気候変動
気候変動に対する考え方
脱炭素社会の実現に向けて
気候変動リスクが世界的に顕在化・深刻化する中、社会からは脱炭素社会への移行に向けた企業の対応が一層求められています。シャープは、自社活動に伴うCO2排出(スコープ1+2)を2030年にネットゼロ、自社活動以外の間接的なCO2排出(スコープ3)を2050年にネットゼロとすることを目指します。スコープ1は設備の電化やカーボンクレジットの調達、スコープ2は設備の省エネや再エネの導入、スコープ3は製品・サービスの省エネを更に進めるとともに、購入した製品・部材の製造に伴うCO2排出の削減に向け、お取引先様との連携強化に取り組みます。
2050年に「サプライチェーン全体のCO2排出量ネットゼロ」実現

中期経営計画に基づく気候変動への取り組み
シャープは2025年5月、将来の飛躍に向けた2027年度までの中期経営計画を発表しました。ブランド事業のグローバル拡大と事業変革の加速に向け、ブランド事業を2つのビジネスグループに再編しました。一つは「暮らす」の領域「スマートライフビジネスグループ」、もう一つは「働く」の領域「スマートワークプレイスビジネスグループ」で、それぞれの領域で事業の集中と転換を進め、新たな価値創造に取り組みます。
気候変動への対応として、ブランド事業では生成AI対応商品を投入し、データを活用した独自のAIサービスを立ち上げ、商品とサービスの両面でAIoT事業を拡大させていきます。一人ひとりに寄り添った価値創造を追求するとともに、エネルギー利用を最適化し、更なる節電・省エネを実現していきます。また、ディスプレイデバイス事業では特長技術「IGZO」を採用した車載用超低消費電力ディスプレイ(EV向け)や、消費電力0Wで表示可能な電子ペーパーディスプレイ「ePoster」などの供給拡大を図ります。さらにEV、AIデータセンターソリューション、インダストリーDX・ロボティクスや宇宙などの新産業領域においてもイノベーションの具現化に取り組んでいきます。
シャープは、これまで以上に社内外との連携を強化し、コア技術の深化、将来技術の探索を加速し、様々な分野でイノベーションの創出に挑戦することで、持続的な事業拡大と気候変動対応を両立していきます。


気候変動に関するイニシアティブなどへの参画
シャープは、気候変動への取り組みを確実なものにするため「SBTイニシアティブ※1(Science Based TargetsInitiative)」に参加し、2024年3月にSBT 1.5℃※2の認定を取得しました。また、事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーへ転換する計画をさらに加速させるため、国際的なイニシアティブ「RE100※3」に2025年2月に参加しました。当社事業所への再生可能エネルギーの導入を積極的に進めるとともに、エネルギーソリューション事業を通じて再生可能エネルギーの社会全体への更なる普及拡大を図ることで、脱炭素社会の実現に貢献していきます。
日本国内においては、引き続き「電機・電子温暖化対策連絡会※4」や「GXリーグ※5」に参画し、業界、産・官・学での協働取り組みを進め、社会全体としてのカーボンニュートラルに向けた取り組みに貢献していきます。



サプライチェーン全体の温室効果ガス排出量削減
シャープのサプライチェーン全体における温室効果ガス排出量は、自社活動による排出(スコープ1+2)が3.5%、素材調達や輸送、販売した製品の使用に伴う排出など自社活動範囲外での間接的な排出(スコープ3)が96.5%を占めています。そのため、製品製造など自社活動の環境負荷低減の取り組みはもとより、素材調達やお客様が製品を使用する際の環境負荷低減(製品の省エネ)など、サプライチェーン全体での温室効果ガス排出量の削減を重要課題として認識しています。
自社活動による温室効果ガス排出量は、2024年度に実施したアセットライトの進展により段階的に減少していく見込みですが、2030年のネットゼロを確実なものにするため、さまざまな削減施策や再エネ導入を進めていきます。削減施策として、生産拠点の省エネ(照明のLED化、外調機・空調システムの効率化など)を推進しています。また、国内外の生産拠点への太陽光発電システムの導入をはじめとする再生可能エネルギーの活用を進めており、2024年度の電力使用量における再生可能エネルギーの利用率は25%になりました。
素材調達においては、お取引先様との連携をより一層強化し、温室効果ガス排出量の削減に取り組んでいきます。
輸送分野では、モーダルシフト(トラック輸送から船舶・鉄道など環境負荷の低い輸送への切り替え)を継続的に推進するとともに、陸揚げ地の最適化や部品調達先の見直しなどに取り組んでいます。
シャープのサプライチェーン全体で最も多くを占める、製品使用に伴う温室効果ガス排出量の削減に向けては、環境配慮型製品・デバイスの創出を積極的に進めています。環境に配慮した製品・デバイスを「グリーンプロダクト」「グリーンデバイス」と定め、開発・設計指針をまとめたガイドラインを策定・運用し、製品の環境配慮性を継続的に高めています。
再生可能エネルギーの普及拡大による社会への貢献
「電気を消費するモノをつくるメーカーの責任として、いつか電気そのものをつくる存在になりたい」。この決意のもと、シャープは1959年から太陽光発電に取り組んできました。住宅用をはじめ、灯台や人工衛星などの過酷な条件下での発電から世界中のメガソーラー発電所など、半世紀以上にわたる取り組みはさまざまな領域に広がっています。また、中期経営計画に基づき、エネルギー領域において宇宙用太陽電池、ペロブスカイト太陽電池などのコア技術の開発、深化に取り組みます。
シャープは社会のあらゆる分野で再生可能エネルギーの更なる普及拡大を図り、脱炭素社会の実現に貢献していきます。
- 国連グローバル・コンパクト(UNGC)、CDP、世界資源研究所(WRI)、世界自然保護基金(WWF)による気候変動に関するイニシアティブ。企業に対し、パリ協定に準拠した科学的根拠に基づいた温室効果ガス排出削減目標を設定することを推進。
- 産業革命前からの世界平均気温上昇を1.5℃に抑える目標。
- 企業が自らの事業の使用電力を100%再エネで賄うことを目指す国際的なイニシアティブ。
- 電機・電子関連業界の一般社団法人 日本電機工業会(JEMA)や一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA)などの参加企業で構成。カーボンニュートラル行動計画をはじめ、地球温暖化防止に関する業界共通の取り組みを推進。
- 2050年カーボンニュートラル実現と社会変革を見据えて、グリーントランスフォーメーション(GX)ヘの挑戦を行い、現在および未来社会における持続的な成長実現を目指す企業が、同様の取り組みを行う企業群や官・学と協働する場
削減貢献量
削減貢献量の算定
シャープは、サプライチェーン全体の温室効果ガス排出量削減に加えて、イノベーションの創出により省エネ性能を向上させた製品への置き換えによる社会全体の温室効果ガス排出量削減に貢献していきます。この取り組みを「削減貢献量※1(Avoided emission)」として算定しています。
削減貢献量は、自社が開発した省エネ製品・サービスが導入されることで社会のGHG排出削減量を見える化したもので、気候変動という社会課題に対し、解決法を提供する「ソリューション・プロバイダー」としての企業の力、「課題解決力」を評価する新たな指標です。当社の2024年度の削減貢献量は122千t-CO2となりました。
削減貢献量の算定方法
削減貢献量に関する各種ガイドラインや事例集等※2を参考に、以下の考え方で当社の削減貢献量を算定しています。今後、削減貢献量に関する考え方や算定方法について、標準化の策定やガイドラインの更新が実施された場合は、算定方法を適宜見直すこととしています。
削減貢献量実績(2024年度)
削減貢献量の種類 | 算定対象製品 | 削減貢献量(千t-CO2) |
---|---|---|
省エネ製品への置き換え | テレビ、エアコン、冷蔵庫、洗濯機、レンジ・オーブン、衣類乾燥除湿機 | 122 |
算定対象:当社ブランド事業 主要6製品
テレビ、エアコン、冷蔵庫、洗濯機、レンジ・オーブン、衣類乾燥除湿機。
算定範囲:製品使用時の電力使用に伴うCO2排出量
当社製品のライフサイクルにおけるCO2排出量は「使用」の段階が約9割と大部分を占めているため「調達」「製造」など他の段階は除外可能と判断。
ベースライン:算定年度における市場の平均的な製品※3との比較
算定年度における当社製品と同等の機能をもつ販売国・地域の市場の平均的な製品が消費する電力のCO2換算量。
算定期間:フロー方式
当社製品の補修用性能部品の保有期間や製品使用期間の調査結果等を考慮してライフタイムを設定。
算定式:以下の式で算定
(市場の平均的な製品の年間消費電力量-当社製品の年間消費電力量※4)×電力使用に伴うCO2排出係数※5×当社製品の年間販売台数×ライフタイム
- 削減貢献量は、自社活動による排出(スコープ1+2)や自社活動範囲外での間接的な排出(スコープ3)とは目的や算定方法が異なり、これらを相殺するものではありません。
- Guidance on Avoided Emissions(WBCSD, 2023/3)、温室効果ガス削減貢献定量化ガイドライン(経済産業省、2018年3月)、削減貢献量-事業会社による推奨開示仮想事例集-(GXリーグ、2024年5月)。
- 販売国・地域の規制、調査データ(自社調査含む)を参考。
- 製品ごとの販売国・地域の規制や調査データ(当社独自調査・試算を含む)を使用。
- 販売国や地域の電力使用に伴うTotalのCO2排出係数を使用(IEA Emissions Factor 2024)。
業界最高水準の省エネを実現したドラム式洗濯乾燥機
ネイチャーテクノロジー「モモンガファン」
ヒートポンプとサポートヒーターを組み合わせたハイブリッド乾燥技術に加えて、シャープ独自の「ネイチャーテクノロジー」を採用した新形状の乾燥用ファンを新たに搭載。槽内に送り込む風量を増やし乾燥効率をアップさせることで1回当たりの洗濯~乾燥にかかる消費電力量を削減し、業界最高水準の省エネ性を実現しています。

インドネシア市場におけるインバーターエアコンの普及
J-TECH-INVERTER技術
インドネシア市場において、当社はインバータータイプのエアコンの普及拡大に努めています。インドネシアでのエアコンの需要は年々増加し、年間を通してエアコン利用時間は長く、インバータータイプのエアコンを普及させることでインドネシア社会全体のCO2削減に貢献することができると考えています。当社のエアコンは「J-TECH-INVERTER」技術(圧縮機・モーター制御技術)を搭載しており、従来の一定速のエアコンと比較して、効果的に電力消費を制御し、省エネとエネルギー効率の高い運用を実現しています。

AI×無線LAN接続を組み合わせた冷蔵庫の省エネ運転
省エネ技術「節電25」およびクラウドサービス機能「つないでもっと節電※」
シャープの冷蔵庫は、省エネ技術「節電25(センサー、各種制御など)」を活用した運転により、通常運転と比べて最大約25%の省エネ性を実現しています。
冷蔵庫のクラウドサービス機能「つないでもっと節電」は、無線LANに接続することで、クラウド上のAIが冷蔵庫の使用状況を学習し、生活パターンに合わせた省エネ運転を行います。省エネ技術「節電25」と組み合わせて運転することで、通常運転と比べて最大約35%の節電効果が見込まれます。

- 「つないでもっと節電」は、今回の算定内容には反映されていませんが、これらの技術が活用されることで、製品使用に伴う消費電力量が抑えられ、更なるCO2削減につながることが期待されます。
今後の削減貢献量への取り組み
現在はブランド事業の主要6製品を対象として削減貢献量を算定していますが、今後は他の製品やサービス、ソリューションにおける削減貢献量の算定方法を検討していきます。また、中長期的な目標値を設定することでシャープの技術イノベーションを加速させ、シャープの特長技術により国内だけでなく、アジア地域を中心にグローバルで社会全体の脱炭素化に向けて貢献していきます。
TCFDに基づく情報開示
TCFD提言への対応
金融システムの安定化を図る国際的組織である金融安定理事会(FSB)によって設置された気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)は、気候変動に関するリスク・機会を企業などが情報開示することを推奨する提言を2017年に公表しました。シャープはTCFDの提言への賛同を表明するとともに、TCFDのフレームワークに沿って、気候変動に関する情報開示の拡充を図っています。

1.ガバナンス
気候関連の問題は「サステナビリティ委員会」の委員長である代表取締役 社長執行役員 CEOが監視、監督責任を持っています。「サステナビリティ委員会」は委員長以下、経営幹部、本社機能部門、事業本部・子会社などで構成されています。委員会では、気候変動をはじめとしたESGに関する方針やビジョンの徹底、施策についての審議・推進、社会課題に関する最新動向の共有などを実施しています。
委員会における経営層によるモニタリング・レビューを通じて、気候変動に関する取り組みを継続して強化し、持続可能な社会の実現への貢献を目指しています。
2.戦略
シャープは「気候変動」を中長期的なリスクと機会の一つとして捉え、関連リスクおよび機会を踏まえた戦略と組織のレジリエンスについて検討するために、国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による気候変動シナリオ(1.5℃シナリオ※1および4℃シナリオ※2)を参照してシナリオ分析を実施して、2050年までの長期的な影響を考察しました。
それぞれのリスクと機会の詳細、および対応策を下表にまとめています。
3.リスク管理
シャープは、ビジネスリスクマネジメントの基本的な考え方を定めた「ビジネスリスクマネジメント規程」に基づき、気候関連リスクの特定や評価を行っています。将来予測される気候シナリオの分析により、発生する確率が高い気候関連リスクの抽出を行い、経営幹部およびリスクマネジメント事務局である内部統制部へ必要に応じて事案内容を報告し、関係部門と連携して必要な改善策を検討しています。
4.指標と目標
シャープは、1992年に定めた環境基本理念「誠意と創意をもって『人と地球にやさしい企業』に徹する」の下、2019年に長期環境ビジョン「SHARP Eco Vision 2050」を策定しました。「気候変動」「資源循環」「安全・安心」の3つの分野で2050年の長期目標を設定し、持続可能な地球環境の実現を目指しています。世界的に喫緊の課題となっている「気候変動」については、2030年の自社活動のCO2排出量(スコープ1+2)ネットゼロと、2050年のサプライチェーン全体のCO2排出量(スコープ1+2+3)ネットゼロを目指して、取り組みを加速しています。
温室効果ガス排出量の進捗状況(2024年度)
基準年(2021年度実績) | 2024年度実績 | 基準年比 |
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1,365千t-CO2 | 820千t-CO2 | 39.9%削減 |
- IEAのNet Zero Emission 2050シナリオ、IPCCの第6次評価報告書(AR6)SSP-1 1.9シナリオなどを参照。
- IPCCの第5次評価報告書(AR5)のRCP 8.5シナリオなどを参照。
当社の事業におけるリスク・機会と対応策
シナリオ | 要因 | 変化 | 当社への影響 | リスク・機会 | 財務影響 | 影響が顕在化する時期※ | 当社の対応策 |
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1.5℃ | カーボンプライシングの導入 | 原材料調達コストの増加 | 当社の仕入製品に対して炭素税が導入されることで、仕入価格に転嫁される | リスク | 大 | 短期 |
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直接操業コストの増加 | 当社のGHG排出量に応じて炭素税が導入され、支払コストが増加する | リスク | 大 | 短期 |
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サプライチェーン上の脱炭素・環境配慮要請の高まり | ユーザーの環境配慮ニーズを満たさないことによる競争力の低下 | 環境配慮についてユーザーの期待に応えられない場合、売上高減少のリスクが発生する | リスク | 中 | 短期 |
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環境配慮資材への切替コストの増加 | GHG排出量が少ない電炉材や再生プラスチック、バイオマスプラスチックなどへの切り替えを進めていくに当たり、コストが増加する | リスク | 中 | 中期 |
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再エネへの切り替えによるエネルギー調達コストの増加 | 自家発電やPPA(Power Purchase Agreement)、再エネメニューへの切替、環境価値証書の購入を進めることでコストが増加する | リスク | 小 | 中期 |
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再生可能エネルギー市場の拡大 | 再エネ発電事業者・利用企業からの太陽光発電関連製品・システムに対する需要の拡大 | 当社の製品・システム提供を拡大することで、収益拡大の可能性が高まる | 機会 | 中 | 短期 |
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ZEH(Zero Energy House)需要の拡大 | 住宅向けの太陽光発電定額サービスやHEMS(Home Energy Management System)の提供を強化し、収益拡大の可能性が高まる | 機会 | 中 | 短期 |
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環境貢献ビジネスの拡大 | サーキュラーエコノミー型ビジネスモデルの拡大 | 脱炭素の取り組みが社会的に高まる中で、廃棄物を出さないサーキュラーエコノミー型のビジネスモデルを確立することで、顧客支持の拡大につながる | 機会 | 小 | 中期 |
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4℃ | 気象災害の激甚化 | サプライチェーンの寸断 | 気象災害が激甚化することで、当社の仕入先、拠点が被災し、サプライチェーンが影響を受け、当社の販売機会喪失が懸念される | リスク | 中 | 長期 |
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- 短期:3年以内、中期:2030年頃、長期:2050年頃に顕在化し始めると想定。
GHGプロトコルに基づく温室効果ガス排出量
シャープはGHGプロトコル※1に基づく温室効果ガス排出量を算定し、サプライチェーン全体※2の温室効果ガス排出量の削減に取り組んでいます。
スコープ1,2,3の温室効果ガス排出量(2024年度)
カテゴリ | 排出量 (千t-CO2) |
備考 | |
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スコープ1(事業活動からの直接的な温室効果ガス排出) | 260 | 燃料などの使用に伴う排出 | |
スコープ2(事業活動でのエネルギー使用による間接的な温室効果ガス排出) | 560 | 電力などの使用に伴う排出 ロケーション基準(各地域の平均的な排出係数をもとに算定)では761 |
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スコープ1+2 計 | 820 | ||
スコープ3(事業活動範囲外での間接的な温室効果ガス排出) | 1.購入した物品、サービス | 1,879 | 当該年度に販売した製品の調達部材の生産に関わる排出 |
2.資本財 | 82 | 資本財(設備、機器、建物、施設、車両など)の建設・製造および輸送に伴う排出 | |
3.スコープ1,2に含まれないエネルギー関連活動 | 150 | 他者から調達している電気や熱などの生成に必要な燃料の調達(資源採取、生産および輸送)に伴う排出 | |
4.輸送・流通(上流) | 153 | 部材、生産した製品の輸送に伴う排出 | |
5.事業から発生する廃棄物 | 2 | 廃棄物処理に伴う排出 | |
6.出張 | 16 | 全従業員の出張に伴う排出 | |
7.従業員の通勤 | 15 | 全従業員の通勤に伴う排出 | |
8.リース資産(上流) | - | スコープ1+2の排出量に含む | |
9.輸送・流通(下流) | 46 | 当該年度に販売した主要製品※3の小売店から最終消費者までの輸送に伴う排出 | |
10.販売した製品の加工 | 44 | 製品出荷先での加工に伴う排出 | |
11.販売した製品の使用 | 19,337 | 当該年度に販売した主要製品※3の使用に伴う排出※4 | |
12.販売した製品の廃棄 | 809 | 販売した家電4品目※5、複写機・複合機、パソコンのリサイクル処理に伴う排出とエアコン廃棄時の冷媒の排出 | |
13.リース資産(下流) | - | 対象外 | |
14.フランチャイズ | - | 対象外 | |
15.投資 | - | 対象外 | |
スコープ3 計 | 22,533 | ||
スコープ1+2+3 合計 | 23,353 |
- 世界の有力企業が加盟する「持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)」と米シンクタンク「世界資源研究所(WRI)」が定めた温室効果ガス排出量を算出するための国際基準。
- スコープ1+2はシャープ(株)の生産拠点および国内外生産子会社、スコープ3は自社のサプライチェーン全体を対象として算定
- 薄型テレビ、エアコン、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機、空気清浄機、プラズマクラスターイオン発生機、レンジ、複写機・複合機、太陽電池モジュール。
- 各製品の年間消費電力量×販売台数×製品寿命×CO2排出係数。
- テレビ(ブラウン管・薄型)、エアコン、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機。
事業活動に伴う温室効果ガス排出量の削減
2024年度の目標 | 2024年度の実績 | 自己評価 | 2025年度の重点取り組み目標 |
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★★★ |
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- 自己評価:
- ★★★ 目標を上回る成果があった
- ★★ 目標を達成
- ★ 一定の成果があった
シャープは、世界的に喫緊の課題となっている「気候変動」について、2030年の自社活動のCO2排出量ネットゼロを目指して、事業活動に伴う温室効果ガス排出量の削減に取り組んでいます。2024年度のシャープの事業活動に伴う温室効果ガス排出量は、基準年度比39.9%減少の820千t-CO2となりました。
各事業所での省エネ活動に加え、非化石証書を活用して温室効果ガス排出量の削減に取り組んでいます。また、「ブランド事業に集中した事業構造の確立」に向けた事業構造の改革に伴い、エネルギー消費の大きいデバイス事業の資産売却や能力適正化を進めたことから、大幅な削減につながりました。
今後も目標の達成に向け、生産ラインの更なる効率化、再生可能エネルギーの導入などに積極的に取り組んでいきます。
事業活動に伴う温室効果ガス排出量の推移

温室効果ガス排出量の地域別内訳(2024年度)

- HFC類、PFC類、六フッ化硫黄(SF6)、三フッ化窒素(NF3)。
生産拠点における温室効果ガス排出量の削減取り組み
中国の生産拠点WSECでは、工場の空調設備について電子制御システムの改修や全体最適制御を実施するとともに、様々な省エネ施策(工場内の照明のLED化等)を行っています。さらに、工場の屋根に出力規模2MW-dc、年間発電量2,485MWhの太陽光発電システムを設置しています。これらの取り組みにより、2024年度は約4千t-CO2の温室効果ガス排出量を削減しました。
シャープは国内外の拠点において、省エネの取り組みや太陽光発電システムの導入などを積極的に推進し、グローバルでの温室効果ガス排出量の削減を進めていきます。


製品のライフサイクルアセスメント
製品のライフサイクルを通じた環境負荷の把握と低減
製品のライフサイクル※における環境負荷をCO2排出量に換算して定量的に把握するライフサイクルアセスメント(LCA)を実施し、その分析結果を製品企画・開発に活用しています。
一般的に家電製品は「使用時」の環境負荷が大きいことから、省エネ性能の向上に注力することで環境負荷の低減を効果的に進めています。
- 素材などの調達から、製造、輸送、使用、廃棄、リサイクルまでの製品の生涯。
家電4品目のライフサイクルにおけるCO2排出量の割合

再生可能エネルギーの活用
シャープは脱炭素社会の実現に貢献するため、国内外の生産拠点への太陽光発電システムの導入をはじめとする再生可能エネルギーの活用を進めています。2024年度の再生可能エネルギー量は36,713万kWhでした。当社の電力使用量における再生可能エネルギーの利用率は25%になりました。なお、太陽光発電システムによる自家発電量は699万kWhでした。
生産拠点への太陽光発電システム導入状況


「Life Eeeコネクト」サービスが令和6年度「新エネ大賞」の「資源エネルギー庁長官賞」を受賞
太陽光発電システムと家電や住設機器を連携して電気代を抑制するシャープのエネルギーマネジメントサービス「Life Eeeコネクト」が、一般財団法人新エネルギー財団が主催する令和6年度「新エネ大賞」(後援:経済産業省)の商品・サービス部門において、「資源エネルギー庁長官賞」を受賞しました。「新エネ大賞」は、太陽光など新エネルギーの導入促進を目的に、関連する機器・サービスの開発や分散型エネルギーの活用事例について、優れたものを表彰する制度です。
「Life Eeeコネクト」は、太陽光発電システムを設置されているご家庭において、当社独自のAIがお客さまに代わり家電や住設機器を賢く制御するエネルギーマネジメントサービスです。本サービスは、蓄電池制御で培ったAI制御を応用し、太陽光発電システムと家電・住設機器を連携制御して買電量を削減する業界初のサービスとして、2023年11月に提供を開始しました。
これまでにエアコンや給湯器、冷蔵庫、ドラム式洗濯乾燥機との連携を実現しています。
当社独自のAIによる家電・住設機器制御で余剰電力を有効活用し、電気代の効率的な削減を実現している点や、IoT機器の共通通信規格「ECHONET Lite」を活用することにより、他社製の家電や住設機器にも適用可能な仕組みとしている点が評価され、今回の受賞に至りました。
当社は今後も、太陽光発電システム・蓄電池システムを活用したサービス拡充に取り組み、社会全体のカーボンニュートラルの達成に貢献していきます。

輸送における環境負荷低減
日本国内輸送における環境負荷低減
シャープは、「省エネ法※1」で求められる「エネルギー消費原単位の年平均1%以上改善」への遵守はもとより、環境負荷と輸送コストの抑制に向け、日本国内のシャープグループ全体で取り組んでいます。
2024年度の国内シャープグループの貨物輸送に伴う温室効果ガス排出量は10千t-CO2となり、シャープ(株)の直近5年間(2020~2024年度)のエネルギー消費原単位は年平均8%の改善となりました。また、モーダルシフト※2に継続的に取り組み、トラック輸送から船舶(内航船)や鉄道(JRコンテナ)など環境負荷の低い輸送への切り替えを進めています。さらに、輸入製品を各地域での販売比率に応じて最適港に陸揚げすることで物流拠点間での再輸送を抑制するなど、輸送における環境負荷の低減に取り組んでいます。シャープは輸送において、国土交通省ならびに公益社団法人鉄道貨物協会が制定する「エコレールマーク※3」の取組企業として認定を取得しています。
- エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律。
- 貨物輸送をトラック輸送から環境負荷の低い船舶・鉄道輸送に切り替えること。
- 鉄道貨物輸送を一定以上利用している企業や製品に対して認定され、製品パッケージやカタログなどへのマークの表示を通じて、環境に配慮した輸送手段を採用していることを周知。
貨物輸送に伴う温室効果ガス排出量の推移(日本国内)


海外輸送における環境負荷低減
シャープは、海外輸送に伴う温室効果ガス排出量の削減にも取り組んでいます。具体的には、モーダルシフトの推進による航空輸送の削減や積載効率の向上に加え、生産拠点と消費地を結ぶ海上ルートおよび陸揚げ地の最適化、さらには工場により近いサプライヤーからの部品調達に切り替えるなど、幅広い取り組みを進めています。