ダイバーシティ・マネジメントの展開
2023年度の目標 | 2023年度の実績 | 自己評価 | 2024年度の重点取り組み目標 |
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★★ |
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- 自己評価:
- ★★★ 目標を上回る成果があった
- ★★ 目標を達成
- ★ 一定の成果があった
基本的な考え方
当社のダイバーシティの考え方は、1973年に制定された経営理念の中で「会社に働く人々の能力開発と生活福祉の向上に努め、会社の発展と一人一人の幸せとの一致をはかる」として明示され、従業員一人ひとりが互いの個性を尊重することでイノベーションを生み出し、当社ならではの革新技術の開発やサービス提供など、新しい価値の提案につなげることを目指しています。ダイバーシティ・マネジメントは「多様な人材を活かす戦略」であり「経営戦略」そのものと捉えています。
また、シャープ行動規範の中で「採用や報酬、昇進、研修の機会等の雇用慣行を含むあらゆる企業活動において、国籍、人種、民族、肌の色、性別、健康状態、妊娠、性的指向、年齢、配偶者の有無、宗教、信条、社会的身分、家柄、財産、身体的特徴、心身における障がいの有無、政治上の意見等による差別の禁止」や「多様な属性をもつ従業員が十分に能力を発揮できる職場環境整備」を定め、必要に応じた個別の配慮を含め、積極的な取り組みを行っています。
ダイバーシティ・マネジメント
女性社員の活躍推進への取り組み
2016年4月に施行された「女性活躍推進法」に基づく行動計画に沿って、あらゆる職種における女性比率を高めるとともに指導的立場の女性を増やすことにより、従業員の多様性を促進させ、より良い商品・サービスの提供による社会貢献を実践するため、以下のとおり目標を定め、女性社員の更なる活躍推進に積極的に取り組んでいます。
シャープ(株)「女性活躍推進法」に基づく行動計画
目標 | 達成期限 |
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2024年度末まで |
女性社員の管理職登用
当社では、女性の職域拡大や管理職登用などに長年にわたって取り組んでおり、2023年度末時点の女性管理職率は、女性管理職登用プログラム開始当初の0.6%から5.0%に増加しています。
シャープ(株)の女性管理職の推移
育児休職中の従業員への復職支援
2014年度より「復職支援セミナー」を毎年開催しています。会社の状況や支援制度の説明の他、社内復職経験者からの経験談や仕事と育児の両立へのアドバイス、母親社員同士のネットワーク構築の機会を提供することで、休職期間における不安の解消、復職への前向きなマインド醸成をサポートしてきました。
2020年度からは、従業員への復職支援に関するヒアリングで出された声を反映し、従来の集合形式から、自宅で子どもと共に気軽に参加できるオンライン形式に変更し開催しています。近年は男性の育児参加の高まりを受け、セミナーへの参加も増えてきていることから、復職者とその配偶者、上司向け等、複数の動画や先輩社員からの応援メッセージの配信を行い、家族や職場全体でのサポート体制強化を図りました。今後も当事者の声を聞きながら、更なる働きやすい環境構築を進めていきます。
さらに、育児休職からの早期復職者への「早期復職一時金」や、国の幼児教育・保育の無償化対象とならない0~2歳児への「認可外保育施設保育料補助」の制度により、復職後も積極的にキャリアアップを目指す従業員の支援を行っています。
外国籍社員(日本国内勤務)の活躍推進
ビジネスのグローバル化に伴い、現場ニーズに即したグローバル人材の確保と計画的な育成に取り組んでいます。過去から日本国内における留学生、外国人の採用拡大を推進しており、現在は13か国、約140人が在籍(2024年4月時点)し、いろいろな部門・職種で活躍しています。なお、不法就労防止の観点から、外国籍の人を雇い入れる際には全員の「在留カード」に対して、法務省出入国在留管理庁が推奨しているチェックを行っています(例:出入国在留管理庁「在留カード等番号失効情報照会」サイトの利用による確認)。
高齢者の再雇用
会社として「高い勤労意欲をもった高年齢社員の活用を図る」、従業員として「長年培ったスキルやノウハウを社会に還元する」との観点より、2001年より60歳定年退職を迎えた従業員が引き続き活躍できるための「専門社員制度」を導入しています。現在は、再雇用を希望する従業員に対し、65歳に到達するまでの期間、業務を紹介しています。2021年4月施行の「改正高年齢者雇用安定法」を受け、70歳までの就業機会の確保を検討中です。
障がい者の雇用促進
シャープは、創業者 早川徳次が「5つの蓄積※1」の1つとして「奉仕の蓄積」を掲げて以来、社会への奉仕と福祉に積極的に取り組んでいます。グループ全体で障がい者の雇用促進に努めるとともに、障がいのある従業員の働きやすい環境づくりを進めています。具体的には、採用情報Webサイトに障がい者採用ページを開設し、シャープグループの障がい者雇用の取り組み内容を紹介する他、聴覚障がい者が含まれる研修には、音声認識ソフトやパソコンテイク※2 による文字化対応等、職場環境の整備にも取り組んでいます。
- 「信用の蓄積」「資本の蓄積」「奉仕の蓄積」「人材の蓄積」「取引先の蓄積」。
- 音声情報をパソコンのキーボードで入力して伝える支援方法。
障がい者雇用率の推移
シャープ(株)、特例子会社※3およびグループ適用会社※4における障がい者人数は約320人(2024年6月1日時点)、障がい者雇用率は「障害者の雇用の促進等に関する法律」に基づく法定雇用率2.5%を上回る「2.56%」となっています。
- 障がい者の雇用の促進および安定を図るため、事業主が障がい者の雇用に特別の配慮をして設立した子会社。
- 障がい者雇用率の算定に当たって、公共職業安定所長より認定を受けた特例子会社以外のシャープグループの子会社。
障がい者雇用率の推移
キャリア(経験者)採用の推進
新規事業拡大を担う人材の確保と、若くて活気あふれる企業風土の醸成を図るため、求める人材へ直接アプローチする採用手法の拡大や採用ブランディングの向上など、キャリア採用の強化に取り組んでいます。国内シャープグループ全体で3割程度をキャリア採用することを目標としており、2021年度は29%、2022年度は29%、2023年度は33%となっています。
生理痛体験を通した想い合い研修
シャープは、多様な人材を活かす戦略としてダイバーシティ・マネジメントを推進しています。その取り組みの一環として国際女性デー※(3月8日)に合わせ、女性固有の生理痛の痛みを類似的に体験し、その痛みを認識することで、従業員が互いに尊重し想い合い、より良い職場環境を醸成することを目的とした「生理痛体験を通した想い合い研修(生理痛体験会)」を八尾事業所(大阪府八尾市)で実施しました。
生理痛体験会は外部から講師を招き、希望する従業員47人(男性39人/女性8人)が参加し、ダイバーシティの促進意義/生理についての講義と生理痛VR体験デバイスを用いた生理痛の類似体験を実施しました。講義では約1か月ごとの生理サイクルに加え、腹痛や吐き気、気分が悪くなるといった症状が生じること、生理前にも月経前症候群(PMS)が起こること、その症状に個人差があることなどについて学習しました。
また研修後に実施した参加者アンケートでは、類似体験を通して想像以上の強い痛みを伴う生理痛のつらさを理解するコメントが多く寄せられ、つらい思いをしながらも仕事に従事している人への更なる配慮や意識が高まりました。
この研修を通し従業員が互いを尊重し、相手を想い合う良いきっかけとなりました。今後もより良い職場環境づくりのための取り組みを実施し、ダイバーシティ・マネジメントを進めていきます。
- 女性の地位向上や性差のない社会に向け、国際的な連帯と統一行動を行う日。1977年の国連総会で制定が議決。
女性従業員の能力開発と交流会の開催
米国の生産販売拠点SECは、2019年に女性従業員の人材育成とSECの未来を切り開くことを目的に、WISE(Women Influencing Sharp's Evolution)を立ち上げました。
WISEは、専門能力開発プログラムやネットワーキングの機会を提供することで、女性従業員を支援しています。性別を問わず全従業員に用意されているプログラムが専門知識に関するものであるのに対し、WISEのプログラムは、自信や人前で話すことなど、一般的に女性に役立つ分野に焦点を当てています。
女性従業員同士や経営陣とのコミュニケーションを深める場も設けており、2024年3月の国際女性デーには、ほぼすべてのSEC拠点で朝食会を開催しました。また、毎年10月には各地で乳がん啓発イベントを開催しています。さらにWISEでは、多様な従業員を支援・能力開発する方法について経営陣への提言も行いました。