地域社会とともに

社会貢献活動の推進

2023年度の目標 2023年度の実績 自己評価 2024年度の重点取り組み目標
  • 障がいのある方々へのキャリア教育支援活動を継続
  • 地域コミュニティの社会貢献活動への参加
  • 障がいのある方々へのキャリア教育支援活動を5コース計延べ400回、延べ2,155人を対象に実施
  • 各事業所周辺地域コミュニティ主催のボランティア活動に延べ72回延べ484人が参加
★★
  • 障がいのある方々へのキャリア教育支援活動の継続実施
  • 地域コミュニティの社会貢献活動への継続参加
自己評価:
★★★ 目標を上回る成果があった
★★ 目標を達成
★ 一定の成果があった

シャープグループでは「広く世界の文化と福祉の向上に貢献する」という経営理念のもと、各地域コミュニティの一員として地域の社会課題解決に取り組んでいます。引き続き地域と共存共栄する良好な関係を育むため、従業員が主体となって自発的かつ継続的に活動を推進していきます。

障がいのある方々へのキャリア教育支援活動

シャープは、創業者の障がい者支援への想いを受け継ぐ社会貢献活動の一環として、特例子会社のシャープ特選工業(株)とともに障がいのある方の職業観や勤労観を育む自立支援としてキャリア教育支援活動に取り組んでいます。

2023年度からは「オンライン授業コース」も新たに追加し、以下の計5コースを延べ400回実施し、障がいのある方やその支援者など延べ2,155人が参加しました。(取り組みを開始した2012年度からの累計では延べ4,180件、25,938人が参加)

  • 職場見学(来社型)コース :障がいのある社員が働く職場の見学と座学による解説
  • 職場体験実習(来社型)コース :障がいのある社員が働く職場での就労体験
  • 出前授業(学校訪問型)コース :障がいのある社員が講師となり「働くということ」をテーマとした授業を実施
  • オンライン授業(動画閲覧型)コース:動画とワークシートを用いた授業を実施
  • 講演(訪問型)コース :障がいのある社員の実体験をもとにした幅広い講演を実施

また、大阪府教育委員会が府立支援学校に通う児童・生徒の社会的自立を促進するために取り組んでいるキャリア教育・職業教育(株式会社D&Iさまと事業連携)にも職場見学受け入れで協力しており、生徒の就労意欲の醸成および将来の社会的自立に向けた、継続的な就労支援への貢献が評価され、大阪府教育委員会より2年連続で感謝状をいただきました。

  • 障がい者の雇用の促進および安定を図るため、事業主が障がい者の雇用に特別の配慮をして設立した子会社。
  • 職場見学の様子
    職場見学コース
  • 職場体験実習の様子
    職場体験実習コース
  • 出前授業の様子
    出前授業コース
  • オンライン授業の様子
    オンライン授業コース
  • 講演の様子
    講演コース
取り組み事例

出前授業の再開とオンライン授業の継続

2012年度に開始した特別支援学校向けの「出前授業」は、北海道から鹿児島まで毎年全国の支援学校からのご依頼をいただき、年間約30校を対象に授業を実施してきました。また、2020年には新型ウイルス感染症の流行で、会社訪問が難しくなった全国各地の支援学校の実情を踏まえ、期間限定で「オンライン授業」を開始しました。

「オンライン授業」は、開始からの4年間で延べ412校と多くの支援学校からご依頼をいただきました。それらの学校の中には、外部からの講師を直接招くことが難しい病院内に設置された支援学校や盲学校など、これまで訪問したことのない学校からの依頼もあり、そういった学校に通う生徒さまへの「キャリア教育」の重要性にも気づかされました。また「オンライン授業」では、講師の移動がないため、日程調整もより柔軟な対応が可能となり、より多くの学校を対象に授業することができました。このように「オンライン授業」は、感染症対策の有無を問わず、学校の実態に合わせて活用いただくことが可能なため、2023年5月の新型ウイルス感染症の第5類移行後も継続することとしました。

新型ウイルス感染症対策として訪問が制限していた「出前授業」は、2023年度から全国への訪問を再開しました。この活動では、講師が学校に出向き、体験型のグループワークを通してチームワークの大切さを体感していただく授業や、障がいのある社員が働くことについて語るなど自身の経験を踏まえた講義を行っています。

先生方からは「普段から学校で私たちが言っていることを、企業で働いている方からも伝えていただき、大変ありがたいです。」とのご感想を多くいただいています。今後も「出前授業」「オンライン授業」ともに活動を継続し、ニーズに合ったキャリア教育支援活動の実施に努めるとともに、より効果的なキャリア教育支援活動のあり方を模索しながら、一人でも多くの障がいのある方の就労の一助となるような活動を続けていきます。

取り組み事例

「特例子会社での働き方」をテーマに講演を実施

2024年4月にシャープ特選工業(株)は、精神障がい者向けのデイケアサービスを提供している、大阪府羽曳野市の丹比荘(たんぴそう)病院からの依頼を受け、精神障がい者の就労の現状や制度に関する講演を実施しました。

デイケアサービス利用者など29人が参加され、福祉の専門知識をもったシャープ特選社員より「障がい者雇用の傾向と特例子会社制度」「企業が求める人物像」「働き続けるための取り組み」について説明しました。

企業には多様な業務が存在し、障がいの程度や種別にとらわれず幅広く活躍できる機会があることを紹介したことで、参加者からも多くの質問があるなど、障がいを持つ方の働くことに対する高い意欲や関心の高さが感じ取れました。

マイクで話す様子
シャープ特選講師 平野
質疑応答の様子
質疑応答

講演後、デイケアスタッフの嘉納さま(地域医療支援室 精神保健福祉士)と参加者にインタビューし、精神障がい者が働くことのできる企業があること、働きやすい環境が整ってきていること、雇用枠が広がっていることを知り、就職できる可能性が感じられたなどのご感想をいただきました。

インタビューの様子
精神保健福祉士 嘉納さま
参加者さまの写真
講演への参加者さま

これからも創業者の障がいを持つ方への想いを受け継ぐ活動に取り組んでいきます。

Voice

「特別支援学校等へのキャリア教育」を受けられている学校からのコメント

シャープ特選工業株式会社様には、日ごろより、進路に向けた取り組みで大変お世話になっています。本校は、開校10年めを迎えた職業学科を設置する高等支援学校で、「チャンス」「チャレンジ」「チェンジ」をキーワードに「就労を通じて社会的自立をし、生き生きと暮らしていける人材を育成する学校」をめざしています。

私は、民間企業出身で、障がい者雇用にも関わったことがあります。企業様が生徒たちに身につけて欲しい力はハードスキルよりもソフトスキルであることは十分に理解しており、「元気(体力)、挨拶(マナー)、笑顔(コミュニケーションスキル)」を大切にすることを生徒たちに伝えています。

御社には、昨年度より出前授業を実施していただき、「チームワークを学ぶ」と「働くということ」をテーマに、わかりやすくお話しいただいています。企業様からのお話を直接聞くことは、生徒たちにとって貴重な機会であり、「働く」ということを「自分ごと」として理解を深めることができました。

障がいのある生徒たちにとって「働きやすい職場、暮らしやすい社会」は、誰にとっても「働きやすい職場、暮らしやすい社会」であるはずです。御社が実践されている障がいのある方たちを中心においた会社運営、そして障がいのある子どもたちへの教育支援活動は、生徒たちの活躍の場を広げ、「一人ひとりの個性と強みを生かして、能力を発揮し輝く」つまり「『誰一人取り残さない』SDGsな社会」という理念にもつながります。

本校は、「生徒たちが、在学中も卒業後も笑顔で過ごしていける毎日」が実現するよう、引き続き教職員一丸となって教育活動を進めてまいります。今後とも、ご指導、ご支援をいただきますようお願い申しあげますとともに、御社の更なるご発展を心よりお祈り申しあげます。

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大阪府立むらの高等支援学校 校長 森本 裕(ゆたか)さま
Voice

出前授業講師の従業員より

2023年度から出前授業の講師になりました。これまで人前で話した経験はほとんどなかったものの「自分の経験を一人でも多くの学生に伝えたい」という気持ちから、講師を引き受けました。私は学生と年齢が近いこともあり、より学生の目線から「働く」意味を伝えることを意識しています。

授業では、働くうえで大切なスキルとして、特に「相談の大切さ」について伝えています。相談することは、学生時代はあまりしてこなかったのですが、働きだしてから、その大切さに気付くようになりました。しんどいときこそ相談することが大切と考えています。学生時代から相談するスキルを身に付けておくことで、働き始めてからも安心して過ごせることを、学生の皆さんにも知ってほしいです。

学生時代の私には「働く」ことにマイナスな気持ちもありました。しかし、実際に働いてみて、楽しさも大変さも含めて「働く」ということが、人生の豊かさにつながっていることを実感しています。今後も出前授業での活動を通して、学生が「働く」ということについて考えるきっかけを作っていきたいです。

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シャープ特選工業(株)田中 楓

海外での社会貢献活動への取り組み

世界の各拠点でも、地域に根ざした社会貢献活動を積極的に行っています。

取り組み事例

地域の子どもたちとその家族や退役軍人を支援

米国の生産販売拠点SECは、Sharp Community Outreach Programs and Events(SCOPE)という委員会を設置し、地域コミュニティの経済的事情を抱える家庭や退役軍人の方などの生活の質向上に取り組んでいます。

有意義な機会を創出し、必要不可欠なリソースを提供することで、支援を必要とする人々により明るく公平な未来が確保されるよう努めています。

SCOPEの主な活動
  • 自閉症の子どもたちへのホースセラピー活動(「Pony Power」主催)への後援
  • 経済的支援を必要とする家庭へのコート寄贈
  • 恵まれない子どもたちの夏季プログラム参加資金を集めるためのハイキング
  • 退役軍人の生活を支援する団体「Military Assistance Pantry」への食料寄付
  • 退役軍人の住宅支援事業にシャープ製品を寄贈
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新品および中古コートの寄付
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寄付された食料
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退役軍人への住居事業の式典
取り組み事例

孤児院の子どもたちに奉仕活動を実施

インドネシアの生産販売拠点SEIDは、ラマダン期間中、ボゴールにある孤児院でチャリティープログラムを実施しました。このプログラムでは、イスラムの教えや環境について楽しく学ぶ機会を提供しました。

この活動は2024年3月のラマダン期間中に実施され、40人の子どもたちに対して、分解されにくいゴミの種類、地球温暖化の危険性、植樹など、環境保全に関する基本的な知識などを伝えました。また、孤児院の日々の活動支援として、洗濯機1台、炊飯器2台の提供と、孤児院の設備改善のための寄付を行いました。

寄付を届けている様子
孤児院への寄付
講義の様子
地球温暖化の危険性についての講義
取り組み事例

ラマダン期間中の寄付促進プログラムを実施

インドネシアの生産販売拠点SEIDは、ラマダンの時期に特別プログラム(Sharp Bersedekah)を実施しています。15年前に始めたこのプログラムは、支援を必要とする人々について理解し、地域とともに奉仕活動を行う手段となっています。

2023年度は「Food for Good Cooking Game」と題し、ゲームに参加するだけで孤児院に1パックの食料を寄付できるプログラムを実施しました。また、調理済みの食品や飲料の寄付する際に使用する冷蔵庫を提供しました。

Food for Good cooking Gameをプレーする様子
チャリティープログラム
「Food for Good cooking Game」
冷蔵庫を開いた写真
飲食料の寄付をサポートする冷蔵庫
取り組み事例

心肺蘇生とメンタルヘルス問題の応急処置方法を学習

英国の販売会社SBSUKでは、2023年1月に、11事業所から集まった従業員15人が、「Mental Health First Aid England」が実施する2日間のメンタルヘルスの応急処置研修を修了しました。この研修は、助けを必要とする人の初期症状を学習し、初期サポートやガイダンスの提供ができるようになることを目的としています。

写真
修了証を持つ参加者
ポスター
オフィスに掲示するポスター

また、2023年2月には、本社の従業員20名がチャリティー団体「British Heart Foundation」の「救命士の国をつくる」という取り組みに参加しました。研修では、実際の場面を想定した心肺蘇生の重要性を示すビデオ・コンテンツを視聴し、訓練用の人形への心肺蘇生を行いました。全従業員には、オンライントレーニングも提供されています。

心肺蘇生を体験している写真
心肺蘇生体験

国内外での被災地支援の取り組み

シャープは2023年3月に発生したトルコ・シリア地震の被災地へ、NPO法人等を通じて義援金1,000万円を現地に寄付し、復旧・復興支援を行いました。

また、2024年1月に発生した石川県能登半島地震では、義援金2,000万円に加え、従業員による募金約961万円を寄付しました。さらに、被災した当社製品の特別修理対応や従業員の被災地支援ボランティアへの参加など、幅広い被災地支援を実施しました。