Aqueductの水ストレス評価がランク4以上の地域。
取り組み事例

「クローズド・システム」による水のリサイクル

三重事業所(三重県多気郡)では、ディスプレイの生産で使用する大量の水を半永久的にリサイクルする「クローズド・システム」を採用しています。 生産工程で発生した排水には化学薬品が含まれているため、工場外へ放流することなく全量を回収し、微生物の力で化学薬品を分解する「生物接触ろ過」、フィルターなどでのろ過、純水製造装置での純水製造を経て繰り返し生産に使用しています。

クローズド・システムの流れ

生産工程、排水処理、ろ過・純粋製造を循環
取り組み事例

海外拠点における水使用量削減の取り組み

タイの生産拠点SATLでは、生産工程や洗面所から大量の排水が発生します。これまでは排水処理後に河川へ放流していましたが、新たに設置した水リサイクル設備で純水を製造し、生産工程で再利用しています。また、リサイクル処理する際に発生した中水を貯蔵タンクに貯蔵し、敷地内緑地への散水や洗面所の水として活用しています。また、マレーシアの生産拠点SMMでは、水使用量の削減を目的として雨水タンクを活用しています。工場に設置したタンクに雨水を貯蔵し、空調用の冷却設備や洗面所に使用しています。これらの取り組みにより、上水の年間総受水量を約8.9万m3削減することができました。

  • 飲用には適さないが、人体や環境に悪影響を及ぼさない水。
SATLの水リサイクル設備
SMMの雨水タンク