より使いやすい製品・サービスの創出
より使いやすい製品の創出
ユーザー中心設計の取り組み
シャープでは、より使いやすい製品をお客様にお届けするために、ユーザー中心設計(User-Centered Design:UCD)に取り組んでいます。
UCDとは、作り手がお客様の視点に立ち、より使いやすい製品とはどういうものかを具体的に設計に反映させることにより、お客様が満足する商品・サービスを提供することを目指す考え方です。これは国際規格「ISO9241-210」にも基づいています。この考え方に基づいたシャープ独自の「UCD基本理念」や「UCD8原則」を全社で共有し、製品開発プロセスの中で、お客様のご不満やニーズなどを調査しながら、製品の仕様や設計に反映させ、「評価→改善」を繰り返すことで「使いやすく」かつ「魅力」を感じる製品・サービスの実現を目指しています。
お客様目線でのモノづくりのフロー

お客様目線でのモノづくり
ユーザー中心設計の取り組みの中では「使いやすさ」に関わるお客様の情報をさまざまな方法で収集し、モノづくりに活かしています。
ユーザビリティテスト※、アンケート/インタビュー調査、電話相談や訪問修理時のご意見などを通じて得られた情報は、個人が特定できない形で開発関係者に共有し、さまざまな業務の中で活かしています。
また、これらの活動に関して「ユーザビリティエンジニア研修」プログラム(初級~上級レベル)を設定し、全社員を対象としたマインド醸成から、より実践的で専門性の高いカリキュラムまでを実施することで、社員の継続的なスキルアップやモチベーションの維持・向上も図っています。
- 製品などを操作いただいている様子を観察するテスト。


ユーザビリティテストへの参加者の声
- 開発初期段階で実施することができたため、関係者にテスト結果を共有しながら、次期モデルの開発検討を進めることができました。(社内:商品企画担当)
- 普段の企画・開発では気づくことができなかったさまざまな課題を見つけることができました。テストと改善を繰り返しながら、より良いサービスを目指したいと思います。(社内:商品企画担当)
アクセシビリティ/ユニバーサルデザインの取り組み
「UCD基本理念」に基づいて、アクセシビリティ/ユニバーサルデザイン(UD)にも取り組んでいます。この取り組みは、年齢・障がいの有無・国籍・性別などに関係なく、できる限り多くの方が利用可能であるように、製品・情報・環境などを作る考え方を基本としています。開発する商品・サービスを、より多くの方々に気持ちよく使っていただけることを目指して、家電製品やデジタル複合機を中心に、評価・調査などを実施しています。
こうした取り組みにより、当社家電製品の18品目が、一般財団法人 家電製品協会が運営するWebサイトの「UD配慮ポイント」に対応しています(2025年5月時点)。


このような活動を全社的に継続していくために、研修を通じた人材育成にも取り組んでいます。この研修は、アクセシビリティ/ユニバーサルデザインに特化した内容ですが、専門教育としてユーザビリティ研修体系に組み込んで実施しています。主に基礎知識を理解・修得することを目的とした「UD入門研修(eラーニング)」では、累計約6,500名が受講修了しました(2025年4月時点)。また、商品改善の必要性などの気づきにつなげていくことを目的として、障がいのある方々の身体的状況を疑似体験する「UD体験実習」や、障がいのある当事者の方々との対話やブレインストーミングなどを行う「ワークショップ」、アクセシビリティに関するイベントなどを実施することで、障がい者に対する理解を深めています。

(オンライン)

対話の様子(オンライン)
ワークショップへの参加者の声
- 対象者の方々とじかにコミュニケーションを持つことで、イメージや感覚でとらえていた問題点が具体的に浮かび上がり、大変勉強になりました。(社内:技術担当)
- 視覚障がい者はその分野(見えない世界)のプロだという考え方で意見を聞くことで、視覚障がい者にとってのみではなく、すべての人にとって商品がより良いものになると感じました。(社内:ソフト開発担当)
アクセシビリティ対応への取り組み
アクセシビリティとは、高齢者や障がい者など、日常生活に何らかの制限がある方々でも製品・サービスが使いやすいように配慮することです。
例えば、米国では連邦法※1により、連邦政府の機関が機器やサービスを調達する際には、制限の有無にかかわらず誰もが利用できるものを選定することが義務づけられています。
当社のデジタル複合機などでは、連邦法で定められたアクセシビリティ基準に対する評価結果を評価シート(VPAT※2)にまとめ、米国の販売拠点SECのWebサイトで公開しています。
- リハビリテーション法第508条。
- Voluntary Product Accessibility Template(情報アクセシビリティ自己評価様式)の略。米国リハビリテーション法 第508 条などの基準に対し、特定製品のアクセシビリティの準拠に関して説明するもの。


デジタル複合機の評価結果(VPAT)の例
GetNavi・家電 Watch共催「家電大賞 2024-2025」で金賞を受賞
「家電大賞 2024-2025」において、当社の「プラズマクラスターサーキュレーター」<PK-18S01>が扇風機・サーキュレーター部門、「プラズマクラスター衣類乾燥除湿機」<CV-SH150>が除湿機部門、「プラズマクラスター加湿器」<HV-T75>が加湿器・暖房機部門で、それぞれ金賞を受賞しました。
また、銀賞で4製品、銅賞でも2製品と、昨年度よりも多くの製品が受賞しています。
今年で10回目となる「家電大賞」は、その年に発売された家電製品の中から、「GetNavi・家電 Watch」の読者投票のみで「ベストオブベスト」を決定する家電アワードで、お客様から高い評価を得た製品が表彰されます。
読者コメントの中では、「性能の良さ」に加えて、「使いやすさ」「メンテナンスのしやすさ」などに関しても高い評価をいただきました。

除湿機部門 金賞 プラズマクラスター衣類乾燥除湿機<CV-SH150>、
加湿器・暖房機部門 金賞 プラズマクラスター加湿器<HV-T75>